托鉢の喧騒。朝市の静寂。ラオス(&ハノイ)ふたり旅 2018.11.27-12.4 5日目(その1)

2018年12月1日(土) ルアンパバーン市内(⇒ハノイ

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      「プーシーの丘」に登る途中にあった、お供え物?

 

朝、5時半。

真夜中のような暗闇のなか、相方と共にホテルを後にする。

目指すは、ワット・シェントーンの南面、東西に延びるサッカリン通り。

ルアンパバーン名物「托鉢」を見物するためだった。

僧侶が喜捨を求めて街を練り歩く「托鉢」は

毎朝、ラオス全土で行なわれている、いわば日常風景。

そのなかでも、ここルアンパバーンは何軒もの寺院が密集し

数百数千に及ぶ僧侶が夜明け前から托鉢に回るため

"ルアンパバーンに来たら早起きして托鉢を見に行くべし"

という〈旅人たちの常識〉が、いつのまにか出来上がっていたのだ。

 

誰もいない真っ暗な道を歩くうち

角を曲がった細い路地の向こうから、人の気配がただよってきた。

なんとなく足を忍ばせ、そっと近づいていくと

ロウソクのような小さな灯りのもと

オレンジ色の袈裟?をまとった僧侶たちの行列が、うすぼんやりと見えてきた。

さらに近寄ると、道端に並んで座る10人ばかりの地元住民の前を

20人ぐらいの僧侶が順に通り過ぎながら、何かを受け取っているのがわかった。


テレビ番組やガイドブックで「ルアンパバーンの托鉢」のことは知っていたが

頭の片隅では"どうせ観光客向けのショーだろ"

などと、醒めた〈斜め上から目線〉で受け取っていた。

けれども、メインストリートから離れた

めったに観光客が立ち入らない、狭い路地のそこここで。

明け方とはいえまだ真っ暗な時間に、地元の人々が道端に並んで座り

托鉢に来た僧侶たちに、用意した食べ物を渡す姿を前にすると

――すごい。みんな、毎朝マジでやってるんだ~!

といった、頭の悪い感嘆文がこぼれてしまう。

 

そんなふうに、内心では感動しながらも、身体の方は現金なもので

反射的にデジカメを構え、せわしなくシャッターを押し続ける。

とはいえ、冷静になればすぐ気づくことだったが、あまりにも暗すぎた。

結局、この時撮った写真は、どれも「闇夜のカラス」状態。

おかげで、"最も自然な托鉢風景"は、撮り逃してしまったのだった。

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      写真に残せたのは、メインストリートの「観光托鉢」ばかり

 

その後、あちらこちらで行なわれている小規模な「托鉢」を眺めながら

メインストリート・サッカリン通りに出たのは、朝6時過ぎ。

さすがに、市一番の托鉢スポットだけあり

この通り沿いだけは、煌々とした灯りがともされ、多くの観光客が詰めかけていた。

そして広い歩道に沿って、風呂場の桶サイズの小さな椅子?がずらり勢ぞろい。

観光客が一列に座り、やはり列を作って歩く大勢の僧侶に、食べ物を渡していた。

何のことはない、観光客向けの「托鉢(喜捨)体験ツアー」だった。

ツアーに参加した人々は、みな興奮気味に喜捨を行ない

そんな観光客の姿を、数百人に達する観光客たちが、押しのけ合いながら撮影する。

そう。どこかで見た記憶のある、人気観光スポットの光景、そのものだ。

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        地元の人々は毎朝欠かさない。さすが手慣れた様子。

 

ここに来る途中、〈暮らしの中の托鉢〉に出逢えて、本当に良かった。

それはそれとして、こういいったお祭り騒ぎも、決して嫌いじゃないだけどね。

実際、他の東南アジアの国かららしき女性たちの一団に頼まれで

カメラのシャッターを押すのも、結構楽しいものなのだ。

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           ・・で、あっという間に終了。

 

ともあれ、我々がその「メインステージ」にたどり着いた6時過ぎには

辺りが明るくなり始めており、「托鉢」は終わりかけていた。

ほんの15分ぐらいで、あっという間に僧侶たちの姿は消え去り

あとには歩道に沿って並ぶ風呂桶の細い列と、残った食べ物が散らばっているばかり。

興奮して写真を撮りまくっていた観光客たち(我らも〉は

どこか気が抜けた顔で、三々五々宿に戻っていくのだった。

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           早朝のワット・シェントーン。静謐。

