誰の口にも合う、"普通に美味しい"ビーフカレー
近江八幡駅前、午前11時すぎ。
朝方の雲は消え、頭上には綺麗な青空が広がっていた。
なので・・確実に天気がいい今のうち八幡山の展望台に上がろうか
それとも、午後からの混雑を見越して早めに「琵琶湖畔ランチ」に向かおうか。
二者択一の間で、迷っていた。
・・が、相方の「お腹空いてきたね」のひとことで、後者に決定。
善は急げと、駅前バスターミナルの「長命寺行き」停留所へ。
時刻表を見れば、わずか数分後に次のバスが出るという。
ラッキーとばかり、間もなくやってきたバスに乗った。
終点の長命寺までは30分以上かかる(40分だったかな)ので
なるべく眺めのよさそうな窓際席を確保する。
しかし、その後2~3分の間に、次々と観光客らしき方々が乗り込み
出発時間には10人近くが吊革に立つ、大混雑ぶり。
え? 長命寺って、そんなに人気のある観光地だったの?
・・ンなわけなかった。
案の定、市街地を少し出た田んぼ沿いの停留所で
我々以外の観光客っぽい人(大部分が中高年女性)は、全員下車する。
停留所の名は、「北の庄ラ・コリーナ前」。
なるほど、噂のラ・コリーナはここにあったのか。
実は、我らも余裕があれば立ち寄る有名スポットなのだった。
広がる青空。「晴れ男」と「晴れ女」の最強タッグは、今日も絶好調。
ま。それについては後ほど触れるとして。
運転手を入れても、全員で5.6名しか乗っていないバスは
長命寺川ぞいの田園風景のなかを快適に飛ばし、琵琶湖のほとりへ
40数分後には、終点・長命寺に到着する。
「高雄」同様、ここでも最後まで乗っていたのは我々だけだった。
じっくり琵琶湖を眺めたのは、おそらく今回が初めて
さて、はるばる長命寺までやってきたのだが
今回の目的地は、ここではなく
さらに琵琶湖添いの道を20分ほど歩いたところのカフェレストラン。
「シャーレ水ヶ浜」だ。
キラキラ光る湖面と対岸に連なる比叡山を左手に眺めながら
ポカポカというより、かなり暑めの日射しの下を、テクテクと歩いてゆく。
幸い、行き交う車の数は少なく、数分に1台程度。
高雄"トラック街道"のような不快感とは無縁の、絶景散策コースだった。
晴れ渡った湖畔の道を、のんびり歩く
「シャーレ水ヶ浜」。ドライブの途中で立ち寄るには最適か。
やがて、湖畔に沿った道の先に、木造ロッジ風の建物が見えてくる。
本日のランチスポット、「シャーレ水ヶ浜」だった。
時刻は、正午を少し過ぎたあたり。
広めの駐車スペースには、10台以上の車が停まっている。
予想通り、わざわざ長命寺から歩いてくる酔狂な客は、他にいないようだった。
いろいろとウッディな店内
木造のデッキから山小屋風の店内へ入ると
これまた木造の広いフロア―。
お約束のように、琵琶湖が目の前にあった。
たしかに、"琵琶湖を一望できる絶景レストラン"だ。
これならインスタ映えもするだろう。
若い家族連れやカップルで、半分以上のテーブルが埋まっていたが
ラッキーにも、湖と対面できるカウンター席が空いていた。
さっそく確保し、セルフの水を取りに行く。
料理を注文してから入店するシステムだったので
後は、オーダーしたビーフカレーセットが来るまで、のんびりすごすだけ。
こんな写真を撮りたくなる気分
帰りぎわ、客が引けたタイミングで一枚
ふたり並んで琵琶湖を眺めていると
数年前に訪れたルアンパバーンのカフェを、思い出した。
泥色のメコン川と青い琵琶湖という違いはあるが
水の広がりを目の前にして過ごすひとときは、似かよっていた。
・・でも、肝心の料理は、あっちの方が旨かったかな。
ロケーションこそ抜群だけど、カレー自体は普通の美味しさ。
ま、期待しすぎたこっちにも問題あるかもだが
せめてなにかひとつ、オオッと湧き上がらせる〈攻めの姿勢〉がほしかった。
たとえば、鼻から目へツーンとくる花椒の粉が潜んでいた、とか。
でもま、万人に好まれる味っちゃ味だし。
「絶景カフェ」に、冒険なんか必要ないのだろう。
グタグタ文句をタレつつも、ふたり揃ってカレーは完食。
同じくまあまあのアイスコーヒーも飲み干して、店を後にした。
来た道を逆にたどって、再び長命寺のバス停前へ。
今度はタイミングが合わず、100mほど手前で出発するバスを見送ることに。
次のバスまで、また30分ほど暇になった。
せっかくここまで来たんだからさ。長命寺にもお参りしてこうか。
軽い気持ちで口にしたものの、入口脇の説明を一読し、即座に諦めた。
およそ800段ある石段を登り切らないと、本堂に辿り着けないんだってさ。
健康長寿に霊験あらたか。だから「長命寺」なんだろうけど。
そりゃ、お参りするたびに800段昇り降りすれば、健康にもなるさ。
「ダイ・ハード」な長命寺への階段。地元の方は平然と登ってったけど。
てなわけで、あっさりお寺詣りを断念した我ら。
門前の茶屋で団子を食べたり
反対の湖側に設置された長命寺港の待合小屋や埠頭をプラプラ。
小屋の隅っこで昼寝する猫に負けじと、日向ぼっこに勤しんだのだった。
どこに行く船が出るのか? 長明寺港の待合小屋
こういう時間の過ごし方も、素敵だったり
午前中の「武佐駅」もそうだけど、実際のところ
頭の中をからっぽにして過ごす、こういうなんでもないひとときが
後になると、いちばん思い出深い瞬間だったりもする。
やっぱり、旅っておもしろいよなぁ。
不思議と記憶に残る、長命寺港の30分
――おっと、無駄口を叩いてたら、それなりの文字数を稼いでしまった。
この後、帰りのバスで途中下車して訪ねた八幡山は、次の機会に。
ではでは、またね。