夜のメキシコシティはゴーストタウン!? キューバふたり旅 2020.2.26-3.5 7日目(その2)

2020年3月3日(火)ハバナメキシコシティ⇒成田(+1)

 

◆アエロメヒコAM 0452 ハバナ1505⇒1725メキシコシティ

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           翼よ、あれがメキシコシティだ!

 

客席は、ほぼ満席状態。

この時点で、まだキューバ国内に新型コロナ患者が確認されていなかったとはいえ

全員マスクを付けている以外、特にこれといった感染対策はないまま

メキシコシティ ベニート・フアレス国際空港に到着し、入国審査を受ける。

しかし、往路のように乗り換えゲートには向かわず

そのまま出口に直行すると

なんのチェックも受けず(当然か)自動ドアが開き、メキシコへ入国できた。

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          破産状態のエアロメヒコ、頑張れ。

 

前にも書いた通り、キューバでろくにお土産品を買えなかったので

7時間以上ある「乗り換え待機」の間に、メキシコシティ中心部まで移動。

大きなスーパーマーケットで、買い物ブギに挑むのだ。

 

てなわけで、まずは両替。

出口の向かい側に、何軒か銀行?が並んでいたので

ひとつを選び、手持ちのアメリカドルをメキシコペソに替えてもらった。

次に、移動しやすいよう(スリ対策も兼ねて)

数軒隣の荷物預かりサービスで、リュックとバッグを預ける。

(機内預けのスーツケースは、成田まで直行)

料金は、大きさに関係なく1個700円程度。なかなかのお値段だ。

あっ・・荷物をひとつにまとめとけばよかった!

係員に手渡した後になって、気が付く。

あまり自覚していなかったが、旅の疲れがたまってるのだろう

当たり前の確認作業がおろそかになってしまう。

こういうチェックを怠ると、旅先で払うお金があっというまに増えていく。

今後の反省点として、きっちり記録しておかなくては。

 

ひとつひとつの準備がスムーズ行かず、一時間ほどかかってしまったが

これでやっと、市内に向かうことができる。

ガイドブック(から破り取った数ページ)を頼りに

地図に記されている「メトロバスの停留所」に向かって歩き出した。

「メトロ」といっても地下を走るではなく

空港と市内を結ぶ"急行バス"みたいな交通機関だ。

ずらりと並んだタクシー軍団の左側、円形にカーブを描く通路沿いに進む。

しかし・・地図にマークされたあたりを過ぎても、停留所らしい施設が見当たらない。

振り返れば、空港ビルは100メートル以上後方にあった。

このままだと、空港の敷地外に出てしまうぞ・・。

近くで清掃中のおじさんに声をかけ

ガイドブックの断片に載っていた「赤いメトロバスの写真」を見せると

「あっちだ、あっち」と、我らが出て来た空港ビルを指差す。

やっぱり、どこかで行き過ぎたらしい。

 

ふたたび5分ほどかけ、入口付近まで戻る。

そして、もういちど何重にも連なって客待ちするタクシー軍団の周囲を見渡すと・・

・・・・あった!

4~5列を作って並ぶ〈タクシーの大河〉の向こう側。

そこに、ちょうど、川の中州のような細長い〈歩行エリア〉があり

真ん中あたりにバス停らしき看板つきポールが立っていた。

実は、出口から先の歩行エリアが二手に分かれており

その内側(右)の中州にバス停があったのだが

我々は、外側(左)の壁伝いに進んだため、気づかぬまま通り過ぎてしまったのだ。

 

ともあれ、バス停にたどりついた。

あとは、備え付けの自動券売機プリペイドカードを購入すれば、バスに乗れる!

さっそく両替ホヤホヤのメキシコペソを、券売機の読み取り口に挿入・・・

・・何度やっても、紙幣を飲み込んでくれない。なぜだ?!

あらためて、英語で記された「購入手順」をチェックしてみる。

すると、少額の紙幣しか使えない(券売機が受け付けない)ことが判明。

手許にある一番少額の、さらに5分の1の紙幣からしか、利用できないのだった。

・・そりゃないぜ!! 思わず、相方と顔を見合わせてしまう。

なんか面倒臭いし、諦めるか? 

でも、せっかくここまで来たんだから・・。

このチャンスを逃したら、二度とメキシコの町は歩けなくなるかも・・

 

気合を入れ直し、空港ビル内にとって返す。

さっき両替した店に再度入って、窓口のおばちゃんに小額紙幣への両替を願い出る。

・・彼女はニッコリ笑って、期待に応えてくれた。

こうして、ようやく手に入れた小額紙幣を携え、これまた再度バス停前へ。

 

出国ゲートを後にしてから、早くも2時間以上が過ぎていた。

当初、できれば行ってみたい! と目論んでいた「バスコンセロス図書館」も

閉館時間まで残り30分少々。今回は諦めるしかない。

それでも、スーパーマーケットだけは・・!

やっとゲットしたプリペイドカードを握りしめ、バスを待つこと30分。

待ち望んでいた赤い車体が、ついにやってきた。

 

日本の路線バスと同程度の大きさのバスに、勇んで乗り込む。

しかし乗客は、われらふたり以外、数人だけ。

実は、空港を経由する交通機関の料金は、他のエリアの5倍に跳ね上がる。

つまり、キューバと同様「外国人料金」が設定されているのだ。

・・といっても、日本円で200円足らずなんだけどね。

ともあれ、時刻は夜8時過ぎ。

黄昏どきから夜に変わろうとするメキシコシティ

メトロバスは、終点ブエナビスタ駅に向かって走り出した

そのすぐ近くに、目指す巨大スーパー「ウォルマート」があるはずなのだ。

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        到着後2時間半、ついにバスはメキシコシティ

 

だが、のんびり車窓を眺めていられたのも、最初の20分ほどだけ。

メトロバス(シャトルバス〉と銘打ってはいるが

途中からは一般客も(5分の1の運賃で)利用するので

停まっては動き、また停まっては動き、という各駅停車状態に。

そのたび、かなりの人数が乗り込んできて

あっという間に車内の席は埋まり

気付いたときには、ハバナの路線バス(5円)同様

ぎゅうぎゅう詰めへと変貌していた。

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         なんだか、人の姿が少ないような・・

 

それでも、混雑してるだけだから、車内は問題なかったんだ。車内は。

背筋が寒くなったのは、メキシコシティ中心部に入って以降の、外の光景。

予想以上に、夜の町が暗い。

というか、明かりの数が少ない。

様々な商店が軒を連ねる繁華街で、まだ夜の8時台だというのに

ほぼすべての店が、シャッターを閉ざしている。

当然、行き交う人の姿も、ほとんどない。

・・どこのゴーストタウンだよ。

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              目抜き通り、だよね?

