"世界遺産の街"トリニダー キューバふたり旅 2020.2.26-3.5 3日目(その2)

2020年2月28日(金)ハバナ⇒トリニダー

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だんだんリゾートっぽくなってきた

ハバナ市内を出てから、およそ2時間30分後の13時過ぎ。

バスは、昼食ポイントに到着した。

ビュッフェ形式のレストラン、土産物屋などが並んでいる。

同行していたバスの係員に「昼食代も料金に入っているのか?」と訊くと

予想通り別料金だという。

じゃ、慌てて食べる必要もないか。

 

・・そういえば、相方が見当たらないが、土産物屋でも覗いているのだろう。

同じバスに乗ったことは間違いないのだから、そのうち会えるだろう。

それよりも、軽く我慢していた〈用事〉を済まるのが先だ。

本調子に程遠いお腹を抱え、レストランの隣に設置されていたトイレに直行する。

入り口の脇には、体格のいいおばさんがどんと座っていた。

この人に使用料を払って、入れてもらうシステム。

だが、財布の中にあったのは、5セントコイン一枚(日本円で約5円)のみ。

「すまん」と心の中で謝りつつ、テーブルの上にそっと置くと

軽く鼻で笑われたものの、"いいよ"と中を指差し、ちぎった紙を渡してくれた。

やれやれ、助かった。

ホッと息をつき、トイレに入ると・・なんとも開放的な空間が。

「小」の側はもちろん、「大」の個室も肩の高さの仕切りでへ出られているだけ。

用を足している間は目隠しになるが、立ち上がれば隅から隅まで見渡せる。

一瞬ビビるが、バスの旅は、この後も4時間以上続く。

ここで躊躇してたら、未曽有の悲劇を招いてしまうかもしれない。

幸い、他に使用者の姿が無かったこともあり、覚悟を決めてズボンを下ろした。

 

数分後。そこそこさっぱりした気分で、トイレを後にする。

ともあれ、これで一安心。

改めてレストランの入口に戻り、土産物屋も回ってみた。

しかし、やはり相方の姿は見つからず。

いったい、どこへ行ってしまったんだろう?

・・もしかして!1

広い駐車場に停車中のバスまで戻り、右側最後尾で飛び上がって窓を叩いた。

小柄な彼女が一番後ろの席で眠っていたら、誰も気づかないのでは、と思ったのだ。

(バスの昇降口は施錠してあり、外からだと開かない)

これで目が覚めなかったら仕方がないと、土産物屋に戻ってぶらぶらしていると

 

いつの間にか、ひょっこり姿を見せた。

訊くと、予想通りバスの中で熟睡していたという。

 

なにはともあれ、無事を確認できてよかった。

とはいえ、出発時間まで残りわずか。

昨日、コンビニっぽい店で買ったクラッカーやチョコ菓子を

売店で購入したミネラルウォーターで流し込み、ランチ代わりに。

そそくさと、バスに戻った。

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大地が赤くなってきた・・気がする

その後も、焼き畑・牧草地・なだらかな山並み・リッチな雰囲気のリゾート地など

さまざまな車窓風景を映しながら、大型バスは快調に走り続ける。

そして、時刻表に記された「15時30分」からはだいぶ遅れたものの

なんとか17時前には、トリニダーの広場に到着した。

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トリニダー紹介カット〈撮影したのは翌日〉

〈町全体が博物館のような古都〉と、ガイドブックに書いてあった通り

パステルカラーの低い家々が建ち並ぶ、世界遺産の街・トリニダー。

我々はその中心部から少し下ったところにある

イベロスター・グランド・トリニダーという高級ホテルの前で、バスを降りたのだが

いきなり大勢の男たちに取り囲まれてしまう。

口々に「タクシー!?」「タクシー!?」と、叫んでいる。

全員が、人力タクシー(自転車で引くリキシャタイプ)のドライバー。

ここで客を逃すともう後がないことを知っているのだろう、みんな必死の形相だ。

 

とりあえず、その場の雰囲気に流されるのは避けたかったので

いかにも「そこのホテルに泊まるから、タクシーは要らない」という顔で

コロニアル様式のイベロスター・グランド・トリニダー目指して歩くことに。

入口に立つドアボーイ(ボーイと呼ぶには巨漢)に「何用だ?」という顔をされるが

「オプショナル・ツアー!」と答えると、快く招き入れてくれた。

あまり治安が良くないのか、ハバナのホテルよりチェックが厳しいようだ。

 

中に足を踏み入れ、それもそうか・・と納得させられた。

ドアをくぐったとたん、外とはまるで違う世界が広がっていたから。

静かで落ち着いた雰囲気が隅々まで漂い

どこまでも控え目な照明のもと、高級感あふれる調度品がゲストを迎える・・

お手頃B級ツアー専門の我々にとっては、明らかに場違い。

「手近なソファに腰を下ろしてひと休み」などという目論見は、あっさり消えた。

それでも、あくまで表面上は平静を装い

ロビーの奥に見つけた「ツアーデスク」へと歩み寄る。

 

実は、ここトリニダーでぜひ体験したい〈オプショナル・ツアー〉があり

その相場を知るため、まず地元一番のホテルで料金を訊こうと思っていたのだ。

ツアーの名は『ホースライディングツアー』。

ネットで調べた限りだと、馬に乗って近郊を散策する半日ツアーだという。

 

にこやかに迎えてくれた担当の女性(中年)に、目指すツアーの有無を尋ねると

「1日25CUCで受け付けている」との答え。

3000円ちょっとか・・悪くないな。なかなかの好感触。

では、具体的なツアー内容は?

「馬に乗って郊外の滝まで行き、そこで3時間ほど(泳いだり水遊びして)過ごし

夕方4時過ぎに戻ってくる、というスケジュールだった。

乗馬はいいんだが、3時間も滝で過ごすのは、ちょっともったいない。

それに夕方4時戻りだと、明日の自由時間が短すぎる。

明後日の朝にはトリニダーを発つので、明日の午後は街歩きをしたかったのだ。

結局、「ごめんなさい」で退散することに。

 

ホテルを後にし、ふたたびバスが到着した広場に戻る。

さきほどの大騒ぎが嘘のように、タクシー&ドライバーの姿は消えていた。

では、行きますか!

スーツケースを転がしながら、予約したカサ(宿)を目指して歩き出す。

あらかじめグーグルマップで確かめた所要時間は。およそ10分。

朝、ハバナで歩いた〈宿⇒バス停替わりのホテル〉の、半分以下だった。

それなら、あえてリキシャタクシーに乗ることもないと考え

強引な客引きから逃げたのだった。

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これも翌日撮ったもの(この日はホントに余裕がなかった)

しかしながら、計算通りにいかないのが、良くも悪くも「旅」というもの。

我々の行く手には、予想もしない〈難関〉が、待ち受けていたのだ。

 

ではでは、またね。