2021年10月5日(火) 京都市内
人生の真理は何も思い浮かばず、ぼけーっと歩いただけの「哲学の道」
当初の予定だと、この日はちょっと足を延ばし
琵琶湖東岸(近江八幡付近)に出かけるつもりだった。
しかし、京都に着いてから再チェックしたところ
訪ねたいスポット(主に食べ物関係)に、水曜休業のところが多く
急遽、スケジュールを入れ替え、本日(火曜)も市内観光に充てることにした。
ともあれ前日のハードワークのあおりを受け、8時過ぎにようやく起床。
昨夜の夕飯が早かったため、夜になってお腹がすくかも・・と
念のため夜食用にと購入した(結局手つかず)パンを、朝食代わりに腹に収める。
幸い、この日も朝からいい天気、というかカンカン照り。
美術館とか屋内中心だと昨日と一緒なので
とりあえず外へ。せっかくだから、気持ちのよさそうなあたりをぷらぷら歩こうか。
ということになり、またもやパス1日券を購入。
早くもお馴染みとなった京都駅前から5番バスに乗り込み
市内の東寄りに北上すること、およそ30分。
観光客らしき数組と一緒に、銀閣寺道で下車する。
ここから東に数分も歩けば、京都を代表する観光スポットのひとつ、銀閣寺だ。
けれども「お散歩」が目的の我々は、世界遺産へと続く参道には向かわず
その入り口を右斜めに分け入ってゆく小路を歩き出した。
銀閣寺から熊野若王子神社を結ぶ、疎水沿いの道「哲学の道」だ。
緑の木漏れ日に、うっとり。きっと紅葉の時期は混雑するんだろうな。
どこまでも続く(ような)無人の小径
朝の9時半過ぎだったけど、バスの車内も、銀閣寺へ続く道にも
昨日より観光客の姿が多いように感じていた。
だから、超有名な散策路「哲学の道」にも、そこそこ人が行き交っているだろう。
などと思い(覚悟し)つつ、歩き始めたのだが。
――あにはからんや、数分間に一人、二人と見かける程度のガラガラぶり。
それも、淡々とジョギングや散歩に勤しむ地元の方々ばかりだった。
京都駅前に集まっていた観光客の皆さんは、いったいどこに行ってしまったのか。
たぶんコムラサキの実。直射日光が当たると、あんまり色が出ないな・・
民芸品店の前の橋にたたずむ、看板娘ならぬ「看板地蔵」
ともあれ、美しい景色の中を、自分のペースでのんびり散歩できるのは
「美味しい食べ物」と並び、我らが旅に求める最大の目的のひとつ。
ときには相方以外、まったく人影を見ないひとときもあり
予想外の〈哲学の道ひとり(ふたり)じめ体験〉に、心躍らせる。
さすがに昨年秋、紅葉の盛りに歩いた山科疏水ほどの夢心地は得られなかったが
それでも、十二分に"京都の自然"を堪能できた。
とりわけ、感染予防でマスク着用が義務化している昨今では
フィルターなしで思う存分深呼吸が出来るだけでも、望外の喜びだ。
澄み切った疎水の流れを見下ろし、左右から包み込む青モミジの木漏れ日を浴びながら
細い石畳の小道を歩いた1時間余りは、忘れがたい旅の思い出となった。
何枚撮っても似たようなもの。それでも撮らずにいられない。
途中でふらりと立ち寄った、大豊神社も
失礼な言い方だが、"思わぬ拾いもの"といえた。
他の名のある社殿と異なり、入場無料だったので
さほど期待せずに立ち寄ってみたのだが
小ぢんまりした境内に点在している、幾つもの小さな社。
通常であれば、「狛犬」が両脇に控える位置に
「狛ねずみ」「狛ヘビ」「狛猿?」など
十二支にちなんだのだろう、様々な動物が睨み?をきかせているのだ。
社殿の裏側に滝のように枝葉を伸ばすシダの群生とともに
深い印象を残す神社だった。
大豊神社へと続く、短い参道。
一見したところ、小さな社がポツリポツリ建っているだけ。
でも、近づいてみると・・「狛ネズミ」✖2体!
裏山の「しだれ?シダ」も大迫力
・・それもそのはず、今から1100年も昔の平安時代。
宇多天皇(867~931)の病気平癒を祈願して建てられた神社とのこと。
京都の歴史って、ほんとハンパない。
ちなみに、大豊神社の記念にと
ネズミのおみくじ(小さな焼き物のネズミの中におみくじが入っている)を
社務所で発見。青いやつを一匹買い求めた。
自室のテレビ前、ベトナム土産のトゥクトゥクとドイツ土産の兵隊の間に鎮座し
「大吉のおみくじ」をお腹の中に収めて、今も空を見あげている。
2日後、東寺で同じ品を300円で発見。でも、こういうのは縁、だからね。
そんなこんなで、気ままな哲学の道散策を楽しんでいたのだが
ふと腕時計を見ると、すでに11時半。
・・まずい。このペースだと「ランチタイム」に遅れかねない!?
そう、今回の散歩コースには、お昼の予定が組み込まれていた。
具体的には。
終点からさらに歩き、祇園の中華料理店でランチをいただく計画だったのだ。
(候補に挙げた店の何軒かが水曜休みだったので、日程をズラした次第)
そもそも、「祇園で中華ランチ」の予定が入ってなければ
銀閣寺にも立ち寄っていた可能性が大きかった。
その〈犠牲?〉を無駄にしないためにも、ランチタイムが終わる前に
なんとかお店にたどりつかねばならない。
予想以上の美しさ。
わずかな時間を惜しんで通り過ぎてしまうのは、余りにももったいない。
急ぐ足を引き留める、南禅寺界隈の美しさ
周りの木々はモミジばかり。こりゃ、紅葉の時期はすごいことに・・
ここにも、"気の早いヤツ"がいた
まったくもう、どーすりゃいいんだよ!?
・・と、心の片隅で"ジリジリ"を募らせながら
それでも表面上はのんびりゆったり、歩いていたときだった。
あれ? ここって、どこだっけ?
目の前の坂を登れば、知恩院のある側に出るはずと思っていたら
なぜか道はどんどん細くなり、傾斜も急に。
と思ったら、突然ローマの水道橋のようなアーチ型の石組が立ちはだかった。
なんか、どこかで見たような。
あわててガイドブックで確認すると、
南禅寺の西端にある「水路閣」(琵琶湖疏水が流れる現役の水道橋)とのこと。
えっ、全然方向が違うじゃん!?
道に迷ったおかげで出逢えた「水路閣」。かっこいい!
見上げると、中天にはあかあかと輝く太陽。
時刻は、はや正午過ぎ・・というか30分の方が近い。
(ちなみに京都の中華料理店のランチは13時30分終了がメイン。
けっこうシビアな時間設定だ)
こんなとこで道に迷ってる場合じゃないのに・・
焦れば焦るほど、陽炎のように遠のいてゆく「京都の中華」なのだった。
ではでは、またね。