"絶景の散歩道"ふたたび 京都ふたり旅 2021.10.4-7 2日目(その1) 哲学の道(銀閣寺前~大豊神社~南禅寺)

2021年10月5日(火) 京都市内 

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         人生の真理は何も思い浮かばず、ぼけーっと歩いただけの「哲学の道

 

当初の予定だと、この日はちょっと足を延ばし

琵琶湖東岸(近江八幡付近)に出かけるつもりだった。

しかし、京都に着いてから再チェックしたところ

訪ねたいスポット(主に食べ物関係)に、水曜休業のところが多く

急遽、スケジュールを入れ替え、本日(火曜)も市内観光に充てることにした。

 

ともあれ前日のハードワークのあおりを受け、8時過ぎにようやく起床。

昨夜の夕飯が早かったため、夜になってお腹がすくかも・・と

念のため夜食用にと購入した(結局手つかず)パンを、朝食代わりに腹に収める。

 

幸い、この日も朝からいい天気、というかカンカン照り。

美術館とか屋内中心だと昨日と一緒なので

とりあえず外へ。せっかくだから、気持ちのよさそうなあたりをぷらぷら歩こうか。

ということになり、またもやパス1日券を購入。

早くもお馴染みとなった京都駅前から5番バスに乗り込み

市内の東寄りに北上すること、およそ30分。

観光客らしき数組と一緒に、銀閣寺道で下車する。

 

ここから東に数分も歩けば、京都を代表する観光スポットのひとつ、銀閣寺だ。

けれども「お散歩」が目的の我々は、世界遺産へと続く参道には向かわず

その入り口を右斜めに分け入ってゆく小路を歩き出した。

銀閣寺から熊野若王子神社を結ぶ、疎水沿いの道「哲学の道」だ。

 

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    緑の木漏れ日に、うっとり。きっと紅葉の時期は混雑するんだろうな。

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         どこまでも続く(ような)無人の小径

 

朝の9時半過ぎだったけど、バスの車内も、銀閣寺へ続く道にも

昨日より観光客の姿が多いように感じていた。

だから、超有名な散策路「哲学の道」にも、そこそこ人が行き交っているだろう。

などと思い(覚悟し)つつ、歩き始めたのだが。

――あにはからんや、数分間に一人、二人と見かける程度のガラガラぶり。

それも、淡々とジョギングや散歩に勤しむ地元の方々ばかりだった。

京都駅前に集まっていた観光客の皆さんは、いったいどこに行ってしまったのか。

 

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    たぶんコムラサキの実。直射日光が当たると、あんまり色が出ないな・・

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     民芸品店の前の橋にたたずむ、看板娘ならぬ「看板地蔵」

 

ともあれ、美しい景色の中を、自分のペースでのんびり散歩できるのは

「美味しい食べ物」と並び、我らが旅に求める最大の目的のひとつ。

ときには相方以外、まったく人影を見ないひとときもあり

予想外の〈哲学の道ひとり(ふたり)じめ体験〉に、心躍らせる。

さすがに昨年秋、紅葉の盛りに歩いた山科疏水ほどの夢心地は得られなかったが

それでも、十二分に"京都の自然"を堪能できた。

とりわけ、感染予防でマスク着用が義務化している昨今では

フィルターなしで思う存分深呼吸が出来るだけでも、望外の喜びだ。

澄み切った疎水の流れを見下ろし、左右から包み込む青モミジの木漏れ日を浴びながら

細い石畳の小道を歩いた1時間余りは、忘れがたい旅の思い出となった。

 

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      何枚撮っても似たようなもの。それでも撮らずにいられない。

 

途中でふらりと立ち寄った、大豊神社も

失礼な言い方だが、"思わぬ拾いもの"といえた。

他の名のある社殿と異なり、入場無料だったので

さほど期待せずに立ち寄ってみたのだが

小ぢんまりした境内に点在している、幾つもの小さな社。

通常であれば、「狛犬」が両脇に控える位置に

「狛ねずみ」「狛ヘビ」「狛猿?」など

十二支にちなんだのだろう、様々な動物が睨み?をきかせているのだ。

社殿の裏側に滝のように枝葉を伸ばすシダの群生とともに

深い印象を残す神社だった。

 

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           大豊神社へと続く、短い参道。

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       一見したところ、小さな社がポツリポツリ建っているだけ。

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       でも、近づいてみると・・「狛ネズミ」✖2体!

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          裏山の「しだれ?シダ」も大迫力

 

・・それもそのはず、今から1100年も昔の平安時代

宇多天皇(867~931)の病気平癒を祈願して建てられた神社とのこと。

京都の歴史って、ほんとハンパない。

 

ちなみに、大豊神社の記念にと

ネズミのおみくじ(小さな焼き物のネズミの中におみくじが入っている)を

社務所で発見。青いやつを一匹買い求めた。

自室のテレビ前、ベトナム土産のトゥクトゥクとドイツ土産の兵隊の間に鎮座し

「大吉のおみくじ」をお腹の中に収めて、今も空を見あげている。

 

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  2日後、東寺で同じ品を300円で発見。でも、こういうのは縁、だからね。

 

そんなこんなで、気ままな哲学の道散策を楽しんでいたのだが

ふと腕時計を見ると、すでに11時半。

・・まずい。このペースだと「ランチタイム」に遅れかねない!?

そう、今回の散歩コースには、お昼の予定が組み込まれていた。

 

具体的には。

朝~昼にかけて、銀閣寺から哲学の道をトコトコ歩いて南下。

終点からさらに歩き、祇園の中華料理店でランチをいただく計画だったのだ。

(候補に挙げた店の何軒かが水曜休みだったので、日程をズラした次第)

 

そもそも、「祇園で中華ランチ」の予定が入ってなければ

銀閣寺にも立ち寄っていた可能性が大きかった。

その〈犠牲?〉を無駄にしないためにも、ランチタイムが終わる前に

なんとかお店にたどりつかねばならない。

とはいえ、哲学の道からさらに南に広かる南禅寺の佇まいは

予想以上の美しさ。

わずかな時間を惜しんで通り過ぎてしまうのは、余りにももったいない。

 

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          急ぐ足を引き留める、南禅寺界隈の美しさ

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    周りの木々はモミジばかり。こりゃ、紅葉の時期はすごいことに・・

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          ここにも、"気の早いヤツ"がいた

      

まったくもう、どーすりゃいいんだよ!?

・・と、心の片隅で"ジリジリ"を募らせながら

それでも表面上はのんびりゆったり、歩いていたときだった。

 

あれ? ここって、どこだっけ?

目の前の坂を登れば、知恩院のある側に出るはずと思っていたら

なぜか道はどんどん細くなり、傾斜も急に。

と思ったら、突然ローマの水道橋のようなアーチ型の石組が立ちはだかった。

なんか、どこかで見たような。

あわててガイドブックで確認すると、

南禅寺の西端にある「水路閣」(琵琶湖疏水が流れる現役の水道橋)とのこと。

えっ、全然方向が違うじゃん!?

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      道に迷ったおかげで出逢えた「水路閣」。かっこいい!

見上げると、中天にはあかあかと輝く太陽。

時刻は、はや正午過ぎ・・というか30分の方が近い。

(ちなみに京都の中華料理店のランチは13時30分終了がメイン。

 けっこうシビアな時間設定だ)

こんなとこで道に迷ってる場合じゃないのに・・

焦れば焦るほど、陽炎のように遠のいてゆく「京都の中華」なのだった。

 

ではでは、またね。