2022年2月18日〈金) 自宅⇒河津温泉
露天風呂で"河津桜"が待っていた!
満開の河津桜を見に行こう!
そんな捕らぬ狸の皮算用は、見事に大ハズレ。
枝の先がちらほらピンクに染まった一~2分咲きの桜並木を通り抜け
川沿いに遡ることしばし。
目指す宿への案内板が見えてきた。
きたのだが・・
「え? この道を下りて行くの!?」
そこは、普通の自家用車がやっと通れる程度の、細い細い道。
大丈夫かいな・・と思いつつ、車体をこすりそうな石垣を右手に
ゆっくりゆっくり、車を進めてゆく(相方が)。
幸い、我が家の愛車は20年来HONDA Fit。
コンパクトカーだけあって、他の車がこすった跡がいくつも残る
ガードレールに接触することもなく、50メートルほど続いた細道をクリア。
川沿いに建つ一軒宿の駐車場まで、乗り入れることができた。
到着予定時刻の15時を30分ほど過ぎていたが
宿の対応はいたってのんびり。
何度か声をかけると、笑顔の女主人が迎えてくれた。
建物自体は古い洋館風で、客室も10部屋ほどあるものの
例によってコロナ対策のため、一日に受け入れ可能な客は三組だけ。
しかもこの日は、我らを含めて二組しか予約していないという。
宿の方には申し訳ないが、思う存分羽を伸ばせそうだ。
少々古いが決してボロじゃない。居心地の良い宿。
さっそく、宿帳に名前を書いたりしていると
「今なら露天風呂に貸し切りで入れますけど、どうしますか?」と訊かれた。
残るひと組の到着がまだなので、独り占めできるのだという。
願ってもない申し出に、一も二もなく飛びつく。
・・といいつつも、明るいうちから宿にこもってしまうのは、貧乏性が許さない。
「30分ほど近所を散歩して後でもいいですか?」と、ぶらつきタイムを確保。
谷川を臨む2階の和室に荷物を置き、
まずは、宿の周りをひとまわりすることに。
ちょっと散歩。菜の花と河津桜のコラボを発見。
日当たりのいい場所では、そこそこ咲いてたんだよね。
宿所有の「わさび田」。夕食の"薬味"もここから。
最初に目に留まったのは、宿の正面、駐車スペースの右手に広がる「わさび田」。
そして、川に架かったつり橋と、その先に建つ団体客用の宿泊施設。
どうやら、この付近一帯が宿の土地らしく、様々な用途に使われているようだった。
後で教えてもらったが、若い母親に見守られて走り回っていた4~5歳児も
(こちらの顔を見るなり、大きな声で「こんにちわ!」と挨拶してくれた)
女主人の娘と孫だった。
宿のロビー。ライダーや釣り人など、多彩な客の写真が並ぶ。
まだ午後4時にもなっていなかったが、谷間に位置しているので
早くも太陽は山の向こうに沈み、一気に肌寒さが増してきた。
30分どころか半分ほどで、宿まで戻り
着替えなどを部屋から取ってきて、いよいよ露天風呂へ。
「今から露天風呂に入ります」、声をかけると
「はい、じゃこれ」、道場の看板じみた一抱えもある板を渡される。
見ると、露天風呂使用中と書いてあった。
「露天風呂は駐車場の脇にあります。
こっちを表にして、入口に掛けといてください」
右脇に着替えと洗面道具、左脇に使用中の札を抱え、宿の正面から外に出ると
同じタイミンクで、宿の御主人が露天風呂の戸を開けて出て来た。
今の今まで、露天風呂の準備をしていたらしい。
なんだか申し訳ないような気分で、スタンバイOKとなった一番風呂に向かう。
ちなみに相方は「万一冷えて風邪を引いたら大変だから、遠慮しておく」とのこと。
専属ドライバーならではの気づかい?だった。
「露天」ならぬ「野天風呂」。キレイ好きにはちょい敷居が高い?
