島内どこでもバス代が無料! エストニアからラトヴィアへ 2019.6.27-7.4 4日目 60'sふたり旅

2019年6月30日(日)

 

寝心地のいいベッドで熟睡できたおかげで

すっかり疲れもとれ、今日の目覚めも快適だった。

まずはホテルの一階に降り

附属というよりこちらがメインっぽいパン屋で朝食。

短い食休みを挟んで、宿から五分ほど離れた海岸に向かう。

昨日バスターミナルでもらった「手書きの時刻表」を検討したところ

路線バスで日帰り往復が可能な観光スポットは限られており

午後2時頃に出発しても訪問できる場所は同じだと判明。

そこで、お昼過ぎまではクレッサーレ市内を歩いて回ることにしたのだ。

f:id:utatane-do:20200630210439j:plain

ホテルの看板 おしゃれ

そんなわけで、この日も、高原のような爽やかな空気を満喫しつつ

緑豊かな海岸地帯へ。

小さな港やヨットハーバー

干潟で大騒ぎする繁殖中の水鳥たちを眺めながら

開館時間の朝10時を待って

昨日も外から遠望した町一番の名所・クレッサーレ城の中へ。

迷路のように入り組んだ展示室を行ったり来たりする。

とりわけ、塔を登りながら時間を追って見学できる「島の歴史」が見どころ。

ナチスドイツとソ連軍の侵入に関する展示が実物満載で

これでもかと並んでいたのが印象的だった。

f:id:utatane-do:20200630210620j:plain

クレッサーレ城の入口へ

f:id:utatane-do:20200630210719j:plain

第二次大戦末期 ロシア軍侵攻

f:id:utatane-do:20200630210850j:plain

銃器の展示が充実

その後、帰り道をたどりがてら、

ちらほら開いていたお土産屋さんをひやかしていく。

どこも商売っ気皆無、出入り自由な雰囲気がとっても楽ちん。

うち一軒で、サーレマー島の農村をモチーフにした手作りマグカップを発見。

両手で持つ必要があるほど大ぶりだったが

その素朴さと5ユーロという値段に惹かれて買ってしまう。

f:id:utatane-do:20200630211010j:plain

至るところに花 花 花

f:id:utatane-do:20200630211124j:plain

路面噴水? で遊ぶ子供たち

いったん宿に戻り、荷物を整理。

でがけに下のパン屋で昼食用の食糧を確保し、いよいよバスターミナルへ。

チケットカウンターには昨日と同じ女性の姿が。

さっそく行きたい目的地とバス便を示し、チケットを購入しようとすると、

なぜか手を振って、バス乗り場を指差した。

会話の内容は正確にわからないため

ああ、バスの中でお金を払うシステムなのか。

と、推測し、教えらもらった番号の乗り場で待つこと10数分。

15人乗り程度の小型バス(バン)が滑り込んで来た。

一緒に待っていた、地元の人々に続いて乗り込み

ドライバーにお金を渡そうとしたのだが

やはり手を振って断られてしまう。

そういえば、他の乗客も誰ひとりお金を出していない。

地元の人は無料なのかもしれないけど・・

いいのかな、払わなくても。

「歩き方」にはちゃんと料金が書いてあったんだけどな~。

ま、降りるときに要求されるかもしれないし。

など、深く考えるのはやめ、

大型バスとは一味違う車窓の眺めを楽しむことに。

 

草原や森の間に点在する村々を結び、軽快に走るバス。

30分ほどドライブを楽しんだところで、

何台かの風車が見えてきたので、停車ボタンを押して降りた。

・・やはり料金は請求されなかった。

ひょっとして、島内のバスは無料なのかもしれない。

大した金額ではなかったけど、すごく得した気分だった。

 

ともあれ、ここは島の中央部。

「アングラ風車群」と呼ばれるところ。

島に古くから残る5基の風車が集められ、展示されている。

建物に入るためには入場料を払う必要があるが

回りは細い木の柵で囲まれているだけ。

丸見え状態で見学でき、入場せずに満足してしまった。

f:id:utatane-do:20200630211342j:plain

アングラ風車群

続いては、もうひとつの名所、13世紀に建てられたカルヤ教会だ。

地図アプリでルートを調べると徒歩で30分ほどかかるが

天気もいいし、景色も最高。

のんびり行こう!と、道路に沿って歩き出す。

 

ところが・・30分近く歩いても

教会らしき建物はまったく見えてこない。

そして、アプリが示す目的地には、森の中の小さな集落が。

ここにきて、ようやく基本的なミスに気付く。

「カルヤ教会」ではなく「カルヤ」と入力したため

同じ名前の村に誘導されてしまったのだ!

あわてて「歩き方」を開いてみると

教会の前のバス停は「Linnaka」という地名が。

ああ、また確認ミス!

