ようこそ、極上の時間旅行へ。 『ぐるぐる♡博物館』三浦しをん 周回遅れの文庫Rock

中学生の頃は「理科部」

高校の3年間は「天文部」と

〈理系オタク少年道〉まっしぐらだっただけに

本書は迷わず手に取り、積読山脈もスルーして、読破してしまった。

(「読破」と言うほど重厚な内容でもないが)

で、改めてしみじみ痛感した。

――やっぱ、博物館って、いいよな~!!

 

特に、第2館で紹介されたキング・オブ・ザ・ミユージアム「科博」。

国立科学博物館には、半世紀前の記憶がくっきり残っている。

当時、都内の高校で天文部部長という"雑用係"を押し付けられていた私は

たぶん何かの雑誌(天文関係?)に載っていた

国立科学博物館主催の「学生向け天体観測会」の案内に興味を持ち

全部員(といっても7~8名程度)を引き連れて

夕方の上野駅公園口から、当時は古い旧館だけだった科博の建物に乗り込んだ。

そして、博物館の職員に親切な解説を受けながら

最上階の観測ドームに鎮座する望遠鏡の接眼レンズを順に覗いては

木星の縞模様や周囲をめぐるガリレオ衛星土星のリングなど

都会の夜でも充分に観測できる、夜空のパノラマを楽しませてもらった。

 

熱しやすく冷めやすい、根気も学習欲も中途半端だった我々は

確か毎週金曜日?に開かれていた、この無料観測会に

ほんの数回しか参加していない。

落ち着きがなく、暇さえあれば〈面白いこと〉を探すガキだった我々のことだ。

おそらく、すぐまた別の何かに興味を移してしまったのだろう。

 

そして、四十数年の歳月が過ぎた。

実はその後も、プライベートや仕事(打ち合わせ)で

何度か旧館時代の科博を訪れていたのだが

リニューアルした後は、改装したことすら気づかぬ情報音痴ぶりだった。

 

それでも、大々的なリニューアルを経て

地球館(新館)と日本館(旧館)のツートップ体制で生まれ変わった「科博」に

足を踏み入れたのは、一昨年(2019)の9月前半の週末。

おりしも開催中の「恐竜博2019」に行きたいという

次女一家の長男(当時3~4歳)の希望を受け

科博の中で、われらふたり(祖父母)と待ち合わせることにしたのだ。

 

生まれ変わった国立科学博物館の詳細は、本書を参照していただきたい。

ただ、どこもかしも薄暗く埃臭かった、かつての「科博」を記憶する者にとっては

まるで別の施設だったことだけを、記しておこう。

 

んで、わざわざジジバカぶりをさらすエピソードに触れたのは

世界の昆虫コレクションを前に、ぴょんぴょん飛び跳ねて喜んでいた孫のことを

語りたかったから、というわけではない。

 

あるいは、本書で紹介されていた「ハチ」や「ジロ」はもちろん

シアター360」まで見落とした、己の目の"節穴ぶり"を嘆きたいわけでもない。

地球館の何階だったか、はっきり覚えていないが

確か、「宇宙を探る」みたいなコーナーだったと思う

その奥まった一画に、どことなく見覚えのある「品物」が展示されていた。

近寄って、説明書きを読むと、それもそのはず。

はるか半世紀前の高校時代。

あの「観測会」で、木星の縞模様や土星のリングを見せてくれた

天体望遠鏡に、他ならなかったのだ。

その瞬間、胸の内に、ふわっと蘇ってきたのは

部員たちと一緒に過ごした、暗いドーム内でのひとときや

遊び半分で来た我々に、根気よく丁寧に教えてくれた職員の語り口など。

だが、なによりも強烈だったのは

"いやはやなんとも・・あっという間だったなぁ・・・"。

という、自身が生きた半世紀への想いだった。

 

で、柄にもなく興奮した恥ずかしさもあり

たまたまいちばん近くにいた次女(二児の母)に

「この望遠鏡、俺が高校生の時、天文部の活動で科学博物館に来て

 月とか木星とか土星とか観測させてもらったヤツなんだぜ、いや、懐かしいなぁ」

などと、口走ってしまうと

次女の返事は、「ふーん。そうなんだ」

 

――この気持ち。他の人には、ぜったいわかんないよな。

 

『ぐるぐる♡博物館』の面白さを紹介するはずだったのに

気づけば、はるか数億光年かなたの思い出話を、長々と続けてしまった。

ま、このように(どのようにだよ)

一度でも博物館に魅力を感じた体験のある人なら

読めばわかるさ 迷わず読めよ byアントニオ猪木(リハビリ頑張れ!)

・・と、強くオオスメする。

 

いままで、国内国外を問わずあっちこっち出かけてきたけど

正直、あまり有名でない博物館には、どこかうさん臭さを抱いており

よほど時間に余裕があるとき以外、立ち寄らなかった。

(実際、雲仙岳災害記念館前は、車で素通り)

しかし本書を読んだ後、その方針は改めることに決めた。

取り敢えずラインナップされたうち

茅野市尖り石縄文考古館」「奇石博物館」「雲仙岳災害記念館」

石ノ森萬画館」「めがねミュージアム」「ボタン博物館」は訪れたい。

もちろん「科博」も、次回は1日かけてゆっくり回ろうっと。

 

ではでは、またね。