久高島0円散歩(後編) 沖縄うたた旅 2024.1.28-31 3日目② 久高島/ピザ浜👣イシキ浜👣ウパーマ👣カベール岬👣フボー御嶽👣大里家👣徳仁港⛴安座間港

2024年1月30日(火)ホテル🚘安座真港⛴徳仁港/久高島👣外間殿👣ピザ浜👣イシキ浜👣ウパーマ👣カベール岬👣フボー御嶽👣大里家👣徳仁港⛴安座間港

心地よい青空の下、お気楽な0円散歩はまだまだ続く

 

絶景と呼ぶに値するピザ浜を後に、島の北東端・カベール岬へと向かう。

人っ子一人見かけぬ海岸沿いの道を歩くこと6~7分、イシキ浜の入口に到着。

踏み分け道を進むと、すぐ眼の前にこぢんまりした砂浜が広がっていた。

「昔、黄金の壺の流れてきた霊地」だというイシキ浜。

だが"スピリチュアル音痴"な我々は、どこが神聖なのか全く感じ取れない。

これならさっきのビザ浜のほうがずっとキレイだったなぁ・・

など無責任なつぶやきを漏らしつつ元の道に戻ろうと踵を返したとき

入れ替わるように二人の若い女性が踏み分け道をやってきた。

砂浜に出ると彼女たちは、両手を合わせ高く掲げたと思ったら

そのまま両眼を閉じ、長い祈りを捧げ始めた。

そっかー、"わかる人",には神聖な場所なのだなぁ・・・。

神をも恐れぬ不謹慎な感慨を胸に、さらに散歩は続いてゆく。

ときおり木漏れ日が射す、静かな散歩道

この一足一足こそが"祈り"に通じるーーなんちゃって

太いガジュマルの木が、涼しい木陰を作っていた

ピサ浜からカベール岬まで、ちょうど半分ぐらいのところ

その間も、目についた植物の葉・花・実などを気ままに撮影してゆく

 

道の両側がヤシの木のような熱帯樹林へと代わり

もうちょっと歩けばカベール岬かな、と思ったその矢先。

歩いてきた道の彼方から、ワサワサとした人の気配が急激に迫ってきた。

何事かと振り返ると、ざっと10台はあろうかという自転車の群れ。

第二便(9時半発)の定期船で島に着いた観光客が

レンタサイクルを濃いで、続々と第一便(我々)を追い越していくのだった。

見れば、自電車に交じって電気自動車らしき軽車両もやってくる。

どうやら、ちんたら歩いて島を回る"もの好き"はほとんどいないらしい。

こっちの(歩いた)ほうが、ずーっと気持ちいいのにな。

歩く速さでのんびり進み、あれこれ目に留めては立ち止まってシャッターを切る

そんなスロー観光にすっかり適応している初老親父は

――狭い久高島、そんなに急いでどこへ行く

などとうそぶきながら、何かに追われるように先を急ぐ自転車軍団を見送るのだった。

カベール岬の手前に立つ「ハビャーン」の案内板

わざわざ自転車を停めて読もうという人は、誰もいなかった

 

深くえぐれたカベール岬の突端

晴れてればさぞかし「絶景」なのだろうが、あいにく頭上は暑い雲に覆われていた

直射日光が当たらない分、樹木の緑が生き生きと映えてくる

小さいながらもスイセンを連想させる可憐な白花に、デジカメを向けた

その足元に、なにか気配を感じると思ったら・・

ちょい強面(コワモテ)の野良猫さまが

ひょっとして、あなたはカベール岬の守護神かい?

 

どんよりした海が広がるだけ(失礼)のカベール岬を離れ

フランスパン形の久高島を反時計回りに歩み、フェリーの待つ徳仁港へ戻ってゆく。

途中、島で最高の霊地と崇められている「フボー御嶽」に寄ってみた

矢印に従い、島を南北に分かつメインロードをちょっと北に逸れる

すると、目と鼻の先に「フボー御嶽」の案内板が

ラスト一行の文字から、島人の願いがひしひしと伝わってくる。

ーー何人たりとも、出入りを禁じます。

掟破りにならぬよう、御嶽手前の路上から一枚。

ズーム機能を使っても、不敬罪にはあたらないよね。

実際その後、「バチ」らしきものには当たった覚えはない。

がらんとした空き地にしか見えない御嶽内より、道端の植物に目を奪われる。

タラの芽っぽい若緑に、胸がときめく

空はどんより暗いけど、朝一番でピザ浜の青空を堪能できたので十分満足。

およそ2時間かけて、久高島を4分の3周ほど歩いて巡り

あとは「大里家」に立ち寄るだけかと思った頃。

レンタサイクルに乗った40台前後の一人旅女性に声をかけられた。

誰もが自電車を借りて島巡りをするなか、わざわざ散歩する珍しかったのだろう。

そんな彼女がボヤくことには

「この島は自転車のレンタル料が2時間2000円もするのよ~」

(うろ覚えなつき間違ってたらゴメン)

それって10時間も借りれば1台買えちゃう計算だよね!?

ーーー借りなくてよかったぁ。

「おかげで昼食代がなくなっちゃったわよ」

彼女は苦笑いを浮かべ、こう続けた。

「もっともこの島の飲食店は割高らしいから、足りたかどうかわかんないけど」

んじゃ、俺たちも早めに帰ることにしよう。

 

てなわけで久高島でランチは摂らず、12時発の高速船で戻ることに決定。

その時間に間に合わせようと、やや速足になって大里家を目指した。

大里家は、沖縄の王様が来島したとき、当家の美人クニチャサ祝姫と暮らした場所

離宮みたいなものかな、と予想したよりも遥かに小さな建物だった

入口脇にあった案内板、興味があったらご一読をば

外見はごく普通の沖縄民家だが、失礼して中を拝見すると・・

黒々と磨き抜かれた柱・床・家具に、お供え物が競い合うように並ぶ

毎日毎朝手入れや礼拝を欠かさないのだろう

建物の内側には埃ひとつ落ちていない

実際集落を歩くと、いたるところで神様にお供えし祈りをささげる姿を見かけた

商売っ気の多そうなレンタサイクル店や飲食店はさておき

島に暮らす人々の信仰心は脈々と息づいているようだ

行きには気づかなかった校門脇の「新年のあいさつ+干支の龍」

今回の島巡りで出逢った、最も神様っぽい造型だ

出航10分前、チケット売り場に到着

高速船利用のため差額(90円 )を追加払いし、無事乗船する

行きのフェリーと違い、高速船に眺めのいいデッキ席は用意されていない

潮しぶきで曇ったガラス窓越しの景色に不満をおぼえつつ

20分少々で船は沖縄本島・安座間港に到着した

船上からの景色を楽しみたい方は、ぜひともフェリーを利用しよう

 

結局、朝8時半から昼12時前まで3時間少々の久高島散歩。

一年前、強風のため渡れなかった経緯もあって

この次は島で一泊ぐらいしようかな、と勝手に盛り上がっていたけど

実際歩いてみたらーーもうこれで充分だな~ーーという気分になっていた。

ぶっちゃけ、久高島散歩より前日食べたパンのほうが強く記憶に残っているのだ。

どこまでいっても"俗物は俗物"ってことだろう。

 

ではでは、またね。