一瞬の絶景! 富士山ぐるり旅 2021.9.21-22 2日目

2021年9月22日(水)

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       宿の食堂。徹底した感染症対策に、ちょっとビビる。

 

明日の日の出は、5時31分。

もし晴れていれば、数分間、赤富士が楽しめますよ。

 

夕食後、宿の主人が発した言葉のせいではないが

妙に正確な「体内時計」のおかげで

明け方の5時半ちょっと前に、目が覚める。

 

しかし、ベッドわきに設けられた窓に近付くまでもなかった。

外はどんよりと暗く、朝日のアの字も窺えない。

それでも念のため体を起こし、富士山の方向に目をやると

・・ほぼ完全に、乳白色の雲の中。

辛うじて裾野周辺が帯状に確認できるのみ。

――赤富士は、次の機会だな。

渇いた喉に水をやり、もいちどベッドにもぐりこむ。

 

次に目覚めたのは、7時半を過ぎた頃。

すでに相方は身支度を済ませており、ソファで本に目を落としていた。

8時スタートの朝食に間に合わせるべく、急いで準備を整えた。

 

昨夜同様5分前に一階へと降り、食堂の同じ席に陣取る。

待つほどもなくお皿が運ばれ、目の前に朝食が勢揃いした。

サラダ・スープ・オムレツ・ソーゼージ・パンなどなど。

ごくスタンダードな洋風ブレックファストだったが

やはり味付けは控えめで、素材ひとつひとつの味が際立っている。

昨夜が食べ過ぎぎみだったこともあり、さほど空腹を感じていなかったが

今度も何ひとつ残さず、綺麗に平らげてしまった。

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              朝食もお見事。ご馳走様。

 

あいにく、窓の外には厚い雲が垂れこめてきて・・

というより、建物自体が雲の中にすっぽり入ってしまった様子で

ポツリポツリと雨粒が落ちてきた。

宿の主人が、残念そうに言う。

 

天気が良ければ、外のテラスでコーヒーを飲んでいただくところなんですけどね。

 

確かに、山中湖越しに富士山を眺めながら飲むコーヒーは

とんでもなく美味しそうだ。

・・けれども、入口近くに設置された「ドリンクコーナー」には

ジュース・牛乳・紅茶(ティーパック&お湯)の用意は揃っていたものの

コーヒーポット(らしきもの)は、空っぽ。

食後のコーヒーを楽しむことは、物理的に不可能だった。

そのことに気づいた時には、すでに主人は立ち去っていたので

他の宿泊客も敢えて声を掛けようとせず

結局、紅茶で済ませてしまう。

※後刻、宿の奥さんが、飲料を用意する際、うっかり淹れ忘れていたことが判明。

 宿泊客の部屋をまわって謝罪し、改めてコーヒーを勧めてくれた。

 

チェックアウトの10時までは、まだ1時間以上残っている。

天気は本格的な雨模様となり、急いで出かける用事もない。

せっかくだから、就寝中にかいた汗を流していこうと、貸切風呂へと向かった。

温泉ではないものの、夜は11時、朝は6時から、入浴可能だった。

食堂から退出するとき、浴室の扉を確かめると、幸い「空き」。

部屋に戻ってすぐに支度し、3分後には広い湯船でうっとり気分。

我らを含めて3組6名しか宿泊客がいないおかけで、待つ人を気にすることもない。

申し訳ないが、コロナのお陰でのんびりゆったり過ごすことができた。

 

ほっこり暖まった身体で、10時のチェックアウト前に部屋を退出。

一階に降りていくと、宿の奥さんにコーヒーを勧められた。

このとき初めて、朝食時に「ポカ」をやらかしたと知る。

70を超えるとあれこれ忘れることが多くなって・・

と、照れ笑いを浮かべる奥さん。

 

せっかくなので食堂に立ち寄り、用意してもらったコーヒーをいただく。

すでに時刻は10時を過ぎていたが、まるで気にしてない様子。

他の客を送り出したご主人も顔を出して、すっかり世間話モードに。

雨はさらに激しくなり、急いで出発する理由はますますなくなっていたので

食堂の片隅に飾ってある柴門ふみの色紙から、彼女が訪れた時の思い出をうかがったり

40年前に始めたペンションの経緯、季節ごとに遊びに来るお孫さんのことなど

とりともめなく、話の糸をたぐってゆく。

 

その間も、雨は降り続け、しばらく収まる気配はない。

10時半が近づくころ、後ろ髪を引かれる想い出暇を告げ

傘もささずに庭先に立つご主人に見送られ、ようやく車を出発させた。

 

さて。あいにく雨で、富士山はまったく見えない。

それでも、当初の予定通り、"ひとまわりする"ことを目指して

まずは、忍野村の山間に広がるという蕎麦畑へ。

しばらく前、スマホで「ソバの花が満開」というニュースを見ており

いちおう寄ってみることにしたのだ。

こういうとき車での移動は、とっても楽ちんだ。

 

・・残念ながら、ソバの花は盛りを過ぎ、白いポヤポヤがいくつか認められたのみ。

その代わりというわけでではないが、相方が工場直営のチーズケーキ店を発見。

規格外の格安チーズケーキを、嬉しそうに購入していた。

 

