有名人は〈ストレスの捌け口〉じゃないよ 「綾瀬はるかコロナ入院」批判にウンザリ  本日の”なんだかなぁ”

いちおう「業界人(元)」なので

本人と挨拶ぐらいは交わしたことがある。

だからといって、とりわけファンでも"お気に"でもない。

単に「メジャーな女優の一人」という程度の認識だ。

なので、ごく客観的な一般論として

今回の「言いがかり」について論じてみたい。

 

まず、新型コロナ感染者の多くが入院できない状況のなか

入院&治療を受けられた事実に対し

彼女を批判した典型的な投稿は、以下のようだったと記憶している。

 

(我々のような一般庶民は、入院できず自宅療養を強いられているのに

 簡単に?入院できちゃうなんて)

やっぱり、芸能人(or上級国民)は特別扱いなんですね

 

まず指摘したいのは、最初の前提自体が〈先入観の塊〉だということ。

だって、「やっぱり」だよ。

「入院できないケース」ばかりが大騒ぎされているが

当然の如く、芸能人や上級国民?でもなくても

現在、コロナで入院している患者さんは、それこそ山ほどいらっしゃる。

その現状をまるっと無視して

「やっぱり」つまり「予想通り」という言葉を使うからには

〈特別扱いされた〉という証拠が存在しているはずだ。

こちとら情報収集能力に欠けているせいか

どう調べても、そうした〈特別扱い〉に類する事実を見つけることができない。

 

〈特別扱い〉が証明できるのであれば、まずそれを公開してほしい。

できなければ、"有名な芸能人だから特別扱いされたはず!"という

批判者の憶測=偏見でしかない。

〈確認なしの結論ありき〉という、最低の誹謗中傷だ。

 

そもそも、綾瀬はるかの入院を「芸能人(上級国民)だから」と断じてしまうのは

野々村真に、余りにも失礼ではないか?

すでに批判者の中で、「綾瀬はるか=メジャー芸能人✖野々村真=そうでもない人」

みたいな格付け、すなわち〈差別意識〉が働いていることを如実に示している。

自身の差別意識を一顧だにせず、ただ外部に存在するかもしれない差別を糾弾するのは

あまりにも幼稚で、情けない精神構造である。

 

。。おっと、こんな言葉遣いにケチをつけたくて描き始めたんじゃなかったよ。

本論は、その先。

 

すなわち「なぜ、特別扱いだとダメなのか?」ってこと。

 

この世界も人類も、1万年前、神によって創造されたものである。

したがって、人間がサルから進化したなどという馬鹿げた説は絶対にありえない。

今もアメリカ人の3割(聖書福音派)が、上の二行を固く信じているように

"すべての国民は平等である"

――との理想論を盲信している方々には何を言っても無駄だろうが

黙ってると同類だと思われかねないので、ダメ元で書くぞ。

 

「人は皆平等」という文言は、確かに正論であり、美しい。

だが、そこには、必ず〈可能な限り〉という限定条件が付随する。

当たり前だ。

タイタニック号が沈没する直前

絶望的に少ない救命ボートに誰が乗り込むか・・

それを決定したのは、〈全員の機会平等〉を叶える、くじ引きか?

違うだろう。

より多くの未来と可能性を秘めた、年少の人々が最優先されたと記憶している。

(もちろん、どんな手を使っても生き延びようとするゲスはどこにもでもいるが)

 

あれれ?

ちょっとズレてしまったか。

今回は、"若者と老人の平等性"に対する疑問ではない。

(これについても語りたいことがてんこ盛りだが)

特別な(特に秀でた)人は、特別扱いされて当然だ

という、これまた「自明の理」について語らねばいかんのだった。

 

分かりやすい例を挙げると

昨年春のパンデミック発生以来、文字通り命を削って患者の救命に勤めてきた医師と

「マスクなんかいらない!」とデモンストレーションを続けきた若い活動家が

同時期に新型コロナに感染、発症し、入院する必要性が生じたとする。

だが、残念ながら、現状で受け入れ可能な病床は、ひとつしかない。

・・さて、もしあなたが入院の可否を決める責任者だったら、どうする?

