”無限リピート”が止まらない! もっかい『LETTER TO YOU』Bruce Springsteen 

いいのか、調子に乗って。 

興味のない人にはかすりもしない話題だぞ・・

などと冷笑する心の声を振り切り

でもやっぱり、書かずにはいられない。

それだけの圧倒的な力が、このアルバムには籠められている。

 

だって、”リピート試聴”が止まらないのだから。

 

前回、同じアルバムへの感想を書き殴って1週間が経つが

いまなお自室のプレーヤーは、この1枚をリピートし続けている。

やっと外出時のMP3では、無限リフレインから抜け出し

ここ半世紀の全作品を聞き直し始めたが

帰宅するなり

数十回目になる『LETTER TO YOU』の再生スイッチを押してしまう。

そして、すっかり覚えたメロディーを口ずさみながら

普通なら手にしない解説や歌詞(日本語訳)に、何度なく目を落とすのだ。

 

まさに中毒的な、ヘビーローテーション

40年以上昔の大学時代に遡っても、記憶にない。

いったい、なにが、こんなにも強い磁力を創り出しているのだろうか。

 

ド素人なりに、能書きをタレてみよう。

 

デビュー当初は、「第2のボブ・ディラン」と称され

三枚目のアルバム『Born To Run』の大ヒットで

一気に「アメリカン・ロックの雄」の座へと駆け上がった。

その後も〈音楽の力〉を強く信じ

およそ半世紀にわたって時代と共に走り続けてきた

”ボス”ことブルース・スプリングスティーン

 

とはいえ、”シンプルにしてパワフルなロックンローラー

と受け取られがちな彼の音楽(特に歌詞)は

しばしば(ボブ・ディラン)的な抽象性=難解さをまとっており

本人の生々しい想いは、巧みな「比喩」や「物語」のなかに埋もれていた。

 

だが、今回の最新作において

――おそらく70という年齢が、ひとつのきっかけになったのだろう――

彼自身のたぎるような本音が

それも、面と向かって語りかけるようなストレートさで

我々の前にさらけだされているのだ。

 

決してやり直すことのできない歳月にまとわりつく、いたみと孤独。

幾たびも見送ってきた、親しい仲間や家族らとの絆。

混迷する現実社会に向けた、怒りとやるせなさ。

次第に終幕へと近づく自らの人生に捧げるかのような、深い祈り。

それら言葉のひとつひとつが、聴く者自身(ワシだ)の人生と重なり合い

いくつもの鮮やかな情景を、聞くたびに蘇らせてくれる。

くわえて、半世紀前に生まれた3つの未発表曲が

これら〈赤裸々な言葉たち〉のはざまで心地よい幕間劇を演じてくれるから

何度聴いても、新鮮さが薄れない。

 

そしてトドメは、《バラードの架け橋》。

あたかもウロボロス(己の尾を噛んで輪になった蛇)のように

冒頭と最終の曲が、足並みをそろえ

相通じる世界をゆったりと結びつけてくれる。

だから、止められない、止まらない。

いつまでも、どこまででも、リピートできてしまうのだ。

 

・・うわ。

〈真夜中のラブレター〉じゃないけど

読み返したら、きっと”赤面もの”なんだろう。

ま、いいか。

『ブログの恥は書き捨て』ってことで、公開しちまおう。

こういうとき、匿名は助かるぜ。

 

ではでは、またね。