やはり悪運が強いのだろう。

先ほどまで土砂降り状態だった雨は、徐々に小康状態へ。

富士山こそ見えないものの、これなら充分ドライブを楽しめそうだった。

山中湖から北西の河口湖に向かい、途中にある「道の駅 富士吉田」を目指す」

車で旅をするとき、有名観光地にあまり興味がない我々が最も楽しみにしているのが

小休止を兼ねて、これらの「道の駅」に立ち寄ること。

地元で採れた安くて新鮮な農産物や、ローカル色豊かな商品の数々は

どれだけ見て回っても、飽きることはない。

 

さっそく両手に"戦利品"を抱え、ホクホク顔で車に戻る。

その後は河口湖バイパスから、河口湖大橋をへて、湖の北岸沿いの道へと侵入。

とつぜん目の前に広がる水面の眺めは、何度体験してもいいものだ。

しかもこの頃には、雨はすっかり上がり

気が付けば湖面の向こうに、黒々とした富士山の雄姿が!

いったんは諦めかけていただけに、この"出逢い"は感動ものだった。

また雲に隠れてしまう前にと、急いで駐車スペースに車を停める。

カメラを片手に路肩の斜面を降り

たまたま咲いていたコスモスを前景に、この日の富士山をフレームに収める。

・・・よしよし。これで、最大?の目的は果たせたかも。

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             この日のベストショット?

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          ついつい、山頂にも目が行ってしまう

 

意気揚々と車を道路に戻し、川口湖畔から西湖の北岸へと走り抜け

ぐるっと大回りして逆方向から国道139に侵入。

「道の駅なるさわ」で2度目の小休止を取る。

この時点で、天気はすっかり回復。

降り注ぐ強い日差しの下で、巨大な富士山頂が衝立のように聳えていた。

 

これなら、絶景を眺めながらぐるっと回っていけるかも・・。

欲をかいた我らは、富士山のすぐ西を走る富士宮鳴沢線をチョイス。

知る人ぞ知る自殺スポット「青木ヶ原樹海」の濃密な森を南下していった。

片側一車線の間近に迫る手つかずの森に圧倒されながら

行き交う車もまばらなワインディングロードを

ほとんどブレーキを踏むことなく、あっというまに走り抜けてゆく。

 

やがて道は樹海の先、朝霧高原の大地へと景色を変える。

もし晴れていれば、左手に雄大な富士の姿が・・・!

――残念。見渡す限り、雲ばかり。

というより、ずっと雲の中を走っていたような。

そう。欲張らずに、もっと低い位置を走る富士宮道路を選んでいたら

雲の上に顔を出した富士山頂が、拝めたかもしれないのだ。

ま、仕方ない。次の機会を待つ事にしよう。

 

気を取り直して、新たな目的地へと向かう。

理想を言えば、富士宮市郊外にある「奇石博物館」を訪ねたいところ。

三浦しをんが博物館めぐりの本で、絶賛していたからだ。

しかし生憎この日は、水曜・・定休日。

やっぱり〈富士の西側〉は、再チャレンジするしかないようだ。

 

そんなわけで、今回代わって設定した目的地は

超有名観光地「白糸の滝」・・ではなく、富士宮市の西にある興徳寺。

これまたスマホニュースで得た、「美しいヒガンバナ」を見に行くことにしたのだ。

ナビを頼りに山間の細い道を西へ向かうこと、十数分。

小高い丘の斜面に、真っ赤な色彩が見えてきた。

ジョッキから溢れたビールの泡のように、真紅の"溶岩流"が

植え込みの斜面から下の平地にかけて、どばどばっと広がっている。

手入れなどしないまま、勝手に自生したのだろう。

ひところ日本中に蔓延していたセイタカアワダチソウの黄色い群生にも匹敵する

野放図でパワフルな、"野生の花々"だった。

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          曇り空の下で、この"紅"は立派

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         勝手に咲き乱れる。雑草か?ヒガンバナ

 

残念ながら、曇り空は続いており

スマホで謳われていた「ヒガンバナ越しの富士山」は撮影できず

花の盛りも少々過ぎていたが

それでも、迫力満点のヒガンバナ群落は、予想以上の美しさだった。

我らの他にも、常時7~8台の車が無料の駐車スペースを行き来していた。

訪れる人が絶えないのは、さすがは〈ネットの力〉だね。

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           「白」や「ピンク」の花もちらほら

 

さて、「富士山ぐるり旅」もあとわずか。

あとは国道469号線を、ひたすら東へ進むだけ。

自衛隊の演習場らしき広いすそ野を通り過ぎ

富士サファリパークの入り口を過ぎたあたりで

頭上を覆っていた雲は後ろに下がり

真夏のような強い日差しが、もう一度降り注いできた。

路面にまったく雨の痕がないことからも

天気がイマイチだったのは、富士山の西側だけらしい。

ちょっと残念。

でも、なかなか快適なドライブだった。

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          富士山の南側へ。一気に青空が拡がる。

 

それに時刻は、まだ14時半手前。

あわてて高速に乗らず、のんびり国道を走って帰ることにしよう。

とりあえず次のチェックポイントは、「道の駅ふじおやま」。

さて、どんな"掘り出し物"に出逢えるのかな。

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       この旅で6軒目の「道の駅」。ここは金太郎のふるさと。

ではでは、またね。