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            ・・こんなとこ、歩きたくないよ~

ともあれ、人通りの絶えた暗~~い大通りを

乗客を満載したバスは、カメの歩みのようにのっそり走り続けるのだった。

 

ではでは、またね。

"値切りのプロ"への道は遠い・・ キューバふたり旅 2020.2.26-3.5 7日目(その1)

2020年3月3日(火) ハバナメキシコシティ⇒成田(+1)

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          部屋のベランダから。朝のハバナ

朝8時半頃、先にホテルのチェックアウト&荷物を預けて

最終半日のハバナ旧市街へ向かう。

やっばり朝からいい天気。

この時期の気候が安定しているおかげだとは思うが

もともと天気運はかなり良く、今回も雨に悩まされずに済んだ。

 

とりあえず、朝食を。

せっかくのハバナなので、歴史のある店のひとつCafe O'Rellyを目指す。

「美しい螺旋階段のある、タイムスリップしたような店内」との紹介どおり

総木材張り?の落ち着いた感じの店。でも、なかはガラガラ。

遠目には入口に数人並んでいるように見えたので

「さすが、人気店。こんな早くから行列かよ・・」と思ったのだが

みんなコーヒー豆を買いに来た人たちだった。

・・ってことは、朝食はあまり人気がないのかな。

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               雰囲気は、抜群!

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             店内は、ほぼ"貸し切り"状態。

 

それでも、座り心地のよさそうな木造椅子&テーブルに惹かれて、店内へ。

ふたりともモーニングセットを注文したが、コーヒーと小振りなサンドイッチのみ。

しかも、フルーツいっぱいの昨日の朝食より高かった。

ま、半分以上は場所代ってことだろう。

せっかく空いていることだし、独り占め気分を満喫しよう。

オシャレな店内や、道行く人々などを眺めてのんびりと過ごした。

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                                     向かいの店では・・肉を切っていた

 

そうこうするうち、ようやく10時が近づいてきた。

他のお店も、商売を始める頃合いだ。

昨日は閉店時間内に入れなかった、蜂蜜・雑貨・バッグの店を回る。

・・だが、大量生産ではない、手作り感溢れる〈ちょっと洒落た土産物〉となると

一気に値段が高くなる(マジで、数倍~1ケタ違い)。

いずれも購入する気になれば、見るだけで終わってしまう

――こうなったら、キューバは諦め、メキシコシティに賭けよう!

7時間以上もある乗り継ぎ時間を利用して市内に繰り出し

どこかの大型スーパーで、チョコ・菓子・香辛料などをまとめ買いする作戦に

切り替えたのだった。

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              今日も、ホントにドピーカン

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              ワンコも外に出たがってる

てなわけで、残り時間で観光スポットのひとつ「革命博物館」へ。

こちらもひとり8CUC(800円強)と、なかなかの観光地値段だった。

そのくせ中味は・・正直、期待外れ。

元大統領官邸だけあって、建物こそ広く立派だが、展示品の半分ぐらいはパネル。

しかも工事中らしく、館内の3分の1程度しか立ち入ることができない。

これなら、トリニダーのほう(料金1CUCの革命博物館があった)に入れば良かった。

結局、カストロが着ていたらしき軍服の前で記念写真を撮っただけ。

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          ちょっと期待したエントランス「祖国か死か」

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            だけど、そこいらじゅう改装工事中で・・

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            なんだか〈紙系〉の展示品ばかり

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   一番気に入ったのが、これ。たぶんソユーズで宇宙に行った記念バッジ

 

空港に向かうまでには、なお1時間ほど余裕があったので

グーグルマップで見つけたアイスクリーム店に、行くことにした。

その途中、ベビーカーを押す若いカップルに声を掛けられた

やたら親し気で、以前日本に行ったことがある、などと笑顔で話し続ける。

そこで相方が、ベビーカーの中の男の子に目を付け、記念写真を撮らせてもらうと・・

同じ笑顔で男の方が「スーベニール(お土産)!」と言い、手を指し出してきた。

なんのことはない、撮影代をせがまれたのだ。

ここでお金を出すと、日本人観光客と見ると同じ手を使いかねないので

日本から持って来たキットカットを子供に手渡し

やや不満そうなキューバ人夫婦を残し、足早に立ち去った。

この先、観光化が進んでいくと、きっとこういう人たちが増えるんだろうな。

 

ともあれ、たどりついたアイスクリーム店で、キューバ最後のスイーツをいただく。

素材が新鮮なのか、この国のアイス&ジェラートは、レベルが高い。

ただし、どこも氷に生水を使っているらしく、この手のものを口にするたび

決まって4~5時間後、お腹が文句を言い出し、トイレ通いを繰り返すハメになる。

今回もまた、この〈ラスト・スイーツ〉のおかげで、ヤバい目に遭うのだった。

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        アイスは美味い! でも、下痢は覚悟しよう

 

12時過ぎ、ホテルに戻り、スーツケースを受け取るついでに

空港までタクシーを手配してもらえないか、訊いてみた。

すると、前もって予約しないとすぐ用意できない。30分ほど待つけどいいか?

