2018年6月1日(金)
朝7時30分に起きて、荷造りを終え
食堂に降りて、昨日と同じ朝食をいただく。
メニューは。パン、チーズ、卵、ベーコン、そして飲み物。
卵や肉は日本よりも味が濃く、おいしいく感じるが
いかんせん、サラダなど野菜類がほとんどない。
これでスイスの朝ごはんは、3回目。
普段の朝食では欠かさず生野菜を食べているだけに
葉物野菜が恋しくなってきた。
世界一の長寿国として有名なスイス。
地元の人々も、あまり野菜を食べないのだろうか。
乳製品だけで栄養バランスを保てているとは思えないのだが・・
9時前に来るバスを待つため、少し早めにチェックアウトを済ませ
ロッジ前の道に出る。
この日も「抜けるような」といいたくなる青空が360度広がり
すっかり見慣れたアイガーの威容をくっきり引き立てている。
昨夜宿泊した韓国人らしき若いカップルも同じバスに乗るのだろう
大きなスーツケースと一緒に、山をバックに交代で写真を撮り合っていた。
たぶんこれで見納めになるんだろうな・・
そう思いながら、相方とふたり
バスがやってくるまで、飽きもせず景色を眺めつづけた。
以下、Grindelwaid 9時19分発⇒9時53分・Interlaken着。
Interlaken10時00分発⇒10時52分・Bern着。
Bern11時02分発⇒11時58分・Zurich着。
Zurich12時07分⇒13時02分・Saragans着。
Saragans13時06分⇒13時13分・Maienfeld着と
短時間乗り継ぎを4回こなして、無事目的地のマイエンフェルトに辿り着いた。
2日前のジュネーブ発の列車に比べ、どれもかなりの込み具合だったが
それでも1等車は余裕が多く、座席も選び放題。
乗車中に休めたので、時刻表から感じるほどあわただしくなかった。
ただ、ベルンからチューリヒへの列車は、乗客でごったがえし
乗り継ぎがギリギリになったため、満席の2等車の2階席で我慢することに。
やっぱ、1等席にして正解だった・・と、しみじみ痛感したのだった。
ともあれ、翌朝が早いことから
マイエンフェルトの宿は、駅から徒歩1分のHotel Hirschen。
一塊がレストラン(バー)になっている、いわゆる「駅前ホテル」だ。
予約しておいたのは、2階にある、
こぢんまりとした専用バスルーム付きの部屋。
シングルベッド2台のツインルームなので
いびきを気にせずに眠れるのは、ありがたい。
ちなみに料金は、1泊食事なしで98スイスフラン。
日本円で、1万1000円ほどだった。
スケジュールの関係で、明日の朝には出発せねばならない。
荷物を部屋に置くと、休む間もなくマイエンフェルトの街へと。
さっそく、歩いて数分の観光案内所「ハイジショップ」に立ち寄った。
ハイジに関する各国の絵本や文具、オモチャなど様々なものが並んでいる。
もちろん日本のアニメ「アルプスの少女ハイジ」のキャラクター商品も
しっかり1コーナーを占めていた。
土産物の物色は後にして、日本語のパンフレットを入手。
そこに記されていた、いくつかのハイキングコースを検討することに。
ハイジが過ごした「アルムの家」をイメージした山小屋
ハイジヒュッテに行ければ、と思っていたのだが
延々山道を2時間近く登らないと辿り着けない、との情報が。
すでに時刻は2時過ぎ。
昨日の長時間ハイキングによる足の痛みも、充分には取れていない。
・・・ここは、諦めたほうがよさそうだと判断。
村をぐるっとまわる2時間程度のハイキングコース
Heidiweg(ハイジヴェーグ)をたどることにした。
強い陽射しに負けぬよう、アイスを食べて糖分を補給。
中世の雰囲気を残した小さな建物が並ぶ、村の中心部へ。
すると、こぢんまりとした広場に、どこかで見たような景色が。
「あ、ヤギの水飲み場!」
そう。アニメとそっくりの水飲み場が、迎えてくれたのだ。
他にも、ハイジのモニュメントらしきものがいくつか目に留まったが
だんだん物語世界より実際の景色の方に、興味を惹かれていった。
村を一歩出ると、そこは一面のブドウ畑。
目を上げれば、広々とした緑の丘に乳牛たちの群れ。
その向こうには、思ったよりも険しくそそり立つ、アルムの山々。
途中、ハイジの村などの観光施設があり
何組もの家族連れや、大型バスで来た中国人の団体で賑わっていたが
そうしたもいかにもな観光地より
見渡す限りのブドウ畑や木漏れ日の路など
なんでもない情景のほうが強く記憶に刻まれていた。
しかし、マイエンフェルトで一番感動?したのは
ときどき見かける道端の木に、たわわに成っていた橙色の実。
これまた、どこかで見たような・・と思って、ひとつ摘まんでみると
「なんだよ、サクランボじゃん!」
思わずそのままサクリと噛むと、口いっぱいに甘酸っぱいサクランボの味が。
日本だったらスーパーに並んでいるはずのチェリーの木が
食べごろの実をいっぱいにつけたまま
誰にも収穫されることもなく、道端のあちこちに立っていたのだ。
目を凝らしてみても、フェンスや立て札など所有感のある目印はない。
もしかしたら、まとめて収穫し村人の間で分け合うとか
暗黙の了解が成り立っているのもしれないが
それにしては無防備すぎるだろ。
質素で倹約家(ケチ?)とのイメージが強いスイスで発見した
この旅で最大の謎だった。
ともあれ、およそ2時間のハイキングコース。
道自体は平坦で歩きやすかったが
前日のロングウォークが後を引いており
帰り道に差し掛かる頃には、じわじわ靴の中に痛みが広がっていった。
なかば足を引きずるようにして、村に戻り
一軒だけあったスーパーマーケットで、明日の朝食を購入。
ついでに、ちょうど旬で山積みになっていたイチゴも1パック。
ホテルに戻ってすぐに食べたが、期待通り甘酸っぱくフレッシュ!
――スイス国内で一番おいしかった、ような気がする。
宿でひと休みし、夜8時頃ふたたび外へ。
駅前での宿泊ということもあり
今回の旅で初めて、レストランで夕食を取ることにした。
ようやく夕方っぽくなった駅前道路をてくてく歩き
ネットの口コミで気になったHotel Restaurant Alpenroseへ。
野菜に飢えていたので、サラダ、スープ、肉料理などを注文する。
美味しいことは美味しいものの、驚きや感動には至らず。
正直、どんな内容だったか、ほとんど覚えていない。
ま、覚えているほうが珍しいんだけどね。
ただ値段は、予想通りイタリアあたりの「5割増し」といったところ。
でもって、はっきり記憶に残っているのは、
ここで英会話のハンドブックを置き忘れてしまったこと。
気づいたのが翌朝だったので、リュックと違い、今回はタイムアウト。
いまでもあのレストランに置いてあるのか。
それとも、その後店を訪れた日本人観光客の手に渡ったのか。
単純に捨てられたと思うよりも
いろいろな可能性を想像したほうが楽しいものだ。
ではでは、またね。