ときめかなくなったら、おしまいだよ。 『図書館戦争』シリーズ(全6巻)有川浩 周回遅れの文庫Rock

私たち人間は、動物だ。

書いて字のごとく、動物は”動く生きもの”であるから

動かなく(動けなく)なってしまった場合

それは、”なんらかの制限下にある状態”であり

残念ながら、自らの命を100%燃焼できずにいる。

――極めて差別的な表現だと受け取り、激怒する方もいらっしゃるだろうが

あくまで〈生物としての機能〉を語っているつもりなので

どうか、オッサンのタワゴトと、余裕を持ってスルーしていただきたい。

 

で、この”動く生きもの”という動物(=人間?)の概念は

身体的機能に留まらず、精神的な働きにも適応される。

そう、私は認識している。

なので、《心が動かくなった人》もまた

己の生命を完全には活用できていない状態であると、考える。

 

ま、この程度のこと、大上段に振りかざさなくても

”恋をしている女性は、いくつになっても若々しい”。

みたいな事例を挙げれば、なんとなくわかってもらえるはずだが。

 

そんなわけで(どんなわけだ?)

どーも最近、心揺さぶられる小説に出会えないという不満から

またも『図書館戦争』の世界に引きずり込まれ

いい歳こいてときめいてしまった己への、自己弁護に替えてみた。

 

わざわざ宣伝するまでもなく

本書は、人気SF小説の代名詞「星雲賞」とともに

ダ・ヴィンチ」誌の「好きな恋愛小説ランキング」で第一位を獲得した

超有名ベタ甘恋愛&近未来(おや、もう時代に追いついた)小説だ。

 

それでも、あえてひとつ絶賛するなら

なんといっても「会話=言葉の力」にトドメを刺す。

登場人物のひとりひとりが発する、言葉。

そこに込められた想いを受け止め

渾身の力で投げ返す、さらなる言葉。

こうした、いわば〔魂のキャッチボール〕が

読む者の心を包み込み、熱く揺さぶったかと思えば

反対に凍えさせ、かきむしり、斬りつけていく。

 

〈心の急所〉を正確に貫くこのテクニックが、天性のなのか

たゆまぬ努力の産物なのかは、さだかではない。

ただ、最終『別冊図書館戦争Ⅱ』の巻末インタビューに載っていた

作者自身の言葉は、私の核心を裏付けてくれるものだった。

 

有川 言葉ってほんとに、人を抱きしめる手段にもなるし、人を傷つける凶器にもなるんです。なので、その言葉の持っている力と恐ろしさを、もう少し意識してもらいたいですよる。何の気なしの言葉でも、すごく人を傷つけるし、これぐらい大丈夫だろうって思っても、相手には大丈夫じゃないこともあるわけです。最近権利を主張する人が、ちょっと多いなぁという感じがしています。言葉を使う権利はもちろんあります。でも、言葉を使うということは、同時に義務も発生するということなんです。その辺りをこのシリーズを読んで少しでも考えてもらえたら、嬉しいです。 (318ページ)

 

別の個所で『言葉は必殺技』なる言いまわしも使っている著者の

強い想いが伝わってくる一節だ。

そっくりそのまま、はるか東海上の大国で

「俺の投票は盗まれた!」と吠える身体ばかりデカイ大人子供に

ぜひとも読ませたい言葉である。

 

あれれ。

ときめきを主題にスタートしたのに

いつのまにか「言葉の持つ力」へとワープしてしまった。

いまだ読書途中の『恋愛ラボ』(現在12巻!)との相乗効果で

近年稀に見る〈ベタ甘モード〉になっているのに・・。

う~ん、トキメキについては

次回(?)の『恋愛ラボ』感想文でリベンジするか。

 

ではでは、またね。