京都の旅 by Goto 2020.11.24-27 Ara-kanふたり旅 4日目 襖絵とホットケーキ

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2020年11月27日(金)

予想以上に充実していた京都の旅も、本日でおしまい。

おまけに追加料金なしの基本プランを選んだので

14時過ぎの新幹線で帰らねばならない。

しかし、”転んでもただでは起きない”のが<我らAra-kanのモットー。

本日は乗り物を使わず、歩いて回れる範囲を楽しむことに。

 

さすがに四日目を迎えて、疲れが溜まってきた身体をなだめつつ

朝8時過ぎにはチェックアウトを済ませて出発。

朝食スポットに決めた旧五条楽園(昨夜晩御飯を食べた当たり)を目指す

北東に向けて歩き出すと、まもなく巨大なお寺が見えてきた。

境内にそびえる綺麗に色づいたイチョウが綺麗に誘われ

ちょっと立ち寄ってみることに。

400年前、勢力分散を目論む徳川家康によって分割された本願寺の東方

真宗大谷派総本山・東本願寺だった。

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さすが”お東さん”のたたずまい

まだ8時台だというのに、巨大な堂内は折りたたみイスでいっぱい。

今月20日にあった門主継承式の報恩講が8日間連続で続いており

この日も、朝7時前から法要が行なわれていたのだ。

無料で頂いたパンフレットには

宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年との端書きに並び

南無阿弥陀仏 人と生まれたことの意味をたずねていこう』と記されていた。

それはまた、深い問いかけだなぁ・・と感心しつつも

信者ではない我々は広大な堂内や境内を、のほほんと散策。

目前にそびえる御影堂に向かって一礼すると、朝飯目指して退出したのだった。

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その座敷オフィスの店先。妙にかわいい。

んで、歩くこと10数分。

朝9時前だというのに、木造家屋の畳の間で

和机を囲んだ7~8人の会社員らしき方々が業務に励んでいる姿を

外からガラス戸越しに発見しては

「さすがは京都!」・・と、ピント外れの感想を漏らしたり

道々で出逢う様々な光景を楽しむうちに

本日の朝食ポイント「川間食堂」に到着した。

 

実はここも、先日紹介したグレゴリ青山のガイド本に載っていたところ。

店内の席から鴨川を間近に眺められる

おいしいサンドイッチのお店として、紹介されていた。

ガラス戸を開け、狭いながらも明るい店内に入る。

すぐそこが調理場とカウンター席になっており

テイクアウトにも対応しているようだった。

そしてカウンター席には、ページを開いた雑誌(ガイドブック)が数冊。

みな、ここ川間食堂を取り上げた記事だった。

なんだー、こんなに有名になっていたのか。

確かに、絵にはなるからなあ。

そう思って、鴨川に面した奥のテーブルを眺めると

いかにもオシャレなお店が好きそうな、カップルの姿が。

(かなり偏見、入ってるかも)

ともあれ、すでに腹ペコだったので

ライスサンドと本日のスープ、そして飲み物の3点セットを注文。

開いているテーブル(ソファ?)席に座って、待つことに。

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いや、気持ちはいいんだけどね・・

率直な感想。

味は、悪くなかったけど

いまいちリラックスできない感じ?

店の雰囲気は決して悪くなく、店員さんの対応も文句なしだったけど

やっぱり若い人向けのお店という印象が強かった。

年寄りのヒガみが入ってるかも、だけど。

 ぼんやりと川の眺めを楽しむ店、というより

〈悠然と鴨川を眺める私たちを楽しむ店〉――って感じか。

とかなんとか文句を垂れながら、それでも30分以上滞在したのだから

べつだん、居心地が悪かったわけでもないんだけどね。

・・このへんの表現、なかなか難しいなぁ。

 

