何に時間を奪われていたのか?
数え上げてみたら、記憶にないほど読んだ本(文庫&新書)が少なかった。
しかし並んだ署名を見渡したら、あっさり原因は判明した。
ちなみに、今月読了した本は以下の通り。
2023.12
★『飛族』村田喜代子
★★『輝くもの天より堕ち』ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
★『台湾はおばちゃんで回ってる!?』近藤弥生子
★『真説「日本武将列伝」』井沢元彦
★★『21 Lessons』ユヴァル・ノア・ハラリ
★『身近な鳥の生活図鑑』三上修
そう。個人的に"読み応え充分≑時間がかかる書物"が多かったのだ。
とりわけ、『21 Lessons』。
小説サイドでいえば『輝くもの天より堕ち』あたりか。
それぞれ異なる理由で、二度読み三度読みを余儀なくされたのだった。
いっぽうコミックスは
そんな超スローペースを補うように、元気一杯?を維持している。
・・単に視力が落ちただけなのかもなぁ。
〔コミックス〕(※は再読以上)
★★『葬送のフリーレン』①-⑪〔⑩まで既読〕山田鐘人、アベツカサ
★『モンスターの婚活屋さん』①-④私屋カヲル
★★『スキップとローファー』①-⑨〔⑦まで既読〕高松美咲
★★『異世界おじさん』①-⑩〔⑨まで既読〕殆ど死んでいる
結果、《今月揺さぶられた本ランキング》は
【小説】①『輝くもの天より堕ち』ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
※久しぶりに"由緒正しいSF"を堪能できた気がする。
どこか懐かしい異世界(異惑星)を舞台に繰り広げられる
タイムリミット形式のミステリー&サスペンス。
そこに作者自身が直面する"老いと死の影"が投影されることで
空想科学小説の枠を大きく踏み越える、稀有な名作へと変貌した。
ーーなんて、手放しの絶賛を捧げたい。
※最新の話題作も悪くはないけど
時々こうした"ちょい古名作"に立ち帰って
長らく冬眠状態だった〈SF小僧〉を起こしてやらないとね。
・・・あれ? そういや先月の第一席もSFだったっけ。
ちゃんとローテーション組んで読んでるんたけど。
やたらSFの傑作率が高いなぁ。
【小説以外】①『21 Lessons』ユヴァル・ノア・ハラリ
※これ1冊で5冊分以上のエネルギーを要した、読み応え抜群の近未来予測本。
たまに内容が頭に入らず、そのたび読み返しを余儀なくされた。
しかし内容は、その労力を補って余りある充実ぶりである。
この手の「近未来予測モノ」に一番多い手合いは
現状分析こそデータを駆使するなど具体性に溢れているが
肝心の〈予測パート〉に入るなり、抽象的な言葉ばかり並び始める。
ところが本書では、終始具体性に満ちた理論を展開し
それまでおぼろげにしか捉えていかなった建材と近未来に
極めて明快なビジョンを提示してくれる。
おかげで読書中、己の目からポロポロ落ちたウロコの数は計り知れない。
ぶっちゃけ、〈現代人必読の書〉と言ってもいいんじゃないかな。
※ただひとつ残念だったのは、ラストの一章。
ここまでさんざっぱら危機感を煽っておきながら
個人的な体験談とはいえ、「瞑想すれば未来は開けるかもね~」と
投げっぱなされてしまったのには、正直、ガッカリした。
なんだよ「〇〇し、ひたすら観察せよ」って・・
理屈としてはアリかもしれんが、尻切れトンボ感がハンパない。
※てなわけで、未来への指針としては少々心もとないが
(「ウクライナ」「ガザ」も"大ハズれ"だったし)
混迷の現代世界を把握するテキストとしては、文句なしに推薦できる。
【コミック】①★★『葬送のフリーレン』①-⑪〔⑩まで既読〕山田鐘人、アベツカサ
➀★★『スキップとローファー』①-⑨〔⑦まで既読〕高松美咲
※新作ストックが1冊しかなかったが、アニメの続きが読みたいばかりに
読み返してみたら、またまたハマッてしまった。
これぐらい再読・再再読に堪えるコミックは、そうそうない・・はず。
ーーという舌の根も乾かぬうちの「スキロー」体験だ。
恥ずかしながら、少々マンネリ気味になってきた本欄だけど
いいものは、いい。面白いものは、面白い。
と、開き直って宣言したい。
地球の裏側を中心に混迷を極めるばかりの、いまこのとき。
『戦争は女の顔をしていない』/スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ
の文章を書き写すかたわら
リアルタイムでコミックの続きが読める幸せを
何度となく、心のうちで噛み締める。
ではでは、よいお年を。