と言われた。料金は、30CUC(来たときと同額〉。

やや迷ったが、昨日の"放浪"でタクシー慣れしていたので

自力でトライすることに。

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              ・・また来れるといいな

 

ホテルのイケメンスタッフ(学生バイトっぽい)に別れを告げ

スーツケースを抱えて階段を降り、大通りまで移動。

すぐに我らを見つけた仲介者が寄って来て、「タクシー?」と声をかけてきた。

・・いや、ここは自力でチャレンジしよう。

近くで停車中のタクシーに歩み寄り、直接運転手に行き先を告げ、料金を尋ねる。

すると彼は、一瞬考えてから、「30」。

さすがに確実にボッていることがわかったのだが、口を出た言葉は「20」。

運転手はにやっと笑って、「25」。

いけない!「10」にするぺきだった・・と心の内で臍を噛みつつ「22」。

当然のように、ドライバーは「OK!」ときた。

みれば、昨日最初に乗った穴ボコタクシーと同じレベルの、おんぼろ車。

15で充分だったなぁ。

すっかり愛想が良くなったドライバーは、スーツケースを受け取って車内へ。

出発した後も、何度も後部座席に座った我らに笑顔が話かけてくる。

やはり、我らは〈葱をしょったカモ〉だったらしい。

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          根っからのB級体質。ボロい車の方が落ち着く。

 

20分ほど走り、空港敷地内に入って来たところで

突然ドライバーが後ろに手を伸ばし、「22、22」と声をかけてきた。

降りる前に支払って欲しい、というのだ。

彼のカタコト英語と、我らの中学ヒアリング能力で理解したところでは

「俺の車だと、空港に乗り入れる許可を持っていないから

 入口に停車すると、すぐにガードマン(職員)に追い出されてちまうんだよ」

ということらしい。

本来、空港とハバナ市内間のタクシー料金は、一律30CUC。

だがそれは、正規の許可を持つ車(黒と黄色のカラーリング)のみ。

今回、我らが乗車したのは、オンボロの〈もぐり〉。

本当は、空港発着が禁じられていたのだった。

 

こちらが差し出す22CUC分の札束を受け取り

空港の入口近くに、すーっと車を止めるドライバー。

慌てて下車した我らに笑顔で握手を求めると、素早く走り去っていった。

あのご機嫌ぶりを見ると、「もぐり」の相場は10~15ぐらいなのだろう。

ま、それでも多少は節約できたのだから、よしとしようか。

 

キューバ最大の国際空港といっても、日本の地方空港のほうがずっと大きい。

すぐにチェックインを済ませ、4~5軒並ぶショップをぶらついてみる。

まずは飲み物(微炭酸のオレンジジュースがお気に入り)を買って、ひと息。

土産物を扱う他の店にも立ち寄り、値札を見ると・・市内とほぼ同じ。

ここでは「空港料金」は存在しないようだ。

おまけに、町なかでは見かけなかったユニークな商品が。

カッコいいキューバンアート(上半身魚の人間がデザイン)のマグカップ

マッチ箱サイズのミニチュア(浴室内の様子)を購入する。

お土産らしいお土産は、この2品だけだったかも。

 

このあたりで、出発の1時間ちょい前。

到着時の検閲騒ぎ(新型コロナのため名前・住所・パスポート番号をチェックされた)

があったので、出国審査の時には緊張したが、何事もなくスムーズに搭乗口へ。

その後も、感染拡大の影響がまるで感じられない超満員の乗客を乗せ

ほぼ定刻どおりに、アエロメヒコは離陸。

 

我らふたりも、メキシコシティへの3時間20分の空の旅を

各自確保していた窓側席からの展望を楽しみつつ、のんびり過ごしたのだった。

 

◆アエロメヒコAM0452 ハバナ1505⇒1725メキシコシティ

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             可愛いプロペラ機、発見!

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              アディオス! キューバ

 

・・と、いつもなら、ここで旅の記録は完了するのだが。

今回ばかりは、もうひとつ「スペシャル・ステージ」が待っていた。

名づけて――メキシコシティの7時間。

しかもそれは、なんとも間の悪いことに

ハバナで食べた最後のスイーツが

「悪さ」をしでかし始める時間帯でもあったのだ。

 

ではでは、またね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開催決定! 「東京オリンピック2021」の"正しい観戦法"   MakeMakeの遠吠え

2月7日に書いた内容をまるっと繰り返すことになるが

本日、聖火リレーが始まったことだし

改めて、変わることのない「オリンピック観」を確認&表明したい。

 

最近になって新型コロナの感染者数が底を打ち、上昇に転じつつあるようだが

政府は予定通り、日本全国を巡る聖火リレーをスタートさせた。

これに対し、明らかに「ヨイショ」する側の宣伝&報道活動以外の

いわゆる"大衆の声"なるものは

「オリンピックなんかできる状況じゃない」

「また感染拡大状況にあるのに、なんて無謀なことをするんだ」

「これで感染爆発が起きたら、誰が責任を取るんだ」

「一般人の海外からの入国を受け入れないで、オリンピックと呼べるのか」

といった〈開催反対意見〉が圧倒的多数のように感じられる。

 

しかし、あくまでもこれは〈印象〉に過ぎない。

なぜなら、「反対の声は、常に、賛成の声より大きい」からだ。

 

そして、もうひとつ。

こういった〈リスクを負う可能性を伴う判断〉となると

「イエス=ゴー」より「ノー=ストップ」の方が、はるかに言いやすい

 

「ノー」を表明した場合、結果がどちらに転ぼうと

その判断に対して、彼らは負い目や責任を感じることはない。

"だからいったじゃないか"、などの〈逃げ道〉が用意されているから。

いっぽう、ゴーサインを出した場合

最終的に何らかのマイナス要因(感染拡大とか)が生じた場合

その判断に対し「お前らイエスと言ったから、こんなことになったんだ」

つまり「責任を取れ!」という事態になりかねないからだ。

 

従って、内心では「出来る範囲でチャレンジしてみてもいいんじゃないかな」

みたいな〈開催賛成意見)であったとしても

出る釘を打たれる前に、「どちらかといえば反対」の札を上げておく。

そんなところじゃないのかな、同調圧力国家・日本に暮らす我々の"位置取り"は。

 

要するに、みんな「開催賛成⇒感染爆発⇒賛成した奴が悪い」という流れで

連帯責任を負わされたくないから、賛成の声を上げないだけ。

口で言ってるほど、「大反対」じゃないと思うよ。

だが、そう言ったって、実際にパンデミックは拡大傾向にあるわけだし

欧米各国でも、ロックダウンが相次いでいるじゃないか。

こんな危機的な状況で、まともなオリンピックなんかできるはずないだろう!