とにかく、朝食を済ませ

昔は花街だったという旧五条楽園を散策する。

昔ながらの和風建築を見て歩くのも楽しかったが

さんさんと降り注ぐ陽射しを浴びて

広い鴨川沿いを歩く気分は、とても素敵だった。

サギ、カモ、キンクロハジロ?など、様々な水鳥に出逢えたし

いまや世界に冠たる任天堂の初代?社屋を発見できたのも、嬉しかった。

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近々改築されて宿泊施設になるらしい

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京都の野鳥はあまり逃げない

とはいえ、本日のメインイベントは、鴨川散策ではなく

さらにその東にたたずむお寺にあった。

鴨川を東に渡って、豊国神社、京都国立博物館の前を横切り

観光客でにぎわう三十三間堂を右手に、さらにその奥へ。

着いたところは、真言宗智山派総本山智積院

桃山時代の名匠・長谷川等伯の、障壁画(国宝)を見に来たのだ。

 

受付で拝観料を納め、さっそく右手の障壁画展示館へ。

靴を脱ぎ、扉を開ける。

陽射しが眩しい外とは対照的な薄暗がりが広がる。

そして四方の壁沿いに展示された障壁画が、徐々に浮かび上がってくる。。。

ここで、凄い! 鳥肌立った! 感動した!

なんてストレートに興奮することができたら、どんなに幸せだろう。

 

正直な感想は、以下の通り。

思ったより色落ちしてるな・・だけど、一本一本の線は力強く描かれている。

確かに、モノの本に書かれていたとおり、草(ススキ)の描写は見事だ。

単なる写実に留まらず、唐草紋様を思わせる抽象的なデザインにも見てとれる。

若くして亡くなった息子が描いた「桜図」も、華やかで目を惹く。

画面をはみ出す大胆な構図が、若々しくて勢いがあるし。

――てな感じ。

ようするに,心じゃなくて、頭で鑑賞(確認)してるだけ。

でもさ、世界的な美術作品に遭遇したとき

実際には相当数の人が、こんな”頭でっかちな”鑑賞しかできてないと思うんだ。

「素晴らしかった!」「素敵でした!」とか興奮してみせても

その根っこにあるものは、専門家たちの絶賛だったり、億を越える評価額だったり。

〈社会的な権威や評価〉あってこその、いわば〈演技〉に過ぎないのでは?

これまで世界各地で何度も名画中の名画と対面したにも関わらず

ただの一度も〈電撃に貫かれたような衝撃〉を味わったことがないオッサンは

かように、世の中をナナメ見してしまうのだった。

 

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混んでいなかったのも好印象の理由のひとつ

国宝の襖絵はさておき。

ある意味、意外だったのは

同じ拝観券で回ることができた、庭園や講堂の襖絵だった。

とりわけ「特別公開」と銘打って開催されていた

現代(20世紀の)作家による講堂の襖絵が素晴らしく

正直、国宝の障壁画よりも目を惹かれてしまったのだから

まったくもって、俺の審美眼もあてにならない。

なかでも、昭和30年代に描かれた洋風デザインの作品には

いいんじゃないの、こういうモダンな襖絵も! 

などと、手放しで感心してしまった。

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当然、襖絵は写真撮影禁止。窓越しの紅葉でご勘弁を。

また、庭園を鑑賞する建物の襖絵は、長谷川等伯の障壁画を再現したもの。

残念ながら、描写そのものは本物に遠く及ばないが

創られた当時のきらびやかな色彩が実感でき

もいちど本物を見に戻りたくなる。

(実際、帰りがけに障壁画の展示館を再訪した)

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庭園を臨む再現襖絵。こっちを先に見たほうが本物の迫力がわかるかも。

★Ara-kan旅メモ/京都Ⅺ★

等伯に会いに行くなら、庭園の摸造画⇒本物の順で見るといいよ。

 