ともあれ、川沿いにポツンとたたずむ
見た目はちょっとボロっちい「露天風呂小屋」に到着。
よっこらしょと扉を開け、使用中の札を掛けて閉ざしてしまえば
あとは思う存分、楽しみ放題。
どんな感じかと浴槽を覗くと・・おお、桜が咲いているじゃないか!
だけど、一歩中に入ると・・極楽極楽!
ちょっとだけ咲いてる・・この初々しさが、とてもいい。
撮影はこれくらいにして、温泉を楽しもう。
5~6人は足を延ばしてゆったりできる、広い岩風呂も良かったけれど
何より驚いたのは、まだ満足に咲いていないはずの河津桜が
温泉で地面が暖かいせいなのか、5分咲きまどまで開花しており
床の間に飾る掛け軸の絵のように
絶妙なバランスで、湯船の上にピンクに染まった枝を差し掛けていたのだ。
まさか貸切の露天風呂で、存分に河津桜を堪能できるとは・・・。
このひとときだけで、花見に来たかいがあった。
しかも、それだけではない。
ちょうどいい塩梅の温泉にだら~んと浸かり
まだ鮮やかな青が残る空を、ぼんやり見上げていたときだ。
ふっ。
上手から、スズメよりひと回り大きく、首か背中が赤い野鳥が飛んできて
空中に留まったままクチバシてお湯をすくって飲むと
そのままスイッと、下手の空へと飛び去ったのだ。
・・ツバメが同じように水を飲むところは、何度か目にしていたけど
こればっかりは、正真正銘、生れて初めて見る光景だった。
一瞬の出来ごとだったので、写真には残せなかったが
今でもそのシーンは、くっきりとマナコに焼き付いている。
そんなこんなで、1時間近く。
思う存分、露天風呂を独り占め。
身体も心もポカポカになって、部屋に戻ると
すでに相方は、内風呂への入浴を済ませていた。
こちらも貸し切り状態の岩風呂で、ゆっくり楽しめたとのこと。
"コロナのおかげ"なんて言ったらバチが当たるかもだけど
やっぱり旅の宿は、"のんびり&ゆったり"が最高だ。
そして、6時前に案内の内線が入り
一階の食堂スペースへ。
6人掛けもできるテーブル席が6つ用意されていたが
夕食が並べられていたのは、そのうち2つのみ。
両端のテーブルにふた組、総勢4名が、この日の宿泊客だった。
小さな宿でもあり、さほど食事には期待していなかったけど
地元の新鮮な魚をはもちろん、焼きアワビに牡丹鍋もついた充実のラインナップ。
下の畑で採れたワサビも、まるまる一本すりおろし。
「シニアコース」のお陰でワンドリンク無料になったお酒ともども
心地よいひとときを過ごした。
(料理を出してくれた女主人に、夕方の散歩で出会った男の子のことを話したら
孫です、と言って、わざわざ呼び出してくれた。ありがとう)
頑張ってなんとか完食!魚介メインだから"胃もたれ"はなし。
・・・あ、そうそう。
たまたまこの日は、深夜近くから
北京オリンピックカーリング女子の準決勝「日本✖スイス」の生中継があった。
きっと敵わないだろうな・・と、半ばあきめつつ、肘枕で観ていたら
気が付いたら正座していて、うわーっ、とか声まで出していた。
テレビを観てて、こんなにも興奮したのは、何(十)年ぶりだろう。
(早寝早起きの相方は、当然見逃した。
朝になってから結果を聞いて、「えーーっ」と、やっぱ驚いてたけどね)
旅先でなかったら、生中継じゃなくて翌日録画したものを観たはずだ。
ここまでメチャ感動できたのも、"旅のおかげ"と言えるだろう。
直接旅行とは関係ないけど、これもまた旅先ならでの貴重な体験ってヤツだ。
ではでは、またね。