"なにもない"に胸が熱くなる ムアン・ゴーイ(Muang Ngoi)の歩き方/その3 ラオスうたた旅 2023.9.27-10.5 4日目⑥ メインストリート👣脇道👣VITA👣メインストリート

2023年9月30日(土) Nong Khiaw/宿👣COULEUR CAFE RESTAURANT👣宿👣船着き場(Cafe)⛴⛴Muang Ngoi-ムアン・ゴ-イ船着き場👣Ning Ning Guesthouse/カフェ👣メインストリート/Wat Okad Sayakham👣脇道👣VITA👣メインストリート

ムアン・ゴーイ「大通り劇場」、"夕方の部"は大人たちが主役。

 

300メートルほどのメインストリートを端から端まで歩き通したので

今度は、近くの脇道に入ってみた。

当然土を踏み固めただけで水たまりや大きなえぐれもあり、プチ探検気分に浸れる。

それでも道の両側には家屋が立ち並び、草だらけの路上は犬や家禽たちの天下。

ふと道端を見上げると、立派な実をつけたバナナの木が。

目の前を悠然と横切るのは、親分肌の七面鳥

何かを引っかけてしまったのか、枝先を見上げる子供たち。

誰にも叱られず木に登って遊んだ日々を思い出し、胸が熱くなってきた。

ぐるっとひと回りして、ふたたびメインストリートへ。

たまたま"オヤツタイム"だったのか、人の姿はきれいさっぱり消えていた。

小一時間ばかりぶらぶら歩き、小腹も空いてきた気がしたので

たまたま目の前にあった店に入って、ひと休みすることに。

「VITA」という名のラオス料理レストラン――らしいのだが、人の姿が見当たらない。

ハロー!?サバーイディー!? と声をかけても反応なし。

店員を探し奥の住居へと向かう相方を見送り

ま、なんとかなるだろうと、一番楽そうな長椅子付きテーブルに身を沈める。

 

ほどなく相方と一緒に、ようやく客の存在に気付いたオバチャンが笑顔で現れた。

(オバチャンと言っても40~50代。我らより確実に若い)

で、まずは何はなくともビールをオーダー。

蒸し暑いなかを歩き回った身に、冷えたビアラオはなによりのご馳走。

※この日も最高気温は35度近く。飲食店に入ると「まずはビール」と口走る。

ここで満腹になると夕飯が入らなくなるので、春巻きなど重くない料理も注文した。

例によって「注文を受けてから作り始める」スタイルなので、待ち時間は長い。

30分まではかからなかったと思うけど、その間、ぼんやり通りを眺めたり

誰もいないのをいいことに、何気にエキゾチックな店内を撮影したりして過ごす。

にしても、これほど"待ち時間が苦にならない"のは、どうしたことか。

すっかりラオスメシの定番となった「スプリングロール」。なにせ"ハズレ"がない。

ここで食べた一皿も、揚げたてカリカリの皮に包まれた新鮮な野菜に思わず唸る。

まったくもう、なんでこんなに旨いのだろう。

加えてお勘定は、どこまでも財布に優しい。

ビール+春巻き+カレーパンプキン+グリーンティーの4品で700円程度か。

 

のんびりゆったり「3時のおやつ」をいただき、店を出たのは4時半あたりだったか。

いつの間にか、空はほんのり赤みを加え

無人だったムアン・ゴーイのメインストリートにも、変化が生まれていた。

いくぶん涼しくなったからか、散歩をする大人の姿が・・・

老若男女+イヌ+ニワトリが入り乱れ、メインストリートで時を過ごす。

ご近所同士、当たり前のように声を掛け合えるのが、やけに羨ましい。

なんてことない日常なのだが、何度も振り返って凝視せずにはいられない。

少なくとも中高年以上の日本人は、懐かしさで胸がいっぱいになるはず。

世界各地から訪れた観光客も、その"日常"に溶け込んでいるのが興味深い。

キリがないから「メインストリート劇場」の紹介は、ここらでおしまい。

 

ぜひとも、一人でも多く(特に中高年)に、ムアン・ゴーイを訪れてほしい。

そして、一カ月以上過ぎてもなお胸の裡に熱く残る"なにもない"を

全身で感じ取っていただければと、願ってやまない。

 

残念ながら、この"なにもない"が純粋に体験できるのは、ここ数年の間だろう。

高速鉄道の開通に象徴される、中国資本の進出がラオス全土で始まっているからだ。

たぶん遠くない将来、ムアン・ゴーイにも立派な道路が開通し

奇跡のように残った"なにもない"また、跡形もなく消えてしまうのだ。

解放直後の80年代後半に訪れた中国で。

あの、高い建物など存在せず空ばかりが広がっていた西安の街がそうだったように。

――おっと、ガラにもなくセンチメンタルになってしまったぜ。

 

ではでは、またね。