本編に魅了され、番外編でホロリ。"ラブコメの女王"降臨  『恋愛ラボ』(全15+1巻)宮原るり 周回遅れのマンガRock

同じ作者の『僕らはみんな河合荘』でもベタ褒めしたけど

面白いのだから、仕方ない。

 

男前度マックスの"ワイルドの君"、倉橋莉子が

"恋に恋しすぎる"妄想美少女生徒会長・真木夏緒と出会い

二人を中心に繰り広げられる〈ヘッポコラブラブ中学生ライフ〉を描いた

暴走しまくりつつも、"恋する心"だけはガッチリ掴んで離さない。

絶妙のバランス感覚で全15+1巻(8.5も加えると17巻)を

圧倒的求心力で走り走り抜ける

文句なしの『王道トンデモラブコメマンガ』である。

 

実は、去年のアタマに、1巻から最終15巻までを読了。

同年9月に後日談を含めた『恋愛研究レポート』の発売を知り

すぐ手に入れたのだが、あっさり読み終えてしまうのがもったいなくて

勝手に"熟成期間"を設置。

およそ1年後の先月後半から、満を持して全巻読み通したのだった。

 

10巻以降はまだしも、表紙デザインが改まる前の9巻あたりまでは

少なくとも4~5回は読み返していた。

にもかかわらず、ムチャクチャ面白い!

おまけに、とんでもなく可愛い!

いい歳したオッサンが、何の抵抗もなく中学時代へとタイムリープ

自分自身の"哀しき青春"を想い返しながら

照れて、笑って、怒って、共感し、悔しがり、ドキドキの連続。

開いたページ向かって、笑い声やら涙を浮かべてしまう。

――こんな姿、誰にも絶対に見せられない。

 

もともと「まんがタイム」という4コマ漫画雑誌の連載作品だっただけに

基本は1ページに〈4コマ作品〉が2つ並ぶコマ割りで、展開する。

しかし話が進み、登場人物の"想い"が強まるにつれ

4コマ漫画のセオリー「起・承・転・結」などのルールが

次から次へと、ぶち破られていく。

その"緩急の加え方"が、とんでもなく気持ちいい。

 

なかでも、絶賛したいのが

サブキャラや過去話をメインに展開する番外編(第9巻)と

主人公たちの"その後"を集めた「恋愛研究レポート」(事実上の最終巻)。

実際、第9巻とか、何度も読み返して、内容だって完全に覚えている。

なのに、ページを開くたび、甘酸っぱい想いが胸いっぱいに込み上げてくる。

とりわけ「EPISODE.7」(勝手に『眼福』と命名)は、凶器を使った"反則技"。

何人かの孫を持つ"ジジ"としては、まさに狙い撃ちされた気分だ。

 

同じことは、今回唯一の初読だった「恋愛研究レポート」にもいえるだろう。

本編のエンド以降、高校生になった主人公たちの"その後"を

チラ見せてする〈スピンオフストーリー〉なのだが

単に"恋の行方"を追うのではなく、周りのサブキャラたちを巻き込み

〈外から目線〉で、カップルの成長ぶりを描いてみせるのだ。

ほんっと、頭のてっぺんから足の先まで

憎いばかりに"キャラが活かされている"作品だ!・・と感心してしまう。

 

ちなみに、そうした〈キャラ使いの妙技〉を味わうためにも

同じ作者の『みそララ』(1~6巻)の事前チェックは、必須だろう。

思わぬ場面で、同作の登場人物たちが顔を出し

ときには、思っきしヘビーに関わってくるのだから。

※主人公グループの一人の兄が、『みそララ』の主要人物だったりする。

 

そんなわけで、『みそララ』『僕らはみんな河合荘』に続き

本作もまた、文句なしで《殿堂入り》に決定!!

我が家の狭い本棚に並ぶこととなった。

前回紹介した『獣の奏者』の再読は、10年後だけど

こっちはおそらく2~3年後には、"もう1周"しているだろう。

マンガの〈リピート力〉って、ほんっとにハンパないから。

 

ではでは、またね。