個室温泉&地魚料理にメロメロ 千葉・内房 2020.9.24-25 Ara-kanふたり旅 

せっかく補助金が出るのだからと

GoToを利用し、内房の宿に一泊してきた。

平日&沖合に台風が停滞中というマイナス条件にも関わらず

全室満員の大盛況。

到着したのはチェックイン開始の30分後だったが

貸し切りの個室風呂を確保したいのか

すでに宿の前の駐車場は車でいっぱいだった。

去年の春に訪れた時より、いっそう人気の宿になってしまったらしい。

客層も、平日だというのに半数以上が若いカップル。

GoToだから泊まりたくなるレベルのお高い宿ではないのだが

さすがは、ネット検索でほぼトップの評価を続けているだけはある。

 

痒いところに手が届くサービスぶりは、あい変わらず健在。

正面の駐車場に空きがなく、宿の裏手にある第二駐車場に入ると

すでに宿の職員が待っており、名前を確認しつつ荷物を持ってくれた。

フロントで部屋のキーを渡され、すぐ部屋に入るよう指示される。

詳しい案内は、部屋の内線電話を通じて行なうとのこと。

コロナ下ということで、極力人との接触を避けているようだ。

 

前回(昨年春)の宿泊時は、ベッドがある3階の個室に泊まったので

今回は2階の和室をチョイスした。

2人で占有するのはもったいない、12畳ほどの和室に

趣のある木のイスとテーブルが用意された、これまた広い板張りフロア。

さらに一部屋分以上あるベランダがついている。

台風雨のため、ベランダに出て楽しむことはできなかったが

まさに「のんびりするのにうってつけ」の間取りだった。

 

ともあれ、荷物を部屋の隅に投げ出し

ほっと一息ついたところで、内線電話のベルが鳴った。

相方に対応を任せ、押し入れから枕と掛け布団ひっぱりだし

座布団の上にごろり。あー気持ちいい。

 

そうこうしているうちに、電話でのやりとりが終了。

貸切風呂の予約についての確認がメインだったか

いちはやくチェックインした先客たちでほぼ埋まっており

夜の10時過ぎの最終回しか空いていないとのこと。

「3つあるうちの左端か真中なら予約できます」という話に

部屋に備え付けてある案内本?を覗いてみると

前回の宿泊時には見た記憶がない浴室の写真が左端にあったので

迷わずそこに決めた。

(後で尋ねたら、今年の7月に作った、できたてほやほやの新浴室とのこと。

 おかげで、3つの豪華貸切浴室すべてに入ることができた)

 

話は前後するが、この宿の「売り」は

基本的に「貸し切り」の個室風呂と、地元の海の幸を使った贅沢な料理。

浴室は1~2人用の小さな〈貸し切りタイプ〉が3つ。

扉の脇にある「空き」の札を裏返して「貸切中」に変更し

中からカギをかけてしまえば、誰にも邪魔されず一人風呂が楽しめる。

要するに、空いていれば入れる〈早いもの勝ちスタイル〉だ。

もちろん、誰でも入れる大浴室(といっても4~5人用か)も別にあるので

待ちきれないor団体客の場合は、そちらを利用すればいい。

ただ、現在はコロナのため、大浴場も他の3室と同じ〈貸切システム〉を採用中。

それもあって、浴室前は陣取り合戦の様相を呈していた。

いっぽう、この4風呂とは別に、宿の奥まったところに

4人程度は楽に入れそうな、3つの「貸切専用浴室」が用意されている。

こちらは、すべて予約制。

夕方から夜11時過ぎまで、50分刻みで希望の時間帯に入浴できる。

予約客は、浴室に向かう前にフロントで鍵を受け取り

あとは時間内たっぷり貸切風呂を楽しめる、というものだ。

(さっきの電話で予約を入れたのは、この件)

もちろん、コロナ対策のために

貸切時間の合間に消毒時間を設けるなど、多少の変更は必要だったが

もともと基本的に〈貸切風呂方式〉を採用していたので

他の宿泊施設に比べれば、ずっとダメージは少なかったようだ。

 

で、ふたたび内線電話の後に戻るが

このやりとりの際、相方は4つある〈早い者勝ち風呂〉のうち

いまちょうど1つ空いた、との最新情報を受けていた。

早く行かないと埋まってしまうらしい。

浴室前で待ち続けるのは嫌だったので

入浴道具をひっつかみ、とるものもとりあえず風呂へと向かう。

駆けつけてみると、通常時は大浴場扱いだった一番左手の浴室が空いていた。

他の個室と違い、ごくごく普通のたたずまいの浴室だった。

それでも、入れるだけいいか・・と

扉の前に下がっていた札に部屋番号と名前を書き込み(前回はなかった)

