2023年10月1日(日) Ning Ning Guesthouse👣朝の托鉢/寺院👣宿/朝食👣散策/GECKO/VILLAVE👣船着き場🚤ソップチェーム村
小舟が着いたのは「織物の村」だった。
澄み切った青空のした、軽快なエンジン音を立ててボートは進む。
川面を渡る風が絶妙な涼しさを届けてくれるので、めちゃめちゃ気持ちいい。
ボートが進むにつれ、じわりじわりと変わる景色から、目が離せない。
手を伸ばせば届く近さを、空の色彩を映した川面が滑ってゆく。
写真では再現し切れない鮮やかな緑が、目から心へと染み渡る。
珍しく動くものが視界に入った、と思ったら・・
立派なツノをもつスイギュウだった。なぜか向こうもこっちを凝視している。
とにかく、どっちを向いても人の気配が感じられない。
と思ったら・・単独行の釣り人を発見。なにか凄い魚が棲んでいるのかな。
こうして"360度パノラマ小舟旅"を堪能すること、およそ30分。
川岸に小さく広がる砂地の上に、ボートは乗り上げた。
竹の柵で囲われた畑らしきものが、奥に向かって伸びている。
「この上に村があるよ」と船頭さんがジェスチャーで伝えてくれたので
「30分後に戻って来るね」とこちらも身振りで確認し、上陸した。
柵の隙間に作られたあぜ道を登っところ。午後3時過ぎだが、まだ陽射しは強烈。
途中、多くのチョウが群がっている場所があった。ミネラルを摂りに来たのだろう。
なかには、ムアン・ゴーイで見かけたシジミチョウ?の姿も。
細いあぜ道を登ること1~2分で、ソップチェーム村の入り口に到着。
おそらく一階部分は納屋なのだろう。高床式っぽい独特の作りの家が点在する。
自然公園?伝統的集落?・・大きなパネルが何枚も。まったく読めない。
(後ほど「翻訳ソフトを使えば一発じゃん」と気付いたけど、結局ほったらかし)
一本道の両側に十軒ほどの建物が並ぷーーこれがソップチェーム村の全景。
右側の屋根の向こうは、すぐ険しい崖になっていた。
日曜日だからか人の姿は見当たらず。右奥のよろず屋も、ほぼ開店休業中。
ええ~~っ、このゴーストタウンみたいなとこをぐるっと回るだけ?と思ったら・・
民家の軒先に、どこかで見たような道具を発見。・・これって、機織り機だよね。
近づいてみると、間違いなく機織り機。家の人が、ここで布地を作っているんだ。
すると隣の家から母子が出て来て、機織りを開始する雰囲気に。
かと思うと、織り上がった布地を持ち出し軒先に並べる女性も。
ついさっきまで静まり返っていた村が、次々と「店」を始めた。
そうか。なぜか急に人が出て来たと思ったらーー、
たまに舟でやって来る観光客に、各家で作った織物を販売しようというのだ。
陸上より川のほうが涼しいからボートに乗ろう!
などと、予備知識もないままソップチェーム村のまでやって来たのだけど。
訪問される村の方は、手作りの織物を用意して待ち構えていたわけか。
なるほど、少しでも収入を増やそうと頑張っているんだな。
結局、通りに面する家屋のうち5~6軒(3分の1程度)が布地屋に変身したろうか。
しかし店を開けたといって、村の静けさは変わらない。
女性たちは、自分たちが織った布やバッグを並べ終わると、
客引きの声ひとつ上げず、ただその場で恥ずかし気な笑顔を浮かべている。
なんて、商売っ気のない人たちなのか。
どの家にも機織り機が置いてあるところを見ると
かなり前から布づくりを副業にしており、定期的に買い付けにくる人もいるのだろう。
ひょっとすると、いま目の前に並べられた布地は
仲買人に買ってもらえなかった「ワケアリ品」なのかもしれない。
そんなイジワルな色メガネで見てみると・・
確かに、染めや模様が綺麗に揃っていないような気もする。
しかし逆に言えば、そのムラこそが手作りならではの良さではないのか。
どのみち、最後に頼れるのは自分の感覚だ。
実際に一軒ずつ回ってみて、気に留まったものがあれば買えばいい。
だがそうなると、船頭に「30分待ってて」と告げたことが悔やまれる。
もうちょい余裕が欲しかったかもなぁ・・焦りかけたそのとき。
ふと目に止まった"ゾウと小鳥"が編み込まれた黒い布が、一発で気に入った。
500000キープという言い値を400000に負けてもらい、迷わず購入する。
※日本円だと3000円弱ぐらいか。
布を手渡すとき、売り手の女性が「作るのに1週間かかったよ」と教えてくれた。
ーーー先にそれを言ってくれれば値切る気になれなかったのに。
ソップチェーム村で買った"ゾウと小鳥の黒布"。
相方が、"せっかくだからここで撮影してけば?"と協力してくれた。
広げた布地の大きさは、この4倍。ほぼシングルベッドと同じ。
今まで世界各地で購入した布の中で、ダントツのサイズだ。
(かなりインパクトが大きく、現在は自宅2階の壁を飾っている)
ではでは、またね。