2020年3月2日(月) ハバナ市内
ハバナのランドマーク・National de Cuba
1930年に建てられたハバナのシンボル的ホテル、National de Cuba。
その専用舞台で、毎晩開催されるCAVARET PARISIEN鑑賞すべく
アンティークな家具や装飾が点在する、はっきり言って場違いな館内へと侵入。
位置口近くにあったチケットカウンターで、当日券の購入を申し込む。
19時30分と21時の2回、講演があると「歩き方」に書いてあったので
夕食を考えれば、19時30分スタートの一択だった。
しかし、「本日分のチケットを2人分ほしい」までは「OK」だったが
希望の時間を告げると、窓口の女性は小さく首を振り
正面ガラスに貼られた一枚の紙を、指し示した。
そこに記されていたのは、ショーの開始時間――「OPEN/ 21:00」。
オフシーズンのせいか、夜9時スタートの1回しか行なわれていなかったのだ。
今夜、予定していたレストランの営業時間は、深夜0時まで。
終了後すぐにタクシーで乗り付ければ、ギリギリ間に合うタイミングではある。
とはいえ、のんびりゆったりという気分には、ほど遠い。
また、深夜の旧市街からホテルまでトコトコ歩てい帰るのも、少々心細い。
・・となると「ディナー」か「ショー」、どちらか諦めるしかない。
ディナー派のオレと、キャバレー派の相方で、ディスカッションが始まった。
「あのレストランではシーフード(ロブスター)しか食べていない。
まだキューバで旨い肉に出会えていないので、ぜひオーダーしたいのだ」
と、訴えるディナー派。
(この時点で腹の不調はだいぶ収まっていた。というかトイレが頻繁なだけで
胃袋の方は元気だったから、食べる分には問題なかったのだ。
多少は「生水」に慣れたのか、昼間のジェラートも悪さをしてこなかった)
けれども相方は、いまだに〈トリニダー豚〉のダメージを引きずっており
普段の半分も食べることが出来ない状態だという。
そんな彼女にすれば、ずっと楽しみにしていたショーを諦めてまで
ディナーを優先する気にはなれないのも、無理はなかった。
結局のところ・・
ま、2回目よりは1回目の勝ちだよな――と、ショーをチョイス。
21時スタートのチケットを、2人分購入する。
ちなみに料金は、ひとり35CUC(ワンドリンク付き)。
「歩き方」に"一般客は40"とあったが、ホテルゲスト扱いだった。
ちょっと嬉しい。
てなわけで、いきなり生じた3時間以上ものフリータイム。
時間つぶしをかねて、どこかで簡単に夕食を済ませよう。
ホテルを出て、グーグルマップを見ながら、手頃な店を探してみた。
しかし、周辺は、ハバナでも有数の高級?エリア。
どこととなく、ホノルルの繁華街や、アジアンリゾートの中心地を連想させる
綺麗に整備された広い通りと、明らかに海外の観光客をターゲットにした
あか抜けたテラス風の店が、待ち構えていた。
入口のメニュー表を確認してみると、予想通り、料金設定もそれなり。
もちろん、日本の高級レストランに比べれば、はるかに安いんだけどね。
今夜のディナーに期待dていたオッサンは、ついつい愚痴っぽくなってしまう。
それでも、何かお腹に入れないと持たないことは明らかだった。
15分ほどあちこち覗いて回ったすえ、隠れ家風の飲み屋(カフェ)へ。
モヒートとハンバーガーで、簡単に済ませた。
食事よりお酒優先の、ゆったりくつろげる雰囲気だったが
呑み過ぎて、ショーの最中に「寝落ち」するわけにはいかない。
1時間ほどで切り上げ、海岸沿いの道をぶらつくことに。
カフェ・・じゃなくてbarだよね
地元の有名アイス店。営業時間内だっだけど閉店中
夜の8時過ぎとあって、すでにあたりは真っ暗。
カリブ海(メキシコ湾)にそって広い車道と歩道が延びており
街灯も点いていたが、やたら間隔が広く
「明るさ」より「暗さ」の方が完全に勝っていた。
それでも、家族・友人・カップルなどなど、かなりの人出が繰り出し
散歩したり護岸に腰掛け海を流めたり、思い思いに楽しんでいた。
夕食時に飲んだモヒートでほろ酔い気分だった我々も
ときどき、ドシャッと降り掛かってくる波しぶきを避けたり
落とし穴のように口を開ける歩道の亀裂につまずきかけたりと
スリリングながらも、楽しいひとときを過ごした。
数人の若者がこちらの姿に目を止め
「どこから来たの?」「日本だよ」「Oh Japan! ようこそ、キューバへ!」
なんてやりとりしたことも、いい思い出だ。
この波が、ときどきドワッと降りかかる
「キャバレー」入口。PARISIENだけにエッフェル塔。
8時30分より少し前、ホテルの左手にあるショーのゲートに行くと
すでにタキシード姿の案内人が(年配の男性)が立っており
どうぞ中へ、と指し示したので、そのまま進み、専用入口の前で座って待つ。
なんと1番先頭だった。
ひょっとして・・ガラガラだったり?