と、お怒り方々も当然いらっしゃるわけだ。

 

はい、おっしゃる通り。

いかに政府関係者か「コロナに打ち勝つ」と叫ぼうと、事実は歴然としている。

どう考えても、まともなオリンピックなど、開催できる状況にはない。

実際、海外からの観戦客は受け入れないことが決まってるし

もっと状況が悪化すれば、全競技無観客という事態だってありえる。

 

だ・か・ら、(・・あ、これもう2.7の繰り返しだ)

サッカー、野球、大相撲、駅伝etc

様々な制約のなかで頑張って開催している他のスポーツと同じように

できることを、できる範囲で、最大限の努力を注ぎ込んで、実行すればいい。

・・・それだけのこと。

 

全世界の人が訪れないオリンピックなんか、オリンピックじゃない。

無観客の会場で行なわれるオリンピックなんか、オリンピックじゃない。

感染症のため出場できない国が続出するオリンピックなんか、オリンピックじゃない。

――理想的な形で開催できなきゃ、オリンピックなど開催する意味がない。

そういった《オリンピック至上主義》に囚われさえしなければ

文字通り、どーにでもできるのだ。

 

べつに、「だから反対の声をあげるな」とは言わない。

むしろ開催するまで、ずーっと"ブーたれ"ててオッケーだ。

どうせここまで来たら、今年の東京オリンピックは、もはや決定事項。

よほどの事態が起きない限り、粛々と準備を進め、開催へと持ち込むはずだ。

(実際、半数近い国がボイコットしようが、殺人テロが起きようが、中止しなかった)

 

だから、みなさんは「始めちまったものは仕方ない」

「ずっと無視すんのも大人げないから、たまにはは観てやるか」

なとど、あくまで表面上は冷めた眼差しで、各競技をリモート鑑賞。

そうすれば、なんだかんだいっても

〈世界のトップアスリートが集う4年?に1度の大イベント〉だもの。

面白くない、興奮しない、感動しない、わけがない。

 

んで、すべてが終わったところで

「ま・・思ったほど悪くなかったんじゃないの」

ぐらいの軽い〈上から目線〉で、次回のパリにバトンタッチする。

たぶんこれが、いちばん"日本人っぽい"オリンピック観戦法だと思ったりする。

 

もちろん、開催することで、コロナの感染者数は増加傾向を続けるだろう。

でも、「GoToキャンペーン」のときも書いたけど

この手のイベント(社会活動)より、季節的な要因などの方が

感染者数の増減と深く関わっている気がしてならない。

事実、ヨーロッパでロックダウンした地域としなかった地域の感染者数のグラフは

ほとんど違わなかったわけで。

 

だから、あくまで個人的な見解だが

自分の中での「コロナ対策」は、確定済み。

マスク、手洗い、距離といった感染対策はしっかり守りつつ

年単位での持続可能な、通常に近い社会生活を送る。

ヒステリックに「ゼロ」を目指したって、土台不可能なんだから

他のコロナやインフルエンザウイルス同様

無理なく共存できるところにむけて、ソフトランディングするしかないっしょ。

ワクチンワクチンって大騒ぎしてるけど

「95パーセント効果あり」を接種したところで、100人中5人。

1万人中500人は感染&発症するんだから。

少なくとも、オッサんが生きてる間に「根絶」は無理だって。

 

ではでは、またね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コロナが生んだマンガ大賞 『葬送のフリーレン①-③』山田鐘人/アベツカサ 周回遅れのマンガRock 

今年のマンガ大賞に輝いたというので

屋内に積んであった1巻から3巻(審査対象)までを

とりあえず、読んでみた。

 

以下、「マンガ大賞」の選評や、専門家の方々の論考などは

いっさい目を通していないので

あくまで。個人的(脊髄反射的?)な『感想文』に過ぎないが

"オタクのプロトタイプはこんなふうに考えた"

とでも、受け取ってほしい。

 

まず、なによりも強く感じたのは

・・全編を通して漂ってくる《静けさ》だった。

 

もちろん、「人の死」「追憶」「世代を超えた時の流れ」といった

〈すでに終わったこと・過ぎ去ったこと〉を下敷きにしたストーリーが展開。

それをまた、50年を「わずかな時間」としか認識できない

数千年?の長寿を持つエルフ・フリーレンが主人公(語り部)として

様々な登場人物たちと関わって(再会して)いくのだから

どうしても〈一歩引いたところから世界を眺める〉描き方になるのかもしれない。

 

でもって、中身に関しての、率直な感想に移ろう。

 

確かに「魔王を打ち倒した、"その後"の勇者一行を描く」という発想は秀逸。

くわえて、最も長寿(数千年?)の主人公(ヒロインのエルフ)が

各メンバーの老いと死を体験。

遺され、託された人や想いを担い、新たな旅へと歩み出していく。

ストーリー展開も、従来の〈異世界冒険もの〉とは一線を画する斬新なものだ。

 

セリフもカッコよく、ときどきドキッとさせられる。

たとえば、僧侶ハイターが天国を「あるべきもの」だと思う理由とか。

勇者ヒンメルが、行く先々で自分の銅像を作ってもらう理由とか。

どれも、"人の想い"が伝わってくる、味わい深いことばだ。

 

いっぽう、作画も――完全な素人目線ではあるが――文句のつけようがない。

・・なんて言うそばから、つけちゃうんだけどね。

 

作画、というか、各コマの空気感が「固い」。

このあたりは、「デスノート」や「クレイモア」にも通じる印象なので

ほとんどの人は気にしないのだろう。

 

あと、一点、引っかかってるのが――

剣や魔術が紙一重の差で交錯する激しいアクションシーンであっても

一枚一枚の「絵」から〈動き〉が伝わって来ない、ということ。

失礼を承知で言ってしまえば、ストップモーションの繰り返しで

"紙芝居を見せられている"ような印象なのだ。

 

むろん、こうした〈絵作り〉も、故意に仕掛けたもの。

エルフが感じる長大な時間感覚を表現した〈演出のひとつ〉である。

などと言われてしまえば、返す言葉もないのだが。

 

あと、もういっこ、ついでに言っちゃうと

「小コマ」「捨てゴマ」が、冷たくて、そっけない。

情景(自然の山河・城塞・街並みなど)とか

遠目から人物を小さく描いたもの。

なんだか、人形をポンと置いたみたいで

メインキャラもモブキャラも、おんなじ労力しか使ってない、感じ?

