2020年2月28日(金) ハバナ⇒トリニダー
グーグルマップで確かめておいたカーサ(宿)の場所は正しく
距離も予定到着時刻も、間違ってはいなかった。
・・ただし、ほぼ全行程が登り坂であり
おまけに、ガタガタの石畳道だということを除けば。
最初のうちは舗装道路だったこともあり
気楽な気分で歩き出した。
しかし、カーサに向かう坂道に入ってからというもの
路面は石畳というより、いたるところ丸石がコロゴロ浮き出た
スーツケース泣かせのデコボコ道。
両脇に並ぶ家の戸口を結んで、一段高くなった位置に
人ひとり歩ける幅の平坦な通路が続いていたが、そこにも段差があり
地元の子供たちの遊び場にもなっているので
しよっちゅう「ちょっとゴメンネ」とお願いし、どいてもらわないと通れない。
こんなことなら、最初からリキシャタクシーを頼めばよかった。
後悔するも、後の祭り。
片手にスーツケースの取っ手、片手にスマホ(マップ)を握りしめ
あと半分・・あと三分の一・・汗だくになって歩くこと、15分あまり。
もうちょっとだ、と顔を上げたその先に、一人の女性が人待ち顔でたたずんでいた。
他でもない、予約した宿の女主人そのひと。
予定より2時間近く到着が遅れてたので
心配になって、様子を見に出てきてくれたのだ。
こちらの姿に目を留め、すぐ予約した客だと分かったのだろう
満面の笑顔で屋内に迎え入れ、住居スペースの先にある部屋へと案内してくれた。
トリニダーで予約したHOSTAL Maria de Rosasは
ネットで見つけた人気の宿。
2泊朝食付きで48ユーロと、日本の感覚からすると約安だ。
自宅の一部を使った「民宿」で、2部屋だけが宿泊客に提供されていた。
建物自体はかなり古そうだったが、内装をリニューアルしたのだろう
客室はシンプルながらも清潔そのもの。
ベッドや水回りなどの設備も、ホテル並みの充実ぶりだった。
ひととおり部屋の使い方、鍵の開け方などを教えてもらうが
鍵を開けるのにちょっとコツが必要(ドアを内側に押し上げる?)で
そのやり方を習得するまで、何度か試行錯誤する。
さらに、正面(自宅側)と裏(客室側)の2カ所あるドアのうち
宿泊客は裏側だけを使って欲しい、と説明を受けたのだが・・
彼女のスペイン語訛りが強く、「ドア」という単語が「ドール」としか聞こえず
「人形?人形ってなんのこと?」と、また何度も聴き返すはめになった。
そのたび、女主人は大きなため息をつくものの
すぐにまた気を取り直して「OK!」と笑顔で応え
最初から説明を繰り返してくれた。
おかけで「ドール=ドア」だと気が付き、しっかりと確認することができた。
女主人の前向きな姿勢に、さすがは人気の宿と納得する。
その後、2階のテラス席でウェルカムドリンクをいただきながら
朝食の時間と場所に関する説明を受ける。
この頃になると、女主人のスペイン語訛りが強すぎて聞き取れないことを痛感。
「会話」より「筆記」の方が.意思疎通しやすいことに気づいたので
キーワードをメモ帳に英単語を書いて伝えるようになった。
明日の行動予定に考えていた「ホースライディングツアー」も
頑張って発した英単語は通じず、案の定聞き返されてしまったので
「Hourse Riding Tour」とメモ帳に書くと、一発で通じた。
大きく頷くと、女主人はケータイで誰かと連絡を取り
立ち去り際、しばらくこの場で待つようにと言い残した。
すると数分後、一人の男が登場する。彼がツアーの催行者らしい。
さっそく持参した写真入りのアルバムを広げ、ツアー内容を説明し始める。
これまたスペイン語とカタコトの英語(スペイン語訛り強し)しか通じなかったが
内容に関してはホテルで聞いたツアーと大差なく
馬に乗って滝の近くまで行き、そこでしばらく過ごし、また馬で戻るという。
ただし、ホテルのツアーとは異なり、2人だけの〈貸し切り〉なので
出発時間も帰りの時間も希望通りに変更できるようだ。
試しに、早めに戻って来ることも可能かと訊くと、まったく問題ないという、
それならいいかな、と思い、料金を訊いてみる。
すると彼は何か考えるように遠くに目をやってから・・「30CUC」と宣言した。
おいおい、高級ホテルのツアーよりも高いぞ。
ネットで調べた相場は「16」だったし。
ここは、しっかり値段交渉に取りかからなければ・・
そう思って、背筋を伸ばした矢先。
隣から、「いいんじゃない」という相方の声が聞こえてきた。
このひと言で、張り詰めていた気分にアリの一穴が穿たれてしまう。
う~~ん、それもそうか。
往復3時間も馬に乗って4000円なら、決して高くないし。
それに、2人だけの専属ガイド付きだ。
・・などなど、値切ろうとした決意がガラガラガラと崩れていく。
結局、言い値でOK。それも、ランチ込みの1人40CUCで申し込んでしまった。
おまけに、相方に借りて使ったボールペンの書き味がよかったのだろう
「これをオレにくれないか?」と言い始める。
すると相方は、当然のように「どーぞどーぞ」とプレゼントする始末。
さぞや「なんてお人よしのカモなんだ!」と思ったのだろう
明日朝の出発時間を確認すると、彼は会心の笑みを浮かべながら帰っていった。
肝心なところでグズグズになる性分は、いつまでたっても治らないなぁ。
それにしても、今回の失態!で.
さらに「日本人は"たかり放題"のカモ」という評判を広めてしまった気がする。
この後、トリニダーの旅を考えている方は、ぜひとも、汚名挽回を!
なにはともあれ、明日の「乗馬ツアー」は予約完了。
当初の目論見どおり、10時出発の15時戻りで申し込めたおかげで
ツアー後の〈トリニダー散策〉もたっぷり楽しめそうだった。
とりあえず、いったん部屋に戻って、小休止。
冷蔵庫を開けると、中には無料のミネラルウォーターが。ありがたい。
トイレ&シャワーも文句なし。たっぶりお湯を浴びて、スッキリできた。
あとは、美味しい夕食をのんごり楽しむだけ。
客室の中にいても、あちこちから生演奏の学の音が聞こえてくる。
何を隠そう、世界遺産の街トリニダーは「キューバミュージックの都」。
いたるところで、バンドのライブを楽しむことができるのだ。
(今回、ハバナ以外の宿泊地としてこの街を選んだ理由でもある)
はてさて、〈トリニダーの夜〉はどんな感じかな?
ではでは、またね。