それでも開演時間が近づくと、何組かが後ろに並び、10分間には入場開始。
ヨーロッパのお屋敷か、映画館のロビーか、という雰囲気のエントランスを通り
先導する案内人に従って、指定されたテーブル席に着席する。
あらかじめ座席は決まってるらしく、早く並んだメリットはなさそうだった。
だが、比較的空いていたおかげか、最前列から数列後ろの斜め30度あたりという
いわゆるベストポジションを用意してもらえた。
相席もなく、6人用ほどの広いテーブル席をふたり占め。
のんびりドリンク(モヒート)をいただきながら
開幕直前までしだいに埋まっていく会場の雰囲気を楽しむ。
そして、前座からメインまで、バラエティ&ボリュームたっぷりのステージ。
まずは楽器を手にした数人が舞台に登場、キューバの定番ミュージックを奏でる。
その間にも、ホテル滞在者らしきやや着飾った客がどんどん入って来て
最終的には8割程度の席が埋まった。(満席で4~500人あたり・・かな)
15分ぐらい経って、いよいよショーは本番に突入。
最初のうちは、フラメンコみたいな少人数による軽めの音楽だったので
これは失敗したかな・・と後悔しかけたけど
そんな不安を吹き飛ばすように、歌と踊りが目まぐるしく移り変わっていく。
気づけば、舞台狭しと歌い手と踊り子合わせて50人ほどが
圧巻のステージを繰り広げていた。
とくに、歌が、声がスゴイ。
大きく強く高く明るい・・〈ラテン版井上陽水〉と名づけたい喉の持ち主が
これでもかと、リズムとビートに乗った美声を披露する。
こんな感じで、曲想・衣装・歌い手がどんどん切り替わっていく
キューバというより、カリブ風?
いったい、いつまで続くのか‥‥
おまけに、「歩き方」には「ワンステージ45分」と書いてあったのに
45分どころか、1時間を回っても、まるで終わりそうな気配がない
その間も、およそ5分ごとに出演者が切り替わり、ボルテージは高まるばかり。
途中からは、歌と踊りに酔ったような、どこか夢見心地の気分になっていた。
ようやっと、クライマックスへ
フィナーレは"全員集合"で、大盛り上がり
すべてが終わったのは、実に11時近く。
前座の時間を除いても1時間30分に渡る、特大ボリュームのステージだった。
映画やコンサートはまだしも
芝居や踊りの鑑賞には、いまひとつ興味を持てずにいたのだが
今回ばかりは、「別格」と賞賛してしまおう。
強く希望していた相方に、感謝したい。
高揚した気分のままゲートに出ると
そこには、客待ちのタクシーが何台か並んでいた。
さすがに昼間乗ったようなオンボロは、どこにも見当たらない。
街灯の明かりを鏡のように写す、ツルッツルのおニュー(古いね)ばかり。
これまたビシッとした身なりのドライバーに、ホテルの住所を告げると
すかさず「15(CUC)」の答え。相場の倍の値段だった。
こちらの値引き交渉にも、自信たっぷりを首を振る。
・・ま、しょうがないか。
承諾して乗り込むと、さすがはホテル専属?タクシー。
ガラガラの海岸通りを猛スピードでかっ飛ばし
わずか4~5分で、ホテルの正面にピタリ。
これぞ、プロフェッショナル!
調子にのってチップをはずむと、ニヤリと笑って去って行った。
それにしても、5円のバスから穴あきボロ車。
最後は高級ホテル御用達のタクシーと、たった1日でいろんな車にのったものだ。
でもまだ観光用のクラシックカーも、リキシャみたいなバイクタクシーも残っている。
明日の午前中、飛行機の時間を気にしながらチャレンジするのも中途半端だし
いちおう〈次回のお楽しみ〉に取っておこう。
ではでは、またね。