"無料送迎プリーズ"の国 カッパドキア&イスタンブールの旅 2019.11.28-12.5 3日目(後編)Ara-kanふたり旅

2019年11月30日(土)

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ギョレメの夕焼け

カッパドキア観光のハイライトのひとつ

ローズバレーを南北に貫く

ほぼ無人のトレッキングルートをさ迷うこと

四時間あまり。

ようやくギョレメとユルギャップを東西に結ぶ幹線道路にたどりつき

何の表示もないやぱり無人のバス停小屋で途方にくれていた

われらArakanコンビ。

 

その目の前に、一台の古びた白いセダンが滑り込んで停まった。

え?なに?なにかマズいことやらかした?

・・突然の事態にビビる我らの前で、運転席の窓がスルスルと降りて

まだ20代と思われるショートカットの男性が、なにやら声をかけてきた。

英語みたいだったが、ヒアリング能力ほぼ皆無の我らに、理解できるはずもない。

それでも、前方を指差す手振りで

「どこに行きたいのか?」っぽいことであるのは、想像できた。

とっさに「ユルギャップ!」と、得意の〈1単語トーク〉を披露すると・・

ビッと立てた親指を後ろに向けた。

こ、これは、明らかに「乗せてやる」のサイン!!

 

ここで、どっかヤバいところに連れて行かれるのでは?

とか、法外な運賃をボラれるのではないか?

などという海外旅行者として当然抱くべき警戒心が浮かぶ前に

渡りに船とばかり応じてしまうのが、我らのモットー?

運転席と助手席に座った二人のトルコ人(たぶん)に向かって

へらへら笑いかけ、空いていた後部座席に乗り込んだ。

 

正直、やや乱暴に車が発進した直後。

――ひょっとして、断るべきだったかな?

一瞬、浮かびかけた不安を、なるようになれ、とうっちゃり投げる。

人を疑うことを知らない相方は、思わぬ送迎に興奮を隠せない様子だった。

 

その間にも、車は快適に走り続け

ほんの10分ほどで、目指すユルギャップの街なかに到着。

「ここでいいか?」と首を傾ける運転手に向かい

「OKOK!」と答えると、路肩に停車し

これまたジェスチャーで、降りるように伝えてきた。

わざわざ乗せてくれたのだから、いくらかの謝礼金を渡すべきでは?

それとも、何か日本の手土産の方が喜ぶかな?

と迷うまもなく、我らふたりが降りたと見るや、車は急発進。

あっという間に見えなくなった。

 

少しでも気を回せる奴だったら

乗った直後に謝礼を用意していたのかもしれない。

でも、余りにも彼らが、物欲しさや親切がましさをちらつかせず

〈当然のことをやっているだけ)という淡々とした雰囲気を漂わせていたので

こちらも、〈うん、当たり前のことだね〉と応じただけのこと。

今回は「日本人」という国籍も伝わっていなかったので

おそらく同国人を含めた旅人全般に対する、日常的な行為なのだろう。

このポスピタリティには、すっかり旅ズレしていた我らも

少なからず感動してしまった。

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ユルギャップの町はずれ

ともあれ、結局タダで訪れることができたユルギャップの街。

小ぶりで鋭い岩がニョキニョキ立っていたギョレメとは異なり

お椀を伏せたような大きく丸い丘が中心部のすぐ近くに2つほど迫っていた。

どうやら、どちらもが中をくりぬかれた穴居住居らしい。

ギョレメを「村」とすると、「小都市」と呼べるぐらい家も人も賑わっている。

商店街もあちこちに伸びており、掘り出し物が見つかるかもしれない。

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穴居の遺跡?

とはいえ、すでに時刻は2時近く。

ユニークな地形を鑑賞するより、腹の虫をなだめる方が先決だった。

事前にググッて調べておいたゼイディン・カフェという

バスターミナルのすぐ裏手にある店に入り

甘いものが食べたい気分から、ストロベリーパンケーキとチャイで昼食にする。

トリップアドバイザーのステッカーも貼ってある、若い人向けの店で

カッパドキアにしてはあか抜けた?雰囲気だった。

味に関しては・・うーん、甘~っ!・・という記憶ぐらいだなぁ。

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ユルギャップにもニャン

その後、街中をぶらつきながら、「歩き方」に載っていた土産屋など見て回る。

織物の店、陶器の店、アクセサリー店など

1時間以上かけて、5~6軒ぐらいハシゴしただろうか。

しかし、よっぽど気に入ったもの以外

〈土産物は荷物にしかならないから買わない〉方針が身についており

この町で買ったのは、ニベアのフェイスクリームのみ。

切らしていたことに気づいた相方が、化粧品店で特売品を発見。

「安い!」感激し、ほくほく顔で求めたものだった。

 

そうこうするうちに、日は傾き、夕方の気配が漂いだす。

通勤通学とおぼしき様々な年齢の人々が、バスターミナルを行き来していた。

旅先では、何が起きるかわからない。

夜になる前に、ギョレメに戻ろう。

アクシデントの連続だった昼間のことは都合よく忘れ

Ara-kanふたりはバスターミナルへ向かう。

 

前もって時刻表を調べておいたので、きっちり10分前に列に並び

地元の子供やおばさんたちに混じって、狭い小型バスの中へ。

だが、全部の席が埋まり、助手席がいっばいになっても、まだまた乗ってくる。

本来なら10人ちょっとしか乗れないはずだが

立ったままの乗客を含め20人以上を詰め込んだバスは

それでも定刻どおり発進。

いくつかの停留所に立ち寄りながら

30分ほどでギョレメのバスターミナルに到着した。

 

やれやれ・・と、懐かしさを覚えるようになった小さな中心街を見渡すと

燃えるような夕焼け空が。

あわてて見通しのいい場所を探し、赤く染まったギョレメの街を撮りまくる。

普段から空や雲を撮影するのが大好きなので

こうした異国の夕焼けに出逢うと、ついつい興奮してしまう。

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この空も、一期一会

さ。残るは、夕食だ。

町はずれにある、これまたネットで見つけた人気店CanCAn cafe&restaurantへ。

評判通り、明るく陽気でサービス満点のおかみさんが腕を揮ってくれた。

イチリキョフテ(トルコ風メンチカツ)、アダナ・ケバブピリ辛ケバブ)など。

いずれもクセがなく、予想したよりぜんぜん口に合う。

地元のビール、エフェス・ビルゼンをお供に、苦しくなるまで食べてしまった。

 

そしてホテルへの帰り道。

店先いっぱいにカラフルなランタンが並ぶ土産物店に、立ち寄ったときのこと。

若い男性の店員から「日本人か?」と聞かれ、「そうだよ」と答えると

満面の笑顔で「実は、私の彼女も日本人なんだ!」。

日本人の観光客と仲良くなり、いまもメールをやり取りしているらしい。

「同じ日本人だから、大サービス!」と言って

ひと抱えもあるランタンを、日本円にして1000円ぐらいで勧めてきた。

これも商売? いや、でも千円だったら確かに安いぞ・・

ちょっと迷ったものの、この後イスタンブールにまで持って行く手間を考えると

最後の一歩が踏み出せない。

結局、購入せずにホテルに戻ってしまった。

(数日後、イスタンブールの土産店で同じ品に倍額の値札が付いていた。

 ホントに大サービスだったんだなぁ)

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ちょっと残念な気もした、ギョレメのランタン

トルコに来てから、たったの2日。

なのに、1週間以上暮らしていたみたいな充実感!

これだから、海外旅行はやめられない。

 

ではでは、またね。