京都の旅 by Goto 2020.11.24-27 Ara-kanふたり旅 3日目〔前編〕 この旅いちばんの散歩道・山科疎水と、毘沙門堂ガイド

2020年11月26日(木)

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うららかな歩道・山科疎水

最初の内はスローテンポだった時の流れも

半ばを過ぎるあたりから、一気にスピードを上げていく。

旅に出るたび、毎回感じることだけど

ホントこれって、人生とおんなじなんだよね。

 

ともあれ、この日も朝8時過ぎ。

青空が眩しい底冷えの京都の街を

モーニングセット目当てに、バス旅に出発する。

3日目にして、ようやくバスマップを使いこなせるようになった。

と自慢する間もなく、降りるべきバス停を乗り過ごす。

幸い、ひとつ先の東山三条で降りれたので

200メートルほど戻るだけで、目指す『やまもと喫茶』に到着できた。

初日の「イノダ・コーヒー本店」同様

ここもネット情報などで有名な〈人気店〉のひとつ。

ただし「イノダ」のような"歴史ある名店"というわけではなく

こちらは、まちなかの庶民的な喫茶店

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この”普段着感”が居心地よい

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見た目は素朴だが味は濃厚

大きなコーヒーミルが目印のドアを開け、明るい店内に入る。

案内されたのは、一番奥のテーブル席。

手作り感のある内装や、店内に飛び交う常連客の京都弁など

確かに「観光客向け」というより、地元密着型のコーヒーショップだ。

ふたりとも、人気メニューの「卵サンドセット」と「プリン」を注文する。

もちもちの食パンに挟まれた、ボリュームたっぶりの卵は

素材の味を活かしたあっさりテイスト。

デザートに頼んだプリンも、どこか懐かしい素朴な味わいだ。

濃厚な卵の風味に、やや苦みのあるカラメルが絶妙なアクセントを利かせていた。

それにしても、新聞を広げる常連客とおかみさん?の世間話やら

店内に無造作に積み重ねられた野菜の段ボール箱やら

なんだか喫茶店の中に居候してるような気分で、妙に居心地がいい。

ついつい長居したくなるが、しょせん明日には帰る旅人ふたり。

・・さ、次いこう。次。

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軒先に山鉾?発見

朝10時を過ぎ、ちらほら暖簾を出し始めた店先を通り、もいちど東山三条へ。

四角く口を開けた薄暗がりのなかへと、降りてゆく。

入口上部のパネルには『東山駅』の文字が。

そう。初めて、地下鉄を利用するのだ。

今回の旅で、是非とも訪ねたかった「名所」のひとつが、山科の毘沙門堂

しかし、「一日バス乗車券」の利用可能範囲からは外れており

京都駅からJRを利用するか、地下鉄で大回りするしか、移動手段はなかった。

そこでやむなくこの日は、地下鉄全線も乗り放題の「京都観光一日乗車券」を購入。

移動中の景色が楽しめない、〈がまんの数分間〉を受け入れることにしたのだ。

 

で、乗ってみた感想は・・地下鉄。それ以上でも、以下でもなし。

確かにバスよりずっと早いけど、もういいや。

 

なぜか大学生でごったがえす山科駅から、旧東海道を西へ。

京都薬科大学で何かイベントがあった様子。交通整理の係員まで動員されていた)

山科のゆるキャラらしき〈ナス人形〉があちらこちらの軒先にぶら下がる不思議な通り

〈山科三条街道商店街という立派な名前があった〉を歩くこと20分弱。

右手に折れる緑の遊歩道が、天智天皇山科陵の入口だ。

そこから3分ほど進み、誰かの家の軒先を通るような脇道を右に入っていくと

のどかな川沿いの遊歩道に出る。

琵琶湖の水を京都市中心部に導く山科疎水に沿った、散歩道だ。

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マスクいらずのひととき

春は桜、秋は紅葉の名所として有名なところだが

案の定ここもモミジの盛りは過ぎており、好意的に見ても「散り始め」状態。

それでも、太陽に向かって歩くルートになっていたおかげで

陽射しに赤く透けて輝く〈名残りモミジ〉の美しさは、まさに夢心地。

行き交う人の姿も、ほんのポツリポツリ。

ほとんどが、ジョギングやウォーキング、犬の散歩などに興じるご近所の方々だ。

おかげで、周囲に誰もいないときにはマスクを外し、思い切り深呼吸!

秋の木々の匂いを、心ゆくまで堪能できた。

第1日目の「糺の森」に優るとも劣らない、《秋の京都・満喫タイム》だった。

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ついつい、シャッターを押してしまう

★Ara-kan旅メモ/京都Ⅶ★

この旅いちばんの、リラックスタイム!

歩くだけで心が豊かになる、自然に触れる山科疎水遊歩道。

 

ところどころ深く積もった落ち葉を踏みしめ

のーんびり足を運ぶこと小一時間。

遊歩道は、いきなり人通りの多い道と交差する。

山科駅から直接、毘沙門堂に向かう表参道?だった。

「石段一杯に敷き詰められた真っ赤なモミジ」で知られる

京都有数の紅葉スポットとあって、ここだけは観光客の姿が絶えない。

(あちらに2人、こちらに4人、というレベル。好きなペースで自由に歩ける。

 嵐山のラッシュアワー状態とは段違い)

 

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            ここでも、思わぬ”出逢い”が


人の流れに沿って、参道を登りつめ、仁王門を潜る。

当初、ここに来た目的は、有名な「紅葉の石段」を見ることだったが

それがどこにあるのかもわからぬまま

なんとなく流れに沿って、受付で参拝券を購入。

靴を脱ぎ、本殿や庭園を巡るルートに乗っかってしまう。

実は、お目当ての「紅葉の石段」は本殿の隣にあり、見学は無料。

わざわざお金を払って参拝することはなかったのだが

結果的には、中に入って大正解!

順路に従ってふらふら歩き、ぼんやり襖絵を眺めていたら

ひとりの若いお坊さんがそっと近づき、率先して解説を始めた。

しかも、たまたま出逢ったその部屋だけでなく、我々の行く先々にまで同行。

文字通りの「専属ガイド」を務めてくれたのである。

おかげで、普段だったら、パッと眺めて「ふーん」程度で終わってしまう

襖絵・天井画・庭園などの見学が、ずっしり厚みのある知識として堪能できた。

また、二十歳そこそこらしきお坊さんは、自分がこの寺に来てまだ日が浅いこと。

毎朝五時に起きて、たった三人で、広い社殿全てを掃除することなど。

思った以上に厳しい、日々の暮らしぶりなども笑顔で語っていた。

庭園に残っていた鮮やかな紅葉とか

社殿を出た後で観に行った「モミジの石段」も美しかったけど

この若き僧侶の”無償の案内”こそ

毘沙門堂で最も心温まる〈おもてなし〉であった。

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紅葉も、この旅いちばん

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もうモミジは終わりだったけど・・

★Ara-kan旅メモ/京都Ⅷ★

毘沙門堂の社殿を見学する機会があったら

後ろでそっと見守っているお坊さんに、ぜひ声をかけてみよう。

充実のひとときが、体験できるかもしれないぞ。

 

ではでは、またね。

 

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肝心の「モミジの石段」には間に合わず。でも、それ以上の収穫が。