どんなに科学が進もうと、人は同じ過ちを繰り返す 今月(2023年12月期)読んだ&揺さぶられた本 MakeMakeの読書録

何に時間を奪われていたのか?

数え上げてみたら、記憶にないほど読んだ本(文庫&新書)が少なかった。

しかし並んだ署名を見渡したら、あっさり原因は判明した。

ちなみに、今月読了した本は以下の通り。

 

2023.12

★『時代小説 サ・ベスト2016』日本文藝家協会

★『飛族』村田喜代子

★★『輝くもの天より堕ち』ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

★『台湾はおばちゃんで回ってる!?』近藤弥生子

★『真説「日本武将列伝」』井沢元彦

★★『21 Lessons』ユヴァル・ノア・ハラリ

★『身近な鳥の生活図鑑』三上修

 

そう。個人的に"読み応え充分≑時間がかかる書物"が多かったのだ。

とりわけ、『21 Lessons』。

小説サイドでいえば『輝くもの天より堕ち』あたりか。

それぞれ異なる理由で、二度読み三度読みを余儀なくされたのだった。

 

いっぽうコミックスは

そんな超スローペースを補うように、元気一杯?を維持している。

・・単に視力が落ちただけなのかもなぁ。

 

〔コミックス〕(※は再読以上)

★★『葬送のフリーレン』①-⑪〔⑩まで既読〕山田鐘人、アベツカサ

★『モンスターの婚活屋さん』①-④私屋カヲル

★★『スキップとローファー』①-⑨〔⑦まで既読〕高松美咲

★★『異世界おじさん』①-⑩〔⑨まで既読〕殆ど死んでいる

 

結果、《今月揺さぶられた本ランキング》は

【小説】①『輝くもの天より堕ち』ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

   ※久しぶりに"由緒正しいSF"を堪能できた気がする。

    どこか懐かしい異世界(異惑星)を舞台に繰り広げられる

    タイムリミット形式のミステリー&サスペンス。

    そこに作者自身が直面する"老いと死の影"が投影されることで

    空想科学小説の枠を大きく踏み越える、稀有な名作へと変貌した。

    ーーなんて、手放しの絶賛を捧げたい。

   ※最新の話題作も悪くはないけど

    時々こうした"ちょい古名作"に立ち帰って

    長らく冬眠状態だった〈SF小僧〉を起こしてやらないとね。

    ・・・あれ? そういや先月の第一席もSFだったっけ。

    ちゃんとローテーション組んで読んでるんたけど。

    やたらSFの傑作率が高いなぁ。

    

【小説以外】①『21 Lessons』ユヴァル・ノア・ハラリ    

   ※これ1冊で5冊分以上のエネルギーを要した、読み応え抜群の近未来予測本。

    たまに内容が頭に入らず、そのたび読み返しを余儀なくされた。

    しかし内容は、その労力を補って余りある充実ぶりである。

    この手の「近未来予測モノ」に一番多い手合いは

    現状分析こそデータを駆使するなど具体性に溢れているが

    肝心の〈予測パート〉に入るなり、抽象的な言葉ばかり並び始める。

    ところが本書では、終始具体性に満ちた理論を展開し

    それまでおぼろげにしか捉えていかなった建材と近未来に

    極めて明快なビジョンを提示してくれる。

    おかげで読書中、己の目からポロポロ落ちたウロコの数は計り知れない。

    ぶっちゃけ、〈現代人必読の書〉と言ってもいいんじゃないかな。

   ※ただひとつ残念だったのは、ラストの一章。

    ここまでさんざっぱら危機感を煽っておきながら

    個人的な体験談とはいえ、「瞑想すれば未来は開けるかもね~」と

    投げっぱなされてしまったのには、正直、ガッカリした。

    なんだよ「〇〇し、ひたすら観察せよ」って・・

    理屈としてはアリかもしれんが、尻切れトンボ感がハンパない。

   ※てなわけで、未来への指針としては少々心もとないが

    (「ウクライナ」「ガザ」も"大ハズれ"だったし)

    混迷の現代世界を把握するテキストとしては、文句なしに推薦できる。

    

【コミック】①★★『葬送のフリーレン』①-⑪〔⑩まで既読〕山田鐘人、アベツカサ

      ➀★★『スキップとローファー』①-⑨〔⑦まで既読〕高松美咲

      ※新作ストックが1冊しかなかったが、アニメの続きが読みたいばかりに

       読み返してみたら、またまたハマッてしまった。

       これぐらい再読・再再読に堪えるコミックは、そうそうない・・はず。

       ーーという舌の根も乾かぬうちの「スキロー」体験だ。

       恥ずかしながら、少々マンネリ気味になってきた本欄だけど

       いいものは、いい。面白いものは、面白い。

       と、開き直って宣言したい。

       

       地球の裏側を中心に混迷を極めるばかりの、いまこのとき。

       『戦争は女の顔をしていない』/スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ

       の文章を書き写すかたわら

       リアルタイムでコミックの続きが読める幸せを

       何度となく、心のうちで噛み締める。      

      

ではでは、よいお年を。