ややぬるめの湯にどっぷと浸かる。

数分後、連れが扉を開け(鍵はかけず)脱衣場から声をかけた

「もう一つ空いたから、そっちに入るね」

私に続いて入ろうと浴室練前まで来たとき

ちょうど折よく、3つある個室の1つ(『檜の湯』)が空いたというのだ。

どうやら、思ったよりも回転が速いようだった。

〈貸切り風呂〉とはいえ、サイズ的にはほぼ一人用。

2人で使うと交替で湯船に入ったりするため、のんびりできず

結果的には、カラスの行水状態になってしまうのだろう。

事実、入浴を終え、浴室が並ぶ廊下に出ると

ちょうど真ん中の浴室(『陶の湯』)が「空き」になっていたので

これ幸いと、2度目の温泉へと突入。

焼き物でできた五右衛門風呂のような浴槽にゆったり浸かり

極楽気分のひとときを満喫することができた。

(最初に入った「大浴場」とは違い、湯の温度はやや高め。

 このあたりも、あまり長湯しないようにという宿側の計算なのか)

 

なんのことはない、4つの〈早い者勝ち風呂〉が混んでいたのは

チェックイン直後から17時頃までの、ほんのひとときだけ。

心配していたような〈個室風呂争奪戦〉は起きず

ほぼ"好きな時に好きな個室に入る"ことができたのだった。

相方も、「もうひとつ空いてたのでそっちにも入って来た」と

さっそく個室風呂のハシゴを楽しんでいた。

 

ともあれ、まずは無事に一人風呂を満喫。

あとは、広い畳の部屋でごろんと横になり、夕食の時間を待つばかり。

本を読んだりうたた寝したりするうち、窓の外は暗くなっていき

18時過ぎ、内線電話で「お食事の支度ができました」と連絡が入る。

この夜のために、ほぼ昼食抜きだったわれら2人は

いざ! ・・と身を起こし、一階ロビーから脇に入った食事処へ。

入口で部屋番号を告げると、こちらへどうぞ、と

すぐ右手のブースへと案内された。

泊まる部屋ごとに食事スペースが決まっているらしい。

(ちなみに前回は一番奥あたりの左側だった)

そう。この宿の食事は、宿泊する部屋ごとに

個室風に仕切られた席で提供されている。

もともと「密」とは縁のない方式だったおかげで

コロナ下でも、ほとんど手を入れる必要がなかったのだ。

 

着席後、ドリンクメニューを開き

ビール、日本酒、焼酎、ワイン、カクテル、サワー、ソフトドリンクのなかから

好きな物を注文。

そして、いよいよ『ごちそう』が始まった。

懐石料理と同じように、客の様子を見ながら

ひと品ずつ、時間を置いて、できたてほやほやが提供される。

ちなみに、この日いただいた【長月献立】は・・

先付 焼き茄子摺り流し 秋の白和え 秋野菜の浸し

主菜 地魚お造り

台の物 鮑踊り焼き

椀物 土瓶蒸し 松茸 海老 銀杏 湯葉餅 三つ葉 酢橘

焼八寸 姫栄螺かぶら蒸し 地魚柚庵焼 酢取り茗荷

    海老芋田楽味噌 舞茸豚バラ巻き

    穴子小柚寿司  地魚変わり揚げ

鉾肴 金目鯛煮付

食事 御飯

止椀 あら汁

デザート パティシエ特製デザート

 

全体のメニュー選択で「少量特選コース」を選んだのだが

椀物あたりで、早くも普段の夕食よりオーバー気味に。

それでも、箸を止めることができず

苦しい苦しいと言いながら、デザートまで平らげてしまった。

ひと皿ひと皿、いわゆる「インスタ映えする」美しさ。

海の幸ならではの、濃厚な出汁が効いた椀物やあら汁。

かと思えば京風懐石を思わせる、素材の味を生かした繊細な風味。

そのなかでも、やはり特筆せざるをえないのは

獲れたての地魚を生でいただく「お造り」だった。

ひとくちごとに、笑みがこぼれてしまう

至福のひと時を過ごさせてもらえた。

 

我らArakanふたりにとって、海外旅行は――まさに、心の糧。

ところがどっこい、国内旅行だって、負けてはいない。

実際、どんな国に行こうとも

日本を越える質と多彩な味には、これまで出会ったことはない。

 

この国に生まれてよかった。

そんなふうにしみじみ感じさせてもらえた

神奈川⇔千葉の一泊旅行だった。

 

ではでは、またね。