2022年1月27日(木)養老渓谷⇒勝浦⇒白浜
この一杯で、ようやく"旅"が始まる
朝、目が覚めると、なにやら窓の外が白い。
カーテンを開けてみたら、昨日の夕方「水墨画」状態だった森の木々が
細い枝の先まで白く染まっていた。
霧氷・・木々に降りた露が、明け方の氷点下で、まるっと凍結していたのだ。
まさか房総半島で、こんな寒~い景色を拝めるとは。
白っぽく見えるのは、全部氷・・のはず。
その後、定番の旅館朝食を済ませ、チェックアウト。
昨日曇りがちだったため後回しにしていた、付近の散策に出かける。
目指すは、養老渓谷のシンボル・養老の滝(栗又の滝)。
宿の正面にある入口は閉鎖中だったので、右手の駐車場近くの坂道を下ってゆく。
ほんの数分で川に沿った遊歩道にたどりつき、ちょっと左に歩くと
目の前に養老の滝(正式名「栗又の滝」)が待ち構えていた。
後光のように朝日をまとう、養老(栗又)の滝
渓谷の向きから予想いていた通り、午前中は川面まで日差しが届いており
巨大な岩の上をすべるように流れる滝の水が、キラキラ輝いて見えた。
・・さすが、ひところ大衆居酒屋の代名詞にもなった名瀑。
ポカポカ降り注ぐ陽射しを浴びながら、しばらく見とれていた。
帰り道でみかけた「養老のニャン」。なかなかの美形だ。
せっかくだから、滝に沿って登る遊歩道をぐるっと回って行こうとしたのだが
登り口のところが、赤いロープで通せんぼ。
遊歩道の先を見上げると、板張りの小さな橋がこわれたまま。
確かに、これでは歩いていくのは無理だ。
ああ、だから宿の正面の入り口が閉まっていたのか。
のちほど車道に沿って歩いてみたら、修復工事が行なわていたから
おそらく観光シーズン(桜の季節?)には、歩けるようになるのだろう。
旅館でもらったパンフレットには
ほかにも「おすすめハイキングコース」が記されていたけど
今回は山歩きの準備をしてこなかったので、次の機会に。
車に戻って、一路、朝市の街・勝浦へ!
――と決めてればよかったのたが
ここでも、〈せっかく魔人〉の"悪魔のささやき"に従ってしまった。
いわく・・せっかくここまで来たんだから、近くの「道の駅」に寄っていこーぜ。
誘惑に負け、昨日走った道を逆戻り。
養老渓谷の入り口から大多喜町に向かい、道の駅・「たけゆらの里おおたき」へ。
結果は――残念ながら、"掘り出し物"には出逢えずじまい。
欲をかくと、大抵こうなるよね。
で、それから気を取り直して勝浦を目指したのだが・・
結果的には、この〈寄り道〉によるタイムロスのおかげで
朝市の営業時間(朝6~11時)に、タッチの差で間に合わず。
ガラーンとした「朝市通り」を、あてもなくうろうろするハメになった。
ここに到着したときは、11時30分近くになっていた
"ガッカリ"を救ってくれた、遠見岬神社(の石段)
それでも、悔し紛れに"ビッグひな祭り"で有名な遠見岬(とみさき)神社に
アタックしたのは、不幸中の幸いだった。
まず、3万体のひな人形が飾られる石段の前にあった社務所で
"この旅いちばんの土産物"をゲット!
ーー焼き物で作られた、カツオとタイのおみくじ。
一個300円。
貴金属や工芸品、高級食材とかより
こういうキッチュなものが大好きなのだから、仕方ない。
心がホッコリした「勝男みくじ」と「金女みくじ」
おみくじと一緒に結ぶ人もいるけど、もちろん"お持ち帰り"だ。
ちなみに、引き当てたのは「大吉」と「吉」。
どちらも「旅」の項目は、ラッキーとのことだった。
本殿へ続く坂道から眺める勝浦の街。やっぱ晴れてると気持ちいい。
本殿。賽銭箱の上でにらみを利かせる「龍」がキュート。
その後、総勢1800体のひな人形が飾られる60段の石段を昇り
小高い丘の上にある本殿までお詣りして、勝浦散策は終了。
ちょうどお昼時になったので、かねてからチェックしておいた
ご当地ラーメン・勝浦タンタンメンの名店「ラグタイム」へと、車を走らせた。
なんでもイタリア料理店のくせに
ランチタイムは勝浦タンタンメンで人気なのだという。
砂浜のすぐ上に建つ「ラグタイム」。※食後に撮った一枚
太平洋を右手に北上すること、数分。
浜辺に面して建つ、オシャレな洋館の前へと到着した。
ドアを開けて入ると、内部は明らかにカフェというよりバーの雰囲気。
右手の長いカウンターの奥には、洋酒のボトルがずらりと並び
おそらくジャズなのだろう、ライブ演奏のセットまで用意されている。
それでも、入口の扉にも店内のメニューにも
「勝浦タンタンメン」の文字が、威勢よく踊っていた。
幸い、先客は2組ほど。
太平洋に臨む奥のテーブルを選び、迷わず「勝浦タンタンメン」をオーダー。
このアングルだと、完全にBar。実際、夜は"大人の店"に変身する。
辛いのがあまり得意でない相方も、「これは美味しい!」と感激していた。
正直、この一杯を口にするまで、いまひとつテンションが高まらず
"今回の旅はイマイチかも・・"と、悲観的になりかけていた。
この瞬間を境に、勝浦まで来たかいがあった。やっぱ旅はいい!
・・と、いともあっさり掌を返すことに。
それぐらい、"赤く燃え上がる!"勝浦タンタンメンに魅了されてしまったのだ。
なにしろ、次に来た時は、どこのお店に入ろうか。
なんて、いまから"二杯目"を楽しみにしているのだから。
意外性や驚きとの出逢いこそが、旅の醍醐味。
2日目半ばにして、ようやくエンジンがかかってきたようだ。
食後、広い砂浜を散歩する。これもまた旅の"お約束"
メレンゲみたいな、波の果て
ではでは、またね。