でもまあ・・うーーん

この(ロングショットを多用した〉コマ組みも

"時間表現"のひとつだ、とか理論武装されちゃったりして。

 

最後に、超個人的な好みにも触れると

ページを繰る手が思わず止まり

このシーン、いいなぁ!・・と、しばし見とれてしまう〈名シーン〉が

ほとんどなかった気がする。

どれほど原作が面白かろうと、漫画の主役は、断然「絵」である。

そう頑なに信じるオッサンにとって

上記の〈名シーン〉は、傑作認定への必須条件なのだ。

 

そんなこんなで、ぶっちゃけの総評は。

――面白いことは否定しないけど・・これが大賞?? ってとこかな。

「原作」はともかく、個人的に「作画」は

もっと〈定型〉から飛び出し、チャレンジしてほしいと思った。

 

ただ、〈巡り合わせ〉も働いた気がする。

たとえば、他の候補作は「ジャンプ系」が多かったこともあり

SPY×FAMILY」「怪獣8号」など、全力ストレートで勝負するタイプ揃いだった。

(なにせ、努力・友情・勝利! だもんね)

そんななか、本作の《静けさ》は、明らかに異質な光を放っていた。

似た色合いのものが並ぶと、どうしても対極の方向に手が伸びがちだし。

 

あと、ひねくれた性格ゆえ、ひとこと付け加えさせてもらうと。

"時代が背中を押した"・・んじゃないかな。

世界規模のパンデミックが続くこの時期だからこそ

「世代を超えた長い長い時間感覚で過去・現在・未来を見つめ直し

 改めて〈人が生きる意味〉と向かい合おうとする」

本作が、2021年のマンガ大賞に選ばれた。

――そんな気がして、ならないのだ。

 

あれこれケチを付けてしまったが

さっきも書いたように、面白いことは間違いない。

続きも気になるし、当分は追いかけるよ。

 

ではでは、またね。

 

 

 

 

 

 

 

 

豪華絢爛! CABARET PARISIEN  キューバふたり旅 2020.2.26-3.5 6日目(その4)

2020年3月2日(月) ハバナ市内

 

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         ハバナのランドマーク・National de Cuba

 

1930年に建てられたハバナのシンボル的ホテル、National de Cuba。

その専用舞台で、毎晩開催されるCAVARET PARISIEN鑑賞すべく

アンティークな家具や装飾が点在する、はっきり言って場違いな館内へと侵入。

位置口近くにあったチケットカウンターで、当日券の購入を申し込む。

19時30分と21時の2回、講演があると「歩き方」に書いてあったので

夕食を考えれば、19時30分スタートの一択だった。

しかし、「本日分のチケットを2人分ほしい」までは「OK」だったが

希望の時間を告げると、窓口の女性は小さく首を振り

正面ガラスに貼られた一枚の紙を、指し示した。

そこに記されていたのは、ショーの開始時間――「OPEN/ 21:00」。

オフシーズンのせいか、夜9時スタートの1回しか行なわれていなかったのだ。

 

今夜、予定していたレストランの営業時間は、深夜0時まで。

終了後すぐにタクシーで乗り付ければ、ギリギリ間に合うタイミングではある。

とはいえ、のんびりゆったりという気分には、ほど遠い。

また、深夜の旧市街からホテルまでトコトコ歩てい帰るのも、少々心細い。

・・となると「ディナー」か「ショー」、どちらか諦めるしかない。

 

ディナー派のオレと、キャバレー派の相方で、ディスカッションが始まった。

「あのレストランではシーフード(ロブスター)しか食べていない。

 まだキューバで旨い肉に出会えていないので、ぜひオーダーしたいのだ」

と、訴えるディナー派。

(この時点で腹の不調はだいぶ収まっていた。というかトイレが頻繁なだけで

 胃袋の方は元気だったから、食べる分には問題なかったのだ。

 多少は「生水」に慣れたのか、昼間のジェラートも悪さをしてこなかった)

けれども相方は、いまだに〈トリニダー豚〉のダメージを引きずっており

普段の半分も食べることが出来ない状態だという。

そんな彼女にすれば、ずっと楽しみにしていたショーを諦めてまで

ディナーを優先する気にはなれないのも、無理はなかった。

 

結局のところ・・

ま、2回目よりは1回目の勝ちだよな――と、ショーをチョイス。

21時スタートのチケットを、2人分購入する。

ちなみに料金は、ひとり35CUC(ワンドリンク付き)。

「歩き方」に"一般客は40"とあったが、ホテルゲスト扱いだった。

ちょっと嬉しい。

 

てなわけで、いきなり生じた3時間以上ものフリータイム。

時間つぶしをかねて、どこかで簡単に夕食を済ませよう。

ホテルを出て、グーグルマップを見ながら、手頃な店を探してみた。

しかし、周辺は、ハバナでも有数の高級?エリア。

どこととなく、ホノルルの繁華街や、アジアンリゾートの中心地を連想させる

綺麗に整備された広い通りと、明らかに海外の観光客をターゲットにした

あか抜けたテラス風の店が、待ち構えていた。

入口のメニュー表を確認してみると、予想通り、料金設定もそれなり。

もちろん、日本の高級レストランに比べれば、はるかに安いんだけどね。

今夜のディナーに期待dていたオッサンは、ついつい愚痴っぽくなってしまう。

 

それでも、何かお腹に入れないと持たないことは明らかだった。

15分ほどあちこち覗いて回ったすえ、隠れ家風の飲み屋(カフェ)へ。

モヒートとハンバーガーで、簡単に済ませた。

食事よりお酒優先の、ゆったりくつろげる雰囲気だったが

呑み過ぎて、ショーの最中に「寝落ち」するわけにはいかない。

1時間ほどで切り上げ、海岸沿いの道をぶらつくことに。

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          カフェ・・じゃなくてbarだよね

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       地元の有名アイス店。営業時間内だっだけど閉店中