 

改めて「カルヤ教会」で入力し直すと

今度はちゃんと、目的地の位置が表示されることに。

ところが、その場所たるや・・

最初にバスを降りた「アングラ風車群」まで戻り

そこからさらに脇道に入り、30分以上歩いたところだという。

もとよりバス便は日に3~4本しかなく、

頼りになるのは自分の脚だけ。

「ごめん、間違えて違う場所に来ちゃった」

と謝罪すると、力なく笑う相方。

旅のルートや時刻など移動に関する一切合切を当方に任せているからか

たとえ間違っても責めるようなことは言われない。

ありがたや。

 

残り少ないミネラルウォーターを口に含み

再び風車を目指してトボトボ北上する。

とはいえ、徒労だとわかっている道のりは予想以上にキツイ。

おまけに午後4時近くとはいえ

雲ひとつない空から真夏のような陽射しが容赦なく照りつけてくる。

我慢大会のようなひとときを過ごし、再び見覚えのある風車たちの前へ。

教会に向かうわき道への分岐点で、ぐったり座り込むと・・

ふたりの頭上に、一枚の立て札が。

そこに記されていたのは――『Karja Kirok2(km)⇒』。

案内板があったのに、アプリを盲信、気づかず通り過ぎていたのだ。

だからいつも言ってるじゃん!確認しなきゃだめだって!!

思わず、自分自身に向かって毒づいてしまう。

f:id:utatane-do:20200630211622j:plain

                痛恨の案内板

ともあれ、こここまで来たら、残りはあと半分。

気を取り直し、へとへとになりながら歩くこと30分あまり。

やっとこさっとこ、シンブルな外見の「カルヤ教会」にたどりつく。

閉館まで1時間を切っていたが、どうにか間に合った。

f:id:utatane-do:20200630211856j:plain

ここまで来るのが長かった・・・

入口のおばちゃんに入場料(寄付)の1ユーロを手渡し、教会の中へ。

そこは、素朴にしてなんとも不思議な空間だった。

「歩き方」には自然崇拝の痕跡がある彫刻と天井画のことが書いてあったが

最も目を引いたのは、シンプルな線で描かれたステンドグラス。

マリア様だと思うが、どこか東洋風で、三蔵法師に見えてしまったのだ。

f:id:utatane-do:20200630211951j:plain

不思議な空間をひとり(ふたり)占め

f:id:utatane-do:20200630212059j:plain

どこかオリエンタルなたたずまいが・・

えらい回り道をしたおかげで、すでに時刻は17時半。

当初、寄ろうと思っていた「カーリー・クレーター」には間に合いそうもない。

時間を気にせず、クレッサーレ行きのバスが通る風車前まで戻ることに。

各自、自分のペースで道草をくいながら、風車前の休憩所へ。

喫茶コーナーで冷たいシードルをいただく。

この旅いちばんの、美味い飲み物だった。

少しだけアルコールが入っていたので、すぐ赤くなってしまったけど。

 

バスターミナルで書いてもらった「時刻表」で確かめつつ

バスが到着する15分ほど前、風車前の停留所へと移動する。

すると、小屋風バスストップのベンチに

坐り込む二人の若いバックパッカーの姿が。

・・たしか、さっき村から戻って来た時も、同じ光景を見たような気が。

声をかけてみると、2時間以上ずっとバスを待っているとのこと。

うん、タイムテーブルが判らないと、こうなるよね。

だけど、なんだかうらやましい。

やっぱり旅は、のんびりゆったりがいちばんだ。

 

ようやく少し風を涼しく感じはじめた18時35分。

時刻表ピッタリに、島内バスがやってきた。

ところが、クレッサーレのある南ではなく、通りの反対側、

島の北に向かう停留所に止まってしまう。

いやいや、ここで乗り過ごすわけにはいかない!

ふたりのバックパッカーと一緒に道を渡ってバスに駆け寄り

「クレッサーレ?」を尋ねると、ドライバーはコクッと頷いてくれた。

「いいや、乗っちまおう!」と相方に声をかけ、乗り込むことに。

 

予想通り、走り出したミニバスは、クレッサーレからどんどん遠ざかっていく。

10分後には北海岸に面した町に到着。

そこで5分ほど停車したのち、今度は東へ向かって出発。

さらに20分近く走ったところで90度進路を変え、やっとこ南方向へ。

そう。島内の東半分をぐるりと大回りするルートでの

「クレッサーレ行き」だったのだ。

結局、バスターミナルに着いたのは19時40分。

1時間以上乗り続けていたことになる。

今度も、料金を請求するそぶりは見せなかった。

夏の観光シーズンだけかもしれないが

やっぱり島内のバスは全線無料でOKらしい。

予定していたクレーターには行けなかったけど

これはこれで得がたい体験だった。

 

炎天下を延々歩いたこともあり、さすがにふたりともバテバテ。

小1時間ほど、ベッドに倒れ。

夕食は、メインストリート沿いのカフェで「クラシック」で軽く済ませた。

気が付けば、この日が旅の折り返し点。

だんだん時間の経過が速くなってくるころだ。

f:id:utatane-do:20200630212316j:plain

まいにち何度も空を見上げてしまう

 

f:id:utatane-do:20200630212427j:plain

そして飽きることのない夕景


長~く感じた今回の旅も、明日からは後半戦。

果たしてスムーズにバスを乗り継ぎ、

無事ラトヴィアの首都リガにたどりつくことはできるのか。

ま、いざとなったらタクシーもあるし

いちいち煽るようなことでもないんだけどね。

 

ではでは、またね。