"浴場教会"と"骸骨寺" ローマ&ナポリふたり旅 2017.1.3-1.9 3日目(前編) 

 1月5日(木) ローマ市内~テルミニ駅⇒ナポリ

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ローマ有数のキワモノスポット、骸骨寺

今日からナポリで2泊する予定だったが

予約したのはホテルだけで、交通手段は決めていなかった。

なので朝7時に起き、朝食を済ませると、その足でテルミニ駅へと直行。

とにかく、ナポリ行き列車の乗車券を購入することに。

構内の動販売機を使い、言語をEnglishに設定。

クレジットカードを使うと、簡単に手に入った。

だが思ったほど本数がなく、一番早い便でも10時56分発。

なんと3時間近く、時間が余ってしまった。

 

このまま駅でボーッとしてても、無駄だよな。

歩いて行ける範囲で、観て回ろう!

いったん駅を出て、近場観光に繰り出すことに。

まずは、正面の五百人広場をつっきり

向かいにある「ディオクレティアヌスの浴場跡」へ。

298~309年に時の皇帝ディオクレティアヌスの命により造られた

ローマ時代最大370✖380mの広さを誇るテルマエだ。

一度に3000人が使用できたというから、

お台場の大江戸温泉物語といい勝負なんじゃないかな。

1700年も前にそんな大規模公共施設が当然のように営業していたのは

ちょっとした驚きだ。

しかも、そんな国宝級の遺跡が、ターミナル駅の正面に

むきだしのまま、あっけらかんと建っているのだから、ローマの凄さはハンバない。

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ディオクレティアヌスの浴場跡(再利用した教会)

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紋章ひとつにも、イタリアらしさが・・

残念ながら、内部の見学は予約制らしく、外側から眺めるだけだったが

その一部を使って造られたサンタ・マリア・ディリ・アンジェラ教会には

しっかり入場見学させてくことに。

確かに、浴場跡を利用したとわかるドーム状のくぼみが各所に設置されており

普通の教会とはまったく違う、岩窟のような空気がただよっていた。

建物の外側も浴場跡の、半ば崩れかけた石積みを再利用しており

いかにも廃墟っぽい雰囲気を漂わせていた。

ちなみにこの建物の設計者は、御存じミケランジェロ

さすがは天才! アレンジも一味違う。

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大衆浴場を教会にするって、すごい発想だよな

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ステンドグラスを見つけると、撮らずにはいられない

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手前の箱にコインを入れると、1分ほど明かりが灯る

じっくり見たつもりだったが、まだ2時間も余裕があった。

ならばと、近場でチェックしておいた、もうひとつのポイントを目指すことに。

駅を背にして、さらに東北東に歩くこと、7~8分。

レンガ造りのこぢんまりとした建物の前に、たどりついた。

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ここがウワサの「骸骨寺」

Museum and Crypt of Capuchins(カプチン派修道会博物館)、通称「骸骨寺」。

地下墓所が、そっくりそのまま博物館になっており

5つの堂におよそ4000体のカプチン派修道僧の骨が収められているのだ。

それも単なる墓ではなく、天井・壁・はてはシャンデリアまで人骨で飾られている

〈そちらの趣味の方々〉には、とても有名な観光スポットだという。

建物正面にへばりつくように設置された階段を登り

ガラス張りのモダンなオフィスへと入場。

静かな笑みを浮かべる若い女性係員から入場券を購入し

もいちどガラス戸を通って、いよいよ地下墓所へと降りていく。

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撮影できたのは、この絵まで

感想は・・思ってたより、ちっちゃいな。

5つの堂は、それぞれ4畳半にも満たないドーム状の空間。

その壁や天井のいたるところに、人骨を使った文様や絵?が張り付いている。

通路の照明器具(傘〉も人骨製で、なんだかモビールみたい。

しかも全身の骨格を見ると、みな150㎝にも満たないミニサイズ。

それもあって、どこか作り物のように感じてしまうのだ。

 

ともあれ、極めてキテレツな展示には違いないので

ついカメラのレンズを向けたくなるが、残念ながら撮影禁止。

それでも隠し撮りする人が後を絶たないのだろう

コーナーごとに男性の職員が見張っていて

〈掟破りは絶対に許さない〉という強い意志が伝わってくる。

そりゃまあ、ネットで簡単に見放題にでもなったら

確実に入場者は半減するだろうしね。

 

てなわけで、なにかとミニサイズだった「骸骨寺」。

50メートルにも満たない見学路を2~3回往復すれば、おなかいっぱい。

30分もたたずに出口へ向かった。

まだ時間があったので、小さなミュージアムショップを見て回り

太陽と月をかたどった陶器製のチョーカー?を購入する。

(身に着けたらすぐ割れそうだったので、今もパソコンの脇にぶら下がっている)

 

博物館を出たとき、ようやく時計は10時過ぎに。

これなら余裕で列車に間に合う。

急ぎ足だった行きと反対に、あたりを眺めながらのんびり駅に戻っていった。

それでも、10時15分にはテルミニ駅に到着。

昼食用のサンドイッチ(バゲットにハムなどを挟んだヤツ)を購入し

そろそろ出発便の案内(出発時間やプラットホームの番号)が出ているはず

と黒い壁のような電光掲示便を上から下までチェックするが・・

乗車券を買ったナポリ行きは、いまだ表示されぬまま。

同じように、どこか待ち遠し気にたむろする人々と一緒になって

じりじりしながら、案内の表示を待ち続ける。

毎度のことだが、この〈待つしかない状況〉ってのは、ホントに苦手だ。

結局、ナポリ行き列車の情報がパッと点灯したのは

出発15分前、10時41分のことだった。

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ホームに入るとワクワクするのは"鉄の血"のせい?

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この電光掲示板にはジラされた

それっ!とばかり小走りに、表示されたホームへ直行

荷物と一緒に、すでにドアが開いていた列車内に乗り込む。

ちなみに、今回乗車する列車の種別は「RV(レッジョーナーレ・ヴェローチェ)」

国内旅行でも愛用している快速列車(各駅より停車駅が少ない普通列車)だ。

もちろん全席自由席。

なので、せっかくの鉄道旅行、よい席を確保せねば・・と急いだ次第だが

実際に乗ってみれば、なんのことはない。ガラッガラ。

出発時刻の間際になっても、1車両の乗客は10名に満たなかった。

 

なにはともあれ、のんびりゆったり列車の旅ができるのは、嬉しいかぎり。

しかも座席は、お馴染み2席づつの対面式。

車窓の旅が大好きな相方と、それぞれ別のブロックを独り占め。

ローマ南部の緑豊かな田園風景を眺めつつ

ぽかぽか日射しにうつらうつらの鈍行列車旅を、満喫したのだった。

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"どこでもない風景"を眺める喜び

ローマ1056発RV⇒ナポリ1310着。

 

ではでは、またね。