2016年6月11日(土) リスボン⇔エヴォラ
5000人分の人骨が、待っていた!
昨夜、行儀よく静かにしていたブラジルの高校生たちに混じって朝食を摂る。
この日は、リスボンからバスで1時間半ほどのエヴォラという小都市まで
行って戻ってくるという予定を立てていた。
目当ては、「人骨堂」。
その名の通り、5000体もの人骨が壁や柱をぎっしり埋め尽くしている
本来、修道士たちの”瞑想の場"として作られた、教会付属の施設だ。
今回の旅のシンボルカラー、ジャカランダの花
青紫色の花が咲き乱れるジャカランダの並木を左右に眺めつつ
ホテルから最寄りの地下鉄駅までの道を降りてゆく。
ジャルデン・ズロシコ駅を降りて、セッテ・リオス・バスターミナルへ。
さほど待たずに、ほぼ1時間おきに出ているエヴォラ行きバスに乗り込んだ。
日本とさほど変わらない高速道路を延々走っていたので
今回も、途中の風景には期待していなかった。
しかし幸い、こちらは一般道をのんびり走るルートだったので
車窓の外に鮮やかな翠が広がる、快適なバス旅を楽しむことができた。
広~いテージョ川の上を、バスは走る
左右には緑の農地が広がる。昼寝に最適。
予定通り、午前10時半過ぎ、エヴォラのバスターミナルに到着。
真夏のような強い陽射しが照り付けるなか、市街地の方向が判らずうろうろするが
なんとか城壁の存在に気づき、旧市街にたどりつく。
世界中でグーグルマップが利用できる今では、もはや存在しないトラブルだ。
エヴォラの白い家並み。この辺りまで観光客はまばらだった。
エヴォラの第一印象は、こぢんまりと落ち着いた観光都市。
細い街路のいたるところに、土産物屋やレストランが軒を連ねていた。
古い道がくねくねと続く雰囲気は、"平らなトレド"といった趣か。
そういえば、一時間も東に走ればスペインの国境だった。
観光客の数も思った以上に多く、欧米各国はもちろん、中国人団客の姿もちらほら。
しょっちゅう車道にはみ出すものだから、行き交う車はそのたびに急停止。
サン・フランシスコ教会の大聖堂。確か右奥が「人骨堂」だったような・・
なにはともあれ、サン・フランシスコ教会へ。
目指す「人骨堂」は、ここの付属施設だ。
教会の建物に入り、祭壇に向かって右奥に進むと、ちょっとした行列ができていた。
みなさん、順番待ちの様子。
入場料2ユーロと写真・ビデオ撮影代2ユーロを払って、いよいよ中へ。
・・・確かに評判通り、見渡す限り骨・骨・骨。いや、それよりも――骨臭い!
テニスコート一面ぐらいか、さして広くない堂内に
頭蓋骨・大腿骨・腕の骨・肋骨など、それぞれのパーツ別に仕分けされた骨が
冬場に備えて積み上げられた薪のように、無造作に壁に埋まっている。
不気味だけど、面白い。
また堂内の中国人率がとても高く、キャーキャー騒いでは写真を撮り合っている。
ツアーのルートに組まれているのだろう、この手のキワモノが好きらしい。
「人骨堂」内部。全部が全部骨で埋まってるわけではない。
ここは「大腿骨ウォール」?
天井からも「コンニチワ!」
要所要所では、華麗なライトアップも。
文句なしに「エヴォラいち」の人気スポットだった。
人骨堂内の見学は、10分もいれば充分だった。
骨の匂いが鼻についてきて、胸がムカムカしてきたせいもあった。
それでも、「ついでだから見て行こうか」と教会内部の展示室を巡ったり
屋上で登って広々とした街並みを眺めるうち、次第に治まってくれた。
たまたま何かのイベント期間中だったのだろう
様々な種類の〈キリスト生誕フィギュア?〉が展示されており、とても面白かった。
心癒されるミニチュアがいっぱい。これは"花尽くし"?
なんともアットホームな聖母子?像
ガラス細工の三賢者?
気持ちの良い屋上で、ホッとひと息
赤い瓦とカテドラル、そして太陽光発電
その後も、真夏のような陽射しのもと。
ローマ時代の遺構である「ティアナ神殿」や「水道橋」を眺め歩く。
こんなイベリア半島の片隅にまで、2000年近く昔の建造物をきっちり残すとは
やはり〈ローマ人パワー〉には、想像を絶するものがある。
賑わう街角
なぜかカバン・バッグの店が多かった。エヴォラの特産品?
2~3世紀にローマ人が作った「ディアナ神殿」
数キロに渡って延びる水道橋。とても二千年前のものとは思えない。
元気な時だったら、こんな路地歩きも楽しいんだけどね・・
そんなこんなで、暑い中あちこち歩き回ったものだから、
城壁外の水道橋から戻ったときには、ヘトヘトに。
思った以上に体調が悪化しており、午後1時を回っても食欲がわいてこない。
それでも、何かお腹に入れないと・・と
道すがらトリップアドバイザーのシールが何枚も貼ってあった
「バックパッカー推奨の店」に飛び込んだものの
ランチメニューは、肉とポテトのヘビーなランチのみ。
結局、半分以上食べ残し、得意げに肉料理のプレートを置いてくれた店主に
悪いことをしてしまった。
このシャイなオチビチャンに会えたのが、唯一の収穫
結局、この時の無理がたたって、
リスボンに戻るバスの中では、ずっと吐き気と闘うハメに。
旅行の際は欠かさず携帯しているキャベジン(顆粒)を
大量の水で流し込み、かろうじてエチケット袋を使わずに済んだ。
(その代わり、バス内で尿意とも戦う運命に)
・・・ひょっとして、これこそ〈人骨堂の呪い〉だった!?
★旅の教訓★
リゾート(のんびり)以外の昼食は、早く!安く!軽く!が鉄則。
ではでは、またね。