夜の8時過ぎとあって、すでにあたりは真っ暗。

カリブ海(メキシコ湾)にそって広い車道と歩道が延びており

街灯も点いていたが、やたら間隔が広く

「明るさ」より「暗さ」の方が完全に勝っていた。

それでも、家族・友人・カップルなどなど、かなりの人出が繰り出し

散歩したり護岸に腰掛け海を流めたり、思い思いに楽しんでいた。

夕食時に飲んだモヒートでほろ酔い気分だった我々も

ときどき、ドシャッと降り掛かってくる波しぶきを避けたり

落とし穴のように口を開ける歩道の亀裂につまずきかけたりと

スリリングながらも、楽しいひとときを過ごした。

数人の若者がこちらの姿に目を止め

「どこから来たの?」「日本だよ」「Oh Japan! ようこそ、キューバへ!」

なんてやりとりしたことも、いい思い出だ。

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          この波が、ときどきドワッと降りかかる

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        「キャバレー」入口。PARISIENだけにエッフェル塔

8時30分より少し前、ホテルの左手にあるショーのゲートに行くと

すでにタキシード姿の案内人が(年配の男性)が立っており

どうぞ中へ、と指し示したので、そのまま進み、専用入口の前で座って待つ。

なんと1番先頭だった。

ひょっとして・・ガラガラだったり?

それでも開演時間が近づくと、何組かが後ろに並び、10分間には入場開始。

ヨーロッパのお屋敷か、映画館のロビーか、という雰囲気のエントランスを通り

先導する案内人に従って、指定されたテーブル席に着席する。

あらかじめ座席は決まってるらしく、早く並んだメリットはなさそうだった。

だが、比較的空いていたおかげか、最前列から数列後ろの斜め30度あたりという

いわゆるベストポジションを用意してもらえた。

相席もなく、6人用ほどの広いテーブル席をふたり占め。

のんびりドリンク(モヒート)をいただきながら

開幕直前までしだいに埋まっていく会場の雰囲気を楽しむ。

そして、前座からメインまで、バラエティ&ボリュームたっぷりのステージ。

まずは楽器を手にした数人が舞台に登場、キューバの定番ミュージックを奏でる。

その間にも、ホテル滞在者らしきやや着飾った客がどんどん入って来て

最終的には8割程度の席が埋まった。(満席で4~500人あたり・・かな)

15分ぐらい経って、いよいよショーは本番に突入。

最初のうちは、フラメンコみたいな少人数による軽めの音楽だったので

これは失敗したかな・・と後悔しかけたけど

そんな不安を吹き飛ばすように、歌と踊りが目まぐるしく移り変わっていく。

気づけば、舞台狭しと歌い手と踊り子合わせて50人ほどが

圧巻のステージを繰り広げていた。

とくに、歌が、声がスゴイ。

大きく強く高く明るい・・〈ラテン版井上陽水〉と名づけたい喉の持ち主が

これでもかと、リズムとビートに乗った美声を披露する。

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     こんな感じで、曲想・衣装・歌い手がどんどん切り替わっていく

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            キューバというより、カリブ風?

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              いったい、いつまで続くのか‥‥

おまけに、「歩き方」には「ワンステージ45分」と書いてあったのに

45分どころか、1時間を回っても、まるで終わりそうな気配がない

その間も、およそ5分ごとに出演者が切り替わり、ボルテージは高まるばかり。

途中からは、歌と踊りに酔ったような、どこか夢見心地の気分になっていた。

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            ようやっと、クライマックスへ

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           フィナーレは"全員集合"で、大盛り上がり

すべてが終わったのは、実に11時近く。

前座の時間を除いても1時間30分に渡る、特大ボリュームのステージだった。

映画やコンサートはまだしも

芝居や踊りの鑑賞には、いまひとつ興味を持てずにいたのだが

今回ばかりは、「別格」と賞賛してしまおう。

強く希望していた相方に、感謝したい。

 

高揚した気分のままゲートに出ると

そこには、客待ちのタクシーが何台か並んでいた。

さすがに昼間乗ったようなオンボロは、どこにも見当たらない。

街灯の明かりを鏡のように写す、ツルッツルのおニュー(古いね)ばかり。

これまたビシッとした身なりのドライバーに、ホテルの住所を告げると

すかさず「15(CUC)」の答え。相場の倍の値段だった。

こちらの値引き交渉にも、自信たっぷりを首を振る。

・・ま、しょうがないか。

承諾して乗り込むと、さすがはホテル専属?タクシー。

ガラガラの海岸通りを猛スピードでかっ飛ばし

わずか4~5分で、ホテルの正面にピタリ。

これぞ、プロフェッショナル!

調子にのってチップをはずむと、ニヤリと笑って去って行った。

 

それにしても、5円のバスから穴あきボロ車。

最後は高級ホテル御用達のタクシーと、たった1日でいろんな車にのったものだ。

でもまだ観光用のクラシックカーも、リキシャみたいなバイクタクシーも残っている。

明日の午前中、飛行機の時間を気にしながらチャレンジするのも中途半端だし

いちおう〈次回のお楽しみ〉に取っておこう。

 

ではでは、またね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穴ボコタクシーの乗り心地 キューバふたり旅 2020.2.26-3.5 6日目(その3)

2020年3月2日(月) ハバナ市内

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              モロ要塞の大砲

昼食代わりのジェラートでひと息ついて・・

さて、帰りはどうしよう。

そろそろ、タクシーにチャレンジしてもいいよな。

ときおり大通りを走り抜けるポンコツタクシーやバイクに気づくたび

手を挙げて停めようか迷いながらも

「ひとり5円」という格安料金に引き寄せられ

結局、2時間ほど前に降りたバス停(反対方向)に戻ってしまった。

ホンット、貧乏性だよな。

当然、すぐに目指すナンバーのバスに乗れるはずもなく

地元の人たちと一緒に、ぼーっと待つことに。

貴重な旅先での時間を、こんなムダ遣いしちゃっていいのか!!?

