実用性抜群の「普及機」なれど、ノイキャン効果は"いまひとつ"。 「SONY WF-C700N 」レビュー/改訂版

【デザイン】とにかく「実用的」。たとえばケース。上級機のような重厚感こそないものの、表面がザラザラしており滑らない。しかも軽い。手のひらにすっぽり収まる細長い形状。イヤホン本体も、無駄な出っ張りが無いのにケースからは取り出しやすい。色んな意味で"ストレスの少ない"製品。

【高音の音質】綺麗に伸びる。特に弦楽器。"作り過ぎ?"と疑うほど気持ちよく響く。デジカメだと出ない色彩がスマホだと鮮やかに発色するーーみたいな演出感か。これを「素晴らしい」と感じるか「ウソくさく」思うのかは人それぞれ。ともあれ、予想以上にいい音で驚いた。

【低音の音質】散歩用に愛用していたElite 4 Activeとの比較だが、低音部も気持ちよく鳴る。前回はコスパを理由にELite4Activeを激賞したが、直接聴き比べると違いは明らか。初代ウォークマンから聞き慣れた"安心のソニーサウンド"が、とても心地良い。
★追記★ちなみに本体の操作は「タッチ」ではなく「ボタンを押す」タイプ。しばしば生じる誤作動(XM4など)に悩んでいた当方には、嬉しい変更。ただしごく軽いプッシュで作動するので、慣れるまで少々時間がかかる。

【フィット感】耳孔に強く押し込めず、やや手ごたえは薄い。どことなく緩さを感じる装着感。
★追記★これはほどなく解消した。単なる"慣れ"の問題と思われる。

【外音遮断性】これは標準的。上位機のXM4と比べると、アクティブの"効き"は3分の2程度か。 しかし普通に路上を歩く状況での使用なら、これで充分か。むしろ背後から接近する車に気づけない上位機の時は、何度かヒヤリとされられた。
★追記★・・と自分を納得させたが、昨日実際に幹線道路沿いや店の中を歩いたところ、ノイキャン効果の低さを痛感した。特にクラシックなど静かな曲の再生時は、トラックやバイクの排気音、店内アナウンスが、主観で50%聞こえてくる。XM4には遠く及ばず、「Jabra Elite4Active」にもだいぶ劣る。手持ちの機器中では「DENON AH-C830NCW」と同程度。早い話、この一点が上級機XM4との価格差か。とはいえ、これ(外音遮断性)以外に文句をつける箇所は見当たらない。騒がしい場所でも静かな曲をじっくり聴きたい"ヘソ曲がり"(オレだ)以外には、自信をもってオススメする。

【音漏れ防止】直接確認した訳ではないが、これも標準レベルだと思う。

【携帯性】「デザイン」の繰り返しになるが、非常によい。手のひらに収まる形状に加え、滑らない表面+軽さを考慮すれば、所持する6台中では最も使い勝手がいい。※ちなみに内訳は「SONY XM3&XM4」「DENON AH-C830NCW」「Jabra Elite4Active」「YAMAHA TW-E3C」

【総評】"バイバイSONY!"の捨て台詞から2カ月。買い換えようと考えていたBOSEの上級機に迷いつつ他社の廉価イヤホンに浮気していたら、そのSONYから「1万円台で新製品発売」の情報が。おまけにソニーストアで買えば1万6千円少々で3年間の保証付きだというので、迷わず注文する。なぜなら「バイバイSONY」の原因である、XM3の故障(購入後1年5カ月で左側が沈黙)と、XM4の不具合(同じく1年3カ月で最大充電しても左側バッテリーが30分未満)という相次ぐ悲劇が、長期保証のお陰で回避できるからだ。"まんまとSONYの計略にハマった"とも言えるが、今回に関しては賢明な判断だった――と思いたい。

ともあれ、ようやくSONYが底力を発揮。使用感抜群で音質も上等な廉価版(1万円台)のNCワイヤレスイヤホンを世に送り出してくれた。「YAMAHA TW-E3C」に匹敵する美音と優れたNC効果を備えた本機こそ、"マニアじゃないけど、綺麗な音でそこそこ強いノイキャン付きのワイヤレスホンが欲しい!"と密かに願っていたライトユーザー(オレ)待望の新製品、と言いたくなった。

昨日手許に届いたばかりなので、徐々にマイナス面が出てくるかもしれないが、いまのところ「ややNCが弱めか」という以外、ほとんど文句をつける余地はない。三度目の正直じゃないが、今度こそ末永く付き合っていきたいと願っている。   
   
★追記★前述のとおりNC効果の弱さを痛感し、またも"迷いの虫"が湧いてきた。ウォークマンが収蔵する1万8千曲の半数近くがクラシック(≒静かな曲)だから、この悩みは切実。やはりムリしてでもBoseの上級機を狙うか、長期保証付きでXM4に再挑戦するかーー試行錯誤のトンネルは続く。


ではでは、またね。