こうして、すっかり満足して智積院を後にした我らだったが

じっくり見て回ったため、時刻は昼近く。

お腹の方は、いわゆる「小腹が空いた」状態に。

一瞬、〈京都ラーメン〉の文字が頭をよぎるが

歩いて数分のところに、あらかじめチェックしておいた店があった。

迷わず、南に向かって歩を進める。

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この旅最後の大当たり! 次はかき氷を食べに来よう。

JR東海道本線の上を越えて間もなく、目的の店を発見。

ガイドブックにも掲載されている、人気の甘味処「梅光堂」だ。

観光客目当てでなく、地元に溶け込んだ〈まちなかのお店〉観に一目ぼれして

さっそく、店内へ。

「いらっしゃいませ」と、元気な声に迎えられ

4つほどのテーブル席が並ぶ小ぢんまりとした店内を見渡すと

ラッキーなことに、ひとつだけ空席が。

さっそく腰を下ろし、メニューを眺めてみると・・

可愛いイラストで彩られた中央に、何種類もの「ホットケーキ」が。

夏場は「抹茶パフェ」などが人気の店なのだが

どうやらこの時期(11月下旬)は、ホットケーキがメインらしい。

それにしても、バター、クリーム、小倉、フルーツなどなど

そのバリエーションの豊富なこと。

迷ったすえ、フルーツホットケーキを

相方は小倉クリームホットケーキを注文した。

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これを手にして、迷わない人はいないはず。

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食べ始めてから、あわててパチリ。

肝心の味は?

・・いやもう、思い出しただけで唾が出てきたよ。

とにかくホットケーキがモチモチのフワフワで、うまいうまい!

それも分厚いのが2枚重ねで、食べ応え満点。

おまけにトッピングのフルーツが、文字通りの”てんこ盛り”。

こんなに色々な果物をいっぱい載せて、商売になるのか?。

そんな心配をしてしまうほど、感動的なホットケーキ体験だった。

 

★Ara-kan旅メモ/京都Ⅻ★

庶民派の甘味処「梅光堂」で、ホットケーキをもう一枚!

 

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鴨川のサギにも、さようなら!

やっぱり旅は「メシ次第」だよなぁ・・

大満足の余韻に浸りながら、JR線にそって京都駅方面へ。

途中、跨線橋の上で足元を通る電車に大喜びする子供を眺めたりして

スーツケースを預けたホテルへ。

・・ではなかった。

まだ、時刻は1時前。

もう一か所、寄っていくことができる。

「余裕があれば」という予定通り、ホテル前を素通りし、さらにその先へ。

堀川通に出て、西本願寺に向かって北へ歩くこと数分。

越中富山の薬問屋を思わせる、黒っぽい大きな建物が見えてきた。

 

亀屋陸奥

織田信長本願寺が戦った石山合戦の頃に作られたという

本願寺ゆかりの京菓子店だ。

歴史ある名店ならでは敷居の高さを感じつつも

思い切ってガラス戸を開け、店内へ。

この店を代表する本願寺御用達の高級和菓子「松風」。

実はここ本店でだけ、斬り端や型崩れを詰めた《特用袋》を扱っており

それがすごくお得だというのだ。

(これまたさっきのグレゴリ本の受け売り。今回かなりお世話になった)

ひとりだけカウンターの中にいた女性店員が

あまり金の匂いがしないAra-kanふたりの雰囲気を一瞬で察したのか

きょろきょろと店内を見渡す我らに、「特用袋」ですか?

見事にも的確な一言を発し、その現物が並ぶコーナーを指し示してくれた。

このあたりの”客を見る目”は、さすが京都!といったところか。

・・いや。別に皮肉ってるわけじゃなく、ホントに感心しているんだけどね。

 

ともあれ、一袋750円の「特用袋」を2つ購入。

(賞味期限が10日間だったので。長ければ、もっと買っていたが)

一度も食べたことがなかったので、少々不安ではあったが

400年以上続いてるんだから、そうそう口に会わないことはないでしょ。

と、決断(そんな大げさなことか)した次第である。

 

※帰宅後、食べてみて、驚いた。

 シンプルだけどおいしい。そして、飽きのこない味。

 また、ちょっとオーブントースターで焼くと、もっちもちになって甘みも倍増。

 次に京都行った時にも買うことで、相方とも意見が一致した。

 

てなわけで、4日間に渡る京都の旅はおしまい。

それにしても今回の京都は

国内旅行としては、近年稀に見る充実ぶりだった。

新型コロナ次第ではあるが、遠からず再訪する可能性が高いぞ。

 

ではでは、またね。