数分おきに頭の中の理性が訴えるが

せっかくここまで歩いて戻ったんだから、と屁理屈で押し込める。

 

さいわい、30分ほどで旧市街方面行のバスがやってきた。

だが、すでに満車状態。とても座れる状態にない。

おまけに来た時以上ののろのろ運行で、バス停の間隔もやたらと短い。

しょっちゅう停車しては、結構な数の乗客が乗り降りし、さらに時間を奪われる。

それでも吊革にぶら下がって踏ん張り続けること、およそ1時間。

よーし、旧市街が近づいてきたぞ!・・と喜んだそのとき。

バスはいきなり、90度方向転換。

そのままアサッテの方向に遠ざかり始めた。

路線図の読みが甘く、旧市街の脇をすり抜け南に向かうルートだったらしい。

慌てて、停車ボタンをプッシュ。最寄りのバス停で下車する。

 

あたりは、商業地域と工場地域が混ざった雑然とした雰囲気。

熱気と埃と排気ガスが立ちこめ、たまらず歩道の日陰側に身を寄せる。

グーグルマップで確認すると、現在地は旧国会議事堂から南西に2キロほど。

過酷なバス旅(相方は途中で座れた)で、ふたりとも疲労困憊。

時刻も、すでに15時30分を回っていた。

どのみち、旧市街でタクシーに乗車。

海峡の対岸にあるモロ要塞まで行くつもりだったので

空車が来たら無条件で停めて乗ってしまおう!、と覚悟を決め

旧市街に向けて歩きながら、"流し"のタクシーを捕まえることにした。

・・・だが、そんなときに限って、なかなかタクシーが来ない。

やっと来た!、と思ったら、どれもこれも「乗車中」。

結局、20分以上歩き通して、中央公園に到着してしまった。

 

さすがに観光スポットだけあり、あたりは客待ちのタクシーでいっぱい。

たまたま目の前で停車し、客を降ろしたタクシーがいたので

これ幸い、「乗せてくれ」と意思表示すると

頭の禿げあがった小太りの中年ドライバーは、OKと答えてくれた。

ところが次の瞬間、「すぐ終わるから待て」と、身振りで伝えると

急に車を降り、タイヤ交換を始めたのだ。

・・たぶん、パンクしたのだろう。

 

だめだ、こりゃ。

ホイールからタイヤを外すドライバーに手を振って別れを告げ

公園周辺に停車しているタクシーの一団に向かっていくと

すかさず一人の男が「タクシー?」と言いながら、近寄ってきた。

どうやら運転手ではないようだが、何者?

気持ち警戒しながらも、「モロ要塞に行きたい」と告げる。

すると「テン(10CUC)」と値段を言う。

負けじと「ファイブ」と答えると、今度は「エイト」。

そこで「シックス。ラストプライス」と強気に出たところ

彼は「OK」とうなずき、その場で待つよう身振りで合図してから

停車中のタクシーに小走りで向かった。

・・・あー、そうか。

自分の車から離れるわけにはいかない運転手に代わって

客引きや値段交渉を行なうことで、マージンを稼いでいるわけだ。

そう納得し、ふと顔を上げた、まさにそのとき。

タイヤ交換を終えたオジサンドライバーのタクシーが

すーっと目の間を走り過ぎて行った。

――なんだよ。こっちの方が早かったじゃん。

でも、頼んでしまったのだから、あとは待つしかない。

 

そして、数分後。

一台のオンボロタクシーが、目の前にスッと停まり

さっきの男が「これに乗れ」と手招きした。

改めて「シックス(6CUC)?」と確認すると、「イエス」の答え。

こちらの要望通り、600円少々でモロ要塞まで行ってくれるタクシーを

探し出してくれたのだった。

(マージン込みなので、実際の料金はもっと安いはず)

んじゃまあいいか、と乗り込むと、外に劣らず内側もボロボロ。

シートはつぎはぎだらけで、窓も開かない。

おまけに足下に穴が開いており、油断すると大変なことになりそうだった。

日本なら絶対に車検に通らない大中古車?だが

ここキューバでは、立派な現役だ。

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        乗ってしまえば、どってことないんだよね・・

 

さすがにエンジンの調子は悪くないらしく

低速ながらもスムーズに車は走る。

海峡の下をくぐる海底トンネルも無事に通過し

10分とかからず、対岸の先端に位置するモロ要塞の入口に到着した。

 

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              「ザ・要塞」のたたずまい      

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              今は、みんなの"憩いの場"

 

タクシーを降りたとたん、爽やかな海風が身体を包む。

溜まっていた熱気をスッと醒ましてくれた。

目の前には広々とした芝生越しに、うずくまる獣のような要塞の姿が。

さらにその先は、青々としたカリブ海(メキシコ湾?)。

十数分前、ぼーっと立っていた、

 

排気ガスとほこりだらけの旧市街とはまったく違う

まるでリゾート地のような、心地良さだった。

 

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              このまま昼寝したい気分

 

時刻は、16時をちょっと過ぎたあたり。

要塞の中を見て回ることもできたが、外の雰囲気があまりに快適だったので

わざわざ屋内に入っていく気になれなかった。

広々とした砦の周辺をぶらぶら歩いたり

砲台のモニュメントが並ぶ芝生の丘に寝転んだり

日向ぼっこ気分で、ゆったり1時間ほど過ごしたのだった。

 

一日中照り付けていた陽射しも傾いてきた、17時30分。

そろそろ、次の目的地を目指すことにしよう。

要塞の前の道で客待ちしていた、数台のタクシーに近づいていく。

バスにチャレンジする気力は、とっくのとうに尽きていた。

しかも、これから向かうのは旧市街ではなく

海岸沿いに西へ6キロほどの高級ホテル「National de Cuba」。

この中で開催される、予定の歌と踊りのショーCABARET PARISIENの

19時30分の回を観に行くことにしていたのだ。

 

公園広場でおこなった、先程のやり取りを思い出しながら

行き先(ホテル名)を告げ、値段交渉に取り掛かる。

だが、客待ちしているタクシーが少ないせいか

同じようなボロ車だというのに、今回はみんな強気だった。

それでも、最終的には10CUCで手を打ってくれた。

距離が倍ぐらいあったから、そこそこ妥当な値段だったのかもしれない。

 

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            強気だった、モロ要塞のタクシー

 

さすがはタクシー。

バスとは違い、10分ちょっとでホテル前へ。

ちなみにこの後の予定は・・

ロビーにあるチケットカウンターで、19時30分スタートの回を購入。

1時間程度のショーを楽しんだあとは、旧市街に戻り

この旅で一番美味しかったレストランEsquina de Cubaで

最後のディナーを、心ゆくまで楽しもう・・という目論見だった。

 

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                      National de Cuba。  右手の海岸通り沿いに・・見えるかな?

