「ドール」って、なんだよ? キューバふたり旅 2020.2.26-3.5 3日目(その3)

2020年2月28日(金) ハバナ⇒トリニダー

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トリニダーの夜。あちこちから、生演奏が聞こえてくる

グーグルマップで確かめておいたカーサ(宿)の場所は正しく

距離も予定到着時刻も、間違ってはいなかった。

・・ただし、ほぼ全行程が登り坂であり

おまけに、ガタガタの石畳道だということを除けば。

 

最初のうちは舗装道路だったこともあり

気楽な気分で歩き出した。

しかし、カーサに向かう坂道に入ってからというもの

路面は石畳というより、いたるところ丸石がコロゴロ浮き出た

スーツケース泣かせのデコボコ道。

両脇に並ぶ家の戸口を結んで、一段高くなった位置に

人ひとり歩ける幅の平坦な通路が続いていたが、そこにも段差があり

地元の子供たちの遊び場にもなっているので

しよっちゅう「ちょっとゴメンネ」とお願いし、どいてもらわないと通れない。

 

こんなことなら、最初からリキシャタクシーを頼めばよかった。

後悔するも、後の祭り。

片手にスーツケースの取っ手、片手にスマホ(マップ)を握りしめ

あと半分・・あと三分の一・・汗だくになって歩くこと、15分あまり。

もうちょっとだ、と顔を上げたその先に、一人の女性が人待ち顔でたたずんでいた。

他でもない、予約した宿の女主人そのひと。

予定より2時間近く到着が遅れてたので

心配になって、様子を見に出てきてくれたのだ。

こちらの姿に目を留め、すぐ予約した客だと分かったのだろう

満面の笑顔で屋内に迎え入れ、住居スペースの先にある部屋へと案内してくれた。

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宿の住居部分。歴史を感じる。

トリニダーで予約したHOSTAL Maria de Rosasは

ネットで見つけた人気の宿。

2泊朝食付きで48ユーロと、日本の感覚からすると約安だ。

自宅の一部を使った「民宿」で、2部屋だけが宿泊客に提供されていた。

建物自体はかなり古そうだったが、内装をリニューアルしたのだろう

客室はシンプルながらも清潔そのもの。

ベッドや水回りなどの設備も、ホテル並みの充実ぶりだった。

 

ひととおり部屋の使い方、鍵の開け方などを教えてもらうが

鍵を開けるのにちょっとコツが必要(ドアを内側に押し上げる?)で

そのやり方を習得するまで、何度か試行錯誤する。

さらに、正面(自宅側)と裏(客室側)の2カ所あるドアのうち

宿泊客は裏側だけを使って欲しい、と説明を受けたのだが・・

彼女のスペイン語訛りが強く、「ドア」という単語が「ドール」としか聞こえず

「人形?人形ってなんのこと?」と、また何度も聴き返すはめになった。

そのたび、女主人は大きなため息をつくものの

すぐにまた気を取り直して「OK!」と笑顔で応え

最初から説明を繰り返してくれた。

おかけで「ドール=ドア」だと気が付き、しっかりと確認することができた。

女主人の前向きな姿勢に、さすがは人気の宿と納得する。

 

その後、2階のテラス席でウェルカムドリンクをいただきながら

朝食の時間と場所に関する説明を受ける。

この頃になると、女主人のスペイン語訛りが強すぎて聞き取れないことを痛感。

「会話」より「筆記」の方が.意思疎通しやすいことに気づいたので

キーワードをメモ帳に英単語を書いて伝えるようになった。

明日の行動予定に考えていた「ホースライディングツアー」も

頑張って発した英単語は通じず、案の定聞き返されてしまったので

「Hourse Riding Tour」とメモ帳に書くと、一発で通じた。

 

大きく頷くと、女主人はケータイで誰かと連絡を取り

立ち去り際、しばらくこの場で待つようにと言い残した。

すると数分後、一人の男が登場する。彼がツアーの催行者らしい。

さっそく持参した写真入りのアルバムを広げ、ツアー内容を説明し始める。

これまたスペイン語とカタコトの英語(スペイン語訛り強し)しか通じなかったが

内容に関してはホテルで聞いたツアーと大差なく

馬に乗って滝の近くまで行き、そこでしばらく過ごし、また馬で戻るという。

ただし、ホテルのツアーとは異なり、2人だけの〈貸し切り〉なので

出発時間も帰りの時間も希望通りに変更できるようだ。

試しに、早めに戻って来ることも可能かと訊くと、まったく問題ないという、

 

それならいいかな、と思い、料金を訊いてみる。

すると彼は何か考えるように遠くに目をやってから・・「30CUC」と宣言した。

おいおい、高級ホテルのツアーよりも高いぞ。

ネットで調べた相場は「16」だったし。

ここは、しっかり値段交渉に取りかからなければ・・

そう思って、背筋を伸ばした矢先。

隣から、「いいんじゃない」という相方の声が聞こえてきた。

このひと言で、張り詰めていた気分にアリの一穴が穿たれてしまう。

う~~ん、それもそうか。

往復3時間も馬に乗って4000円なら、決して高くないし。

それに、2人だけの専属ガイド付きだ。

・・などなど、値切ろうとした決意がガラガラガラと崩れていく。

 

結局、言い値でOK。それも、ランチ込みの1人40CUCで申し込んでしまった。

おまけに、相方に借りて使ったボールペンの書き味がよかったのだろう

「これをオレにくれないか?」と言い始める。

すると相方は、当然のように「どーぞどーぞ」とプレゼントする始末。

さぞや「なんてお人よしのカモなんだ!」と思ったのだろう

明日朝の出発時間を確認すると、彼は会心の笑みを浮かべながら帰っていった。

 

肝心なところでグズグズになる性分は、いつまでたっても治らないなぁ。

それにしても、今回の失態!で.

さらに「日本人は"たかり放題"のカモ」という評判を広めてしまった気がする。

この後、トリニダーの旅を考えている方は、ぜひとも、汚名挽回を!

 

なにはともあれ、明日の「乗馬ツアー」は予約完了。

当初の目論見どおり、10時出発の15時戻りで申し込めたおかげで

ツアー後の〈トリニダー散策〉もたっぷり楽しめそうだった。

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とっちらかった部屋。だいぷ疲れてきたな~。

とりあえず、いったん部屋に戻って、小休止。

冷蔵庫を開けると、中には無料のミネラルウォーターが。ありがたい。

トイレ&シャワーも文句なし。たっぶりお湯を浴びて、スッキリできた。

あとは、美味しい夕食をのんごり楽しむだけ。

客室の中にいても、あちこちから生演奏の学の音が聞こえてくる。

何を隠そう、世界遺産の街トリニダーは「キューバミュージックの都」。

いたるところで、バンドのライブを楽しむことができるのだ。

(今回、ハバナ以外の宿泊地としてこの街を選んだ理由でもある)

はてさて、〈トリニダーの夜〉はどんな感じかな?

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昼と夜でこんなに雰囲気が違う

ではでは、またね。