 

同じようにホテルに戻っても良かったけど、まだ6時半。

朝食は8時からだから、それまで少し散歩しようか。

相方と意見も合ったので、まずは目の前のワット・シェントーンへ。

昨日に続き、二度目の見学。

入口で、昨日買ったチケットを見せると

係の女性は、軽く手を振って入場を認めてくれた。

最初に訪れた夕方とは違い、朝の境内にはすがすがしい空気が漂っていた。

人の姿もまばらで、自由自在に見て回れる。

ときどき座って小休止したり、のんびり時間を過ごす。

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     ルアンパバーンの"裏面"? ナム・カーン川にかかる一本橋

 

さて、次はどこへ?

街全体を見渡すことができる、高台にでも行ってみるか。

メコン川と並行して流れるナム・カーン川に沿って南西に歩き

川沿いに設けられた入口から急な階段を上っていく。

途中の小屋で入場券(20000kip)を購入。

つづら折りの急な石段を、10回ほどいったりきたり登っていくと

小高い山の頂上に金色の塔タート・チョムシーが建っている。

標高150m。ルアンパバーン市内か一望できるスポット「プーシー」だ。

朝もやのなか、徐々に気温が上昇。頂上に着くころには、すっかり汗まみれに。

これだけ頑張ったのだから、さぞやいい眺めが・・・と、思いきや。

どっちを向いても、木々の茂みが中途半端にジャマしており

期待したほどの〈絶景〉からは程遠い、と感じた。

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           山上の仏像はカッコよかったんだけど・・

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        眺望は、これが精いっぱい(天気もイマイチだった)

 

相方ともども、ちょっと肩を落とし、朝食を食べに戻ることに。

せっかくなので登りとは反対側、国立博物館に面した大通りへと降りてゆく。

まだ8時前だが、すでに多くの露天商が歩道に沿って店を開けていた。

工芸品、土産品、Tシャツなど、色鳥殿の品々が並んでいる。

ーーそうだ、ナイトマーケットで買ったのと同じTシャツがあるかもしれない!

実はホテルに戻ってから、一枚しか購入しなかったことを大後悔。

「明日見つけたらまとめ買いしよう」と、心に決めていたのだ。

            

ところが・・どの店を覗いても、並んでいるのは

ビエンチャンの市場にも山積みになっていた、大量生産の安物ばかり。

ナイトマーケットで見た、独特なデザインの品は、ひとつも見当たらなかった。

おそらく、昼間やっている店とは違う流通経路で仕入れているのだろう。

最初の予定通り、ルアンパバーンで2泊していれば

きっちりリベンジできたのだが、・・これもまた縁だと思うしかない。

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         何も買わないのに、みんなニコニコ。

 

気持ちを切り替え、朝ごはん目指してホテルに向かう

途中、やけに地元の人々で賑わう細道があると思ったら、朝市の通りだった。

野菜・果物・肉類・香辛料・花・日用品などが

それぞれ幅1.5mほどの板の上に並べられており、1軒ずつの店になっている。

歩くのにも難儀するほどの人がひしめき合っているのだがおん

音楽・騒音はもちろん、掛け声や値段交渉の声も、ほとんど耳に入らない。

ビエンチャンと同じく・・いや、それ以上に静かな朝市だった。

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            朝市。たぶんこの日のハイライト。

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             なにウリ? とにかくデカい

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           生鮮食品は持ち帰れず。残念。

 

途中、様々な香辛料を並べる一軒の店の前を通り

置いてあった「花椒」の袋を眺めていると

店のオジサンが袋から一粒取り出し、味見させてくれた。

・・・・・・か、から~いっ!!

香辛料が大好きで、コショウもトウガラシもバンバン振りかけるタチだが

たった一粒で、口から鼻に突き抜ける「花椒」の刺激にはビックリ。

思わず「花椒」と「胡椒」の粒の入った袋を買ってしまった。

 

※帰国後、日が経つにつれ「花椒」の鮮烈な辛さが抜けていった。

 常温で密閉保存していたが、それだけだと鮮度が保てなかったらしい。

 次の機会があったら、即座に冷凍してみるか。

 

朝市が楽しくふらふらしていたら

あっという間に8時を過ぎてしまった。

さあ、朝飯を食べて、もうひと眠りするぞ。

 

ではでは、またね。