 

だが、しかし。

思った通りにいかないのが、キューバの旅の醍醐味?

しっかりかっちり、こちらの思惑をぶちこわしてくれるのだ。

 

ではでは、またね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"ハバナ最大級スーパー"の衝撃 キューバふたり旅 2020.2.26-3.5 6日目(その2)

2020年3月2日(月) ハバナ市内

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           路線バスの写真は・・・失念していた

        

1時間以上バス停で待ち続けたすえ、やっとこ乗車に成功。

幸い空席もゲットでき、ひと息つくこともできた。

あとは車窓風景を楽しみながら、時々グーグルマップをチェック。

目指すスーパーマーケットの近くに来たら、バスを降りるだけでいい。

 と、うっかり安心していたのだが‥‥

 

旧市街を北に抜け海岸線沿いに西へ進むにつれ、徐々に道が混雑。

この調子じゃ歩いた方がよっぽど早いと感じるほど、バスの速度がスローダウン。

しかもルートがあっちこっちに逸れまくり、出来の悪い一筆書きみたいだ。

 

ちなみにマップで見つけた「ハバナ最大のスーパーマーケット」の所在地は

中心街から西へ10キロほど離れた、Miramerと呼ばれる地域。

近くに日本大使館のある、ハバナ郊外の(高級〉住宅地だ。

だが、この〈くねくねぶり〉だと、いつになったらたどりつけることやら。

さらに時間が経つにつれ、車内の混雑ぶりはエスカレート。

気が付けば、どこのラッシュアワーかというぎゅうぎゅう詰め状態になっていた。

 それでも、乗ってしまったからには、ジタバタしても仕方ない。

エアコンもなく、人いきれでムンムンする満員バスに揺られること、およそ1時間。

このまま乗り続けていると離れるばかりだと判断し、適当なバス停で下車する。

改めてグーグルマップで確かめた目的地までの距離は・・およそ1キロ。

ふと顔を上げると、真昼の強い陽射しがカンカン降り注ぐ大通りが延々続いていた。

 

実は、事前に調べた路線図には、スーパーのすぐそばを通るルートもあったのだが

そもそも何分(時間)間隔で「バス停」に来るかが、わからない。

結果、候補に挙げた3つの〈番号〉のうち、最初に来たバスに飛びついたのものの

それは、目的地のかなり南の内陸を通るルートだった・・というわけ。

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               Miramarのニャンたち

ともかく気合を入れ直し、広い通りの街路樹の陰を伝うように、歩き出す。

しかし、このあたりの地区(Miramar)は、旧市街とまったく雰囲気が違っていた。

片側2車線の広い通り中心と両側に街路樹つきの歩道が延びており

綺麗に区画整理された庭付きの一戸建てが立ち並んでいる。

まるでホノルルの郊外に迷い込んだような、明るく広々とした住宅街。

――それもそのはず、革命前、アメリカ人が住んでいた〈外人専用地区〉らしい。

 

そんなこんなで、強烈な日差しに顔をしかめ

グーグルマップを頼りにさまようこと、およそ20分。

ようやっと、巨大な倉庫のようなスーパーマーケットを発見!

駐車場に入る車が列をなし、出入りするお客さんの数もハンパない。

よし。これならきっと、安くて美味しいお菓子やスパイスが揃っているはず!

さっそく、入口脇の荷物預かりカウンターにデイバックを預け

冷房の効いた広い店内へと、足を踏み入れた。

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     「ハバナ最大のスーパーマーケット」に、ついに到着!

 

・・・・・・・あれ?

なんか・・品数が、メッチャ少なくない?

カルフールとか、ミグロスとか、海外でよく見かける巨大スーパーと同じように

店内には長い商品棚がいくつも列を作っていた。

ところが、数十メートルも続く棚に並んでいる商品のバリエーションたるや

わずか2~3種類の繰り返しでしかない。

たとえば、お菓子なら「オレオ」と他の一種類だけが巨大な塊を作り

それが一定間隔で、ドカンドカンと積まれているだけだったのだ。

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       ハバナ最大のスーパー、充実のラインナップ

 

フランスやイタリアの国旗が並んでいるような、2~3色の連なりに

30数年前、解放間もない中国の百貨店で目にした光景が、重なり合い

――社会主義キューバを、痛感させられた。

多彩な品々を競い合う資本主義国と違い、ここキューバは輸入が統制されている。

そのため認可された特定の商品以外、市場に出回らない。

この国に来て以来、商店に入るたび感じた〈物足りなさ〉の原因は

なんと政治システムの違いにあったのだ。

 

かくして、旧市街のバス停エリアでの「待ちぼうけ」に始まる

3時間余りの苦闘の末たどりついた「ハバナ最大のスーパーマーケット」で

我々はなにひとつ購入せず、よろよろと退去していた。

 

気が付けば、すでに13時近く。

そろそろ何か食べたいね。それより喉がカラカラだよ。

力なく言葉を交わし、グーグルマップでランチに良さそうな店をリサーチすると

うってつけの情報をゲット。すぐ近く人気のレストランが!

「南国らしい雰囲気の店」という紹介文から、期待を胸にたどりつくと・・閉鎖中。

年中無休とあったのに、営業している雰囲気は皆無。潰れたのかも。

 

それでも、数軒先のジェラート店は営業中で、かなりの客で賑わっていた。

気を取り直してその店「El Gelato」に入り、ダブルのワッフルコーン(2CUC)を注文。

少々物足りなかったが、昼食代わりにする。

実際のところ、空腹より喉の渇き方が厳しかったので、二人とも不満はなかった。

だがオーダーする直前、食欲とは異なる思いが、一瞬、頭をよぎる。

・・ここの氷もヤバイんじゃないか?

連日我らのお腹に悪さをしている〈生水〉への「不安」だ。

しかし、冷たいスイーツへの誘惑は、ちっぽけな不安をあっさり吹き飛ばし

気づいたときには、共に満足顔でワッフルコーンを完食していた。

その結果、どうなったかは――次回に続く。

 

ではでは、またね。

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            対岸から、ハバナ市街を臨む