〈国民は平等〉の建前を厳守し、くじ引きで決める?

それとも〈未来の可能性〉を配慮し、より若い活動家にベッドを提供する?

少なくとも、文言通り〈平等〉を貫くなら、いずれかになるはずだ。

でも、一人の人間として、納得できるだろうか・・

哀しいかな、それぐらい〈平等〉という理想論は"現実的ではない"のである。

 

もっと簡単に言うと、アメリカ大統領や日本国首相のように

誰が見ても特別な責任を負っていると確信できる人物が、新型コロナに感染。

緊急入院が必要となれば、当然「特別扱い」されるだろう。

なぜなら、特別扱いされるだけの特別(重要)な仕事に就いているのだから。

ここで「俺の家族が入院できないのはおかしい!」と怒る方は

オリンピック開催に対し「娘の運動会はなぜ中止になるのか!」と叫ぶ人と同様

自分(たち)の存在価値しか考えない、残念な人々だと断じざるを得ない。

 

では、これが芸能人だったら?

有名なアスリートも同じカテゴリーに入るが

これまた、我々一般人とは「知名度」も「財力」も「影響力」も、ケタ違いだ。

当然、社会的な責務も巨大になるわけで

だからこそ、ひとたび事件やスキャンダルを起こすと

一般庶民とは比べ物にならない罰則やバッシングを喰らうわけだ。

むしろ熱烈なファンの存在などを考えれば

今どきの政治家などより、ずっと大きな「力」を持っている。

それほど「特別」な人気俳優が、なぜ特別扱いされてはならないのか?

むしろ、そこに〈平等〉を持ち出す批判者の方に

致命的ともいえる"バランス感覚の欠落"を認めざるをえない。

 

また、これも〈国民は皆平等〉という概念から外れるが。

現実問題として、金に糸目を付けなければ

コロナ感染で即入院することは、いくらでも可能だ。

いま日本中で大騒ぎになっている「コロナ患者専用ベッドが足りない」事件は

あくまでも、〈医療保険の適用範囲内で〉という但し書き付きなのだから。

 

上記の「特別扱い」は、医療の世界では、ごく当たり前の風景だ。

ある芸能人は、オーストラリアに渡り

(巨額の医療費を払って)ガンの最先端医療を受けたし。

整形外科の大御所は、何度も末期ガンの窮地に立たされながらも

(巨万の金をつぎ込み)いまなお、頑張り続けている。

日本では認められない心臓移植を受けるため、数億円の寄付を募り

我が子の命を救うべく、アメリカなどに渡る人々もまた例外ではない。

 

少なくとも医療において、〈平等意識〉などは、絵に描いた餅に過ぎない。

なのにどうして、新型コロナに限って「特別扱い」という叫び声が噴出するのか。

・・それだけ我々大衆が、この病気に苦んでいる証しなのだろう。

だから、少しでも自分たちが軽んじられている感じると

これ幸いとばかり《魔女狩り》に精を出し、ストレスを発散するわけだ。

本来、その攻撃の矛先が向かうべき〈元凶〉でないと察しながらも

ついつい、不満をぶちまけてしまう。

 

ーーこんなにも、無意味な吊るし上げが、いったいいつまで続くのだろう。

オリンピック騒動で火の粉を被った、アスリートと関係者の皆さん。

ちょっとした失言を鬼の首を獲ったように攻撃される、タレントや文化人の皆さん。

たまたま運よく入院できただけかもしれない、綾瀬さんにも。

どうか、一瞬のストレス発散でしかない誹謗中傷メールで心を砕かれ

間違っても、自分を責めるようにだけは、なりませんように。

 

木村花さんのように

最悪の結末を迎えようとも

だれひとり、責任なんか取ってくれないんだから。

 

ではでは、またね。