雪のサレルノと"トマト責め" ローマ&ナポリふたり旅 2017.1.3-1.9 4日目(後編) 

 2019年1月6日(金) ナポリ⇒ソレント⇒アマルフィサレルノナポリ

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ホテルの窓から。この雰囲気は・・暗黒街!?

運転手の力強い頷きに背中を押され

どんより雪雲が垂れ込めるサレルノ湾に背を向け

バスを降りた人々の後を追って、ゆるい上り坂を歩いて行く。

1回、2回と、コーナーを直角に曲がり

200mほど足を進めると、目の前がパッと広がり

カマボゴ型(だったような)の広場へと出た。

.そして、カマボコの底辺に

ほぼ全世界に共通する「駅」っぽい建造物を発見。

正面に壁に並ぶアルファベットは、S・A・L・E・R・N・O。

――やった、サレルノ駅だ!

これで、間違いなくナポリに帰れるぞ。

 

喜び勇んで、ガラス戸を潜り、かなりの乗客で込み合う駅舎のなかへ。

ホール中央に立つパネルを調べ、ナポリ行きの普通or快速列車の時刻を確かめる。

すると、最低運賃で乗れる一番早い列車の発車時刻は・・17時02分。

今が15時45分だから、1時間20分近く後になる。

ま、いいか。

とにかくナポリまでの乗車券を購入(2人分で1000円程度)。

駅で時間を潰すのはもったいないので、サレルノ散歩としゃれこむことに。

さっと「歩き方」に目を通すと、

中世には、ピサ、ヴェネツィアジェノヴァと並ぶ一大海洋都市だった。(おおう)

奥の路地メルカンティ通りは、かつての旧市街の趣を残し、南イタリア独特のふんいきがいっぱいだ。さらに奥には、11世紀のアラブ・ノルマン様式のドゥオーモが――

など、ぜひ行ってみたくなるような魅力的な文章が並んでいるではないか!

 

・・だがしかし、我らに許された時間はわずか1時間と少々。

「さらに奥」のドゥオーモどころか「遊歩道の奥にあるメルカンティ通り」にすら

おそらく〈タッチして戻って来る〉ので精一杯だ。

まんいち列車に間に合わなかったら、予約済みのディナーも保証できない。

(祝日のため、人気店は満席になりそうな予感がしていた)

結局、ガイド本をしょるだーにしまい込み、駅の近くをぶらつくだけにしておいた。

――ちくそー。アマルフィに続いてサレルノもリベンジだ!!

こんなふうに、《再訪を誓った場所》は年々増えるいっぽうなのだ。

 

とにかく、これ以上もたもたしてても意味がない。

覚悟を決めて(それくらい外は寒そうに見えた)、横殴りの雪が舞う駅前広場へ。

その右手に続くメインストリートへと、足を進めていく。

・・それにしても、寒い!

ダウンベストの上にダウンジャケットをはおり

.マフラー・帽子・手袋の三点セットという完全装備に身を固めても

どこからか、しんしんと冷気が潜り込んでくる。

だというのに、大通りには、決して少なくない家族やカップルの姿が。

〈冬のバーゲンセール〉のさなかということもあってか

クリスマスイルミネーションが灯るあの店この店に、出たり入ったり。

 

そっか。今日は休日(御公現の祝日)。

だから、多少寒かろうと、仲良く街に繰り出してるんだな・・。

どこかユニクロにも似ている大きな衣料品店

小学生ぐらいの元気な娘にじゃれつかれる若いパパママの姿に

ふと、過ぎ去った己の遠い日々を想い出すのだった。

・・なんて、なにカッコつけてんだか。

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         帰りがけ。雪が止んだので撮る気になった。

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サレルノ駅ホーム。日本みたいな自販機を発見。

結局、いくつかの店に入ったりもしたため

大通りを100メートルほど行ったり来たりしただけで

列車が来る15分前には、駅へと帰還。

定刻1702発の鈍行に乗って、18時30分にはナポリ中央駅に着いた。

 

おととい予約した.時間は、ちょうど1時間後。

いったん歩いて五分のホテルに戻って、ひとやすみ。

改めて、やはり駅から数分のレストランへ。

「歩き方」にも載っていたAntica Trattoria e Pizzeria da Donotoだ。

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左側が、その店。ここだけが、ぽっかり明るい。

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これは開店直後。10分後には全部埋まった。

ナポリ中央駅付近で一番人気。おいしいのに値段が安い。

自家製デザートもいい。スタッフもいい感じ。

・・と、べた褒めだけあって、予想通り開店直後にテーブルは満席状態。

やはり、予約しといてよかった!

ナポリの家庭を思わせる昨晩の店とはうってかわって

こちら.は全体がグリーンで統一された、カジュアルで明るい雰囲気。

今日はランチ抜きに近かったので、夕食はガッツリ行くぞ。

とはいえ、注文したのはサラダとメイン2品のみ。

一皿の量が多いから、これ以上注文すると食べきれなくなってしまうのだ。

んで、肝心の味は・・確かに、旨い!

旨い・・んだけど、ささやかながらも痛恨のミスを犯してしまう。

――サラダの材料も含め、3品全部〈トマト味〉だったのだ。

  

4年前の旅行後に書きなぐった、旅の「行程メモ」がある。

(「Ara-kanふたり旅」のベースが、このノート)

その1/6の記述の最後に、赤字でプリントした一文が残されていた。

★今後は、一度に全部注文せず、状況を見ながら順に頼もう!

 

今にして思えば、別に大騒ぎすることじゃなかったかな。

(南)イタリアの「トマト味」って、日本でいえば「味噌・醤油」のたぐい。

〈基本の味付け〉だと考えれば、何の不思議もなかったんだよね。

ただ、単純な「好み」を言わせてもらうと

.ナポリ(南)よりヴェネツィア(北)の方が、口に合うようだ。

たった2泊しかしてないけど、どれもオリーブオイルたっぷりのこってり系。

和食を愛する中高年には、ちょいとヘビーだった気がする。 

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ナポリ最後の夜。ところどころボロいけど、いい街だった。

ではでは、またね。