久しぶりの「余白」に、ホッとした。
でもって、改めて強く思った。
――やっぱ、"手作り感"が伝わってくるマンガって、いいな。
ここんとこ、「大人気!」との声に引っ張られ
〈主要キャラ以外アシスタント作+コテコテCG背景)的な
連載作品ばかり読んでたせいもあるけど
「描かれていない部分の大切さ」が、すごく大事だと教えてもらった。
・・おっと、こんな半端な技術論を書くつもりじゃなかっんだけど
ろくに知らない「絵柄」に関してまで、ついつい口を挟みたくなるような
見どころ読みどころてんこ盛りのシロモノなのだよ。ホント。
てなわけで、アイドリング完了。
なにより、登場人物のセリフが、たまらない。
笑いとシリアス、明るさと暗さ、軽さと重さ、テンポの緩急。
何回も読み返してしまう麻薬性に、すっかり気分はジャンキーだ。
例えば、いまだ姉に頭が上がらぬ30代隠れ漫画家野郎と、主人公(甥っ子)の会話。
姉ちゃんが言ってないなら オレが言うワケにいかん(はあ?)
お前は一人っ子だからわかんねーだろうが
姉に対する裏切り行為は死につながる(死!?)
大体聞いたらお前はグレる絶対グレるグレるに5000ガバス
(グレないから…)グレるよ
グレにグレまくって夜の校舎窓ガラス壊して回る動画をネットに上げて炎上させたり
盗んだバイクをフリマアプリで売ったりするね!(しないわ!!)
オレの監督下でそんなことになりゃ一回死んだぐらいじゃ許されないんだよ
わかるな!?(……わかったよ)
(おじさんは結局 自分がかわいいんだ)トスッ※吹き出しの先端が胸に突き刺さる
ちがう…おじちゃんは直(なお)の幸せを思って…(自分が怒られたくないだけだよ)
(そんなの 俺の大好きなおじちゃんじゃねェや!!)
ぐう (ぐうの音…?) 〔第一巻 75~76ページ〕
実は、この会話を受けて、さらなるオチが用意されてるのだが
際限なくなるので、ここらでやめとこう。
なーにが食べたい~~ん? スーシー? テンプラー~? 二郎系~?
※ピシャッ! 〈玄関の扉を閉める直達) …今 何か隠した? (いや…)
王蟲(オーム)の子供でもいるのか? (何もいない! 何もいないったら)
〔第二巻 6ページ〕
とにかく、いろんな感情のバランスが絶妙。
いろんな登場人物の視点を借りて、この豊潤な世界を楽しんでほしい。
もうひとつ、声を大にしてお勧めしたいのが――
ぜひ試してほしい、再読法。
榊さん(千沙)の年齢を、10歳ばかり引き算。
直達くんと同年代の少女(高校生)にして、最初から読み直すこと。
"もうひとつの世界"を、楽しめるはずだ。
ついでに、〈小ネタ)にも触れよう。
背景に出てくる「名前」とか「題名」が最高。
毬林門楼(中華料理店)
演劇部公演 シンデレラvsメカシンデレラ
パチンコ&スロット ヒノクルマ
頭のてっぺんからシッポの先まで、アンコがぎゅうぎゅうに詰まっている。
最後に、ネコのムーちゃん(正式名「ミスター・ムーンライト」)。
おでこの「М」が、大島弓子の「グーグー」と一緒。
要所要所て、とってもいい味をだしてる。
『グーグーだって猫である』を読んだ人は、ちょっと胸も痛くなるよ。
「私の中に修羅がおるのです…
ちょっと考えれば みんなこんなイヤな思い しなくてすんだのに。
私の中の修羅が……!」
「あー 修羅ね 大丈夫大丈夫
みんなにもいるよォ~ ピロリ菌みたいなもんだよ」※ピロピロ
「ピロリ菌」 〔第二巻 102ページ〕
・・ああ、たまらない。
ではでは、またね。