リュック紛失もハイキング強行! ジュネーヴ発ボローニャ着 鉄道自由旅行2018 5/29-6/5 3日目前半 ふたり旅60'

2018年5月31日(木) 3日目前半

 

成田出発以来、まとまった睡眠はとれなかったので

昨夜は文字通りのバタンキュー。

休養たっぷりでハイキング当日を迎えることができた。

とはいえ、ホテル代節約のためベッドは一台だけ。

おかげで恒例のイビキ被害により

相方の睡眠は充分とはいかなかったようだ。

せめて道に迷わぬよう、しっかりナビをつとめよう。

 

幸い天気は朝から快晴。

見事な青空に絵に描いたような白い雲がぷかりぷかりと浮かんでいる。

絶好のハイキング日和だ。

ホテル前の絶景も、昨夕よりさらにグレードをアップ。

もはや「どこからでもかかってこい!」という圧倒的な美しさだ。

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ロッジ前からの眺望

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食堂の雰囲気もなかなか

パンとハム、チーズ、飲み物というシンプルな朝食をいただき

9時ごろのバスに乗ろうと停留所で待っていると

同じホテルの宿泊客(中年カップル)が「乗ってかないか?」と声をかけてきた。

バス代がかかるわけではないがせっかくだったので

お言葉に甘えて同乗させてもらう。

奥さんらしき女性が何度か話しかけてくれたが

英語ではなかったため、何をしゃべっているのかまったく聴き取れず。

辛うじてフランス語らしいとわかったので

駅前広場で降りる時に「メルシー、ボーク―」を連発したら

ニコニコ笑って手を振ってくれた。

 

その足で、昨日立ち寄った観光案内所へ。

教えてもらったハイキングコースのチケット?を購入しようと思ったのだ。

入り口を入ってすぐ、見覚えのある日本人男性の姿が見えた。

しかし、ちょうど電話で込み入った会話中の様子。

すぐには終わりそうになかったので、自力でコースをたどることにした。

まずは、ロープウェイの駅へ。

駅前からはかなり距離があるので、バスに乗る方が理に適っていたが

あいにく次の便まで1時間近く空いていた。

てなわけで、行けるとこまで歩いてみることに。

せっかく天気も良く空気も爽やか。

バスを待ってボーッと立っているのが、悔しかったのだ。

・・結局、途中から、そのバスに乗るんだけどね。

ちなみロープウェイの駅へのバスも、ホテルのカードを見せるだけでOK。

 

気持ちのよい高原の道をしばらく走り、

バスはローブウェイ駅へ到着。

ここで乗車券を購入したが、

係の女性に「何か持ってないか?」みたいなことを言われたので

ユーレイルパスを見せたら、3割ほど値引きしてくれた。

この情報はどこにも書いてなかったので、すごい得した気分。

すっかり気分を良くして、山の上から降りてきたゴンドラに乗り込み、

さあ天空の散歩だ!・・と、ハイになった次の瞬間。

どこか手持無沙汰な状況に気づく。

あわてて身の回りを確認すると――俺のリュックがない!!

いま乗って来たバスの中に、置き忘れていたのだ。

 

すでに動き始めたゴンドラの窓を叩き

停止してもらおうと乗り場の係員にアピールしたが

そんな危険なこと、許されるはずもない。

バスに置き忘れたリュックとの距離は、どんどん離れていくのだった・・。

 

こちらのパニックとはまったく関係なく、

ゴンドラは白い残雪が点在する春の斜面をゆっくりと登っていく。

アナグマらしき動物が走り回る眼下の景色を眺めるうち

徐々に気持ちが穏やかになっていった。

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パニックを鎮めてくれた景色

今すぐ下りのローブウェイで取って返しても、バスには追い付けないよな。

だったら、ハイキングの後で探してもいいんじゃないか。

紛失物探しに貴重な時間を費やすより、

ここは開き直ってハイキングを楽しむことにしよう!

30分ほどのゴンドラ旅を終え

終点のMannlichen(メンリッヒェン)に到着したときには

完全に気分は「なんとかなるだろう」という楽天モードに切り替わっていた。

 

さて、終点の降り立った、最初の感想は

美しい!・・ではなく、寒い!!!

さすがは標高2222メートル。

さんさんと降り注ぐ陽射しのぬくもりをはぎ取るように

まだ半分ぐらい雪が残った尾根を

冷え切った風がピューピュー吹き抜けていたのだ。

幸い、まえもって防寒服はリュックからデイバッグに移しておいたので

用意しておいたヤッケを着こむなど、最大限の取ることができた。

悪運強し!

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さ、寒い・・5月末日でもシーズン前

で、肝心の展望台からの眺めは・・絶句。

アイガー・メンヒ・ユングフラウと白い峰の山々が連なる、圧倒の大パノラマ。

しかも足元に目を転じれば、昨日止まったロッジを含むグリンデルワルトの村が

色鮮やかな積み木をばらまいたように、深い緑の中に点在している。

観光案内所で教えてもらった通行可能なルートは

このメンリッヒェンからユングフラウ鉄道ターミナル駅がある

クライネ・シャイデックまでの、およそ2時間の道のり。

ガイドブックにも〔初心者向けの人気コース〕として載っている

代表的なハイキングルートだった。

 

しかし、展望台に張り出されていたパネルには

クライネ・シャイデックに向かう道に『通行止め』の大きな文字が。

ちょっとビビったが、よく見ると

✖マークがついているのは、尾根づたいのメインルートだけ。

少し下った斜面を通る道〔Romantikweg〕は、通行禁止にはなっていなかった。

確かに尾根づたいの道には白い雪が厚く残っており、雪山用の靴でないと滑るだろう。

対して〔Romantikweg〕は、展望台から見る限り残雪はごくわずか。

ふたりが履いてきたウォーキングシューズでも、さほど苦戦せずに済みそうだった。

 

「観光案内所で大丈夫、って言ってたからね。たぶん行けるよ」

これでも30年以上前には

テント込みのリュックを背負い北アルプスを縦走したこともある

山歩きの元々々々・・熟練者。

このくらいなら大丈夫だという判断は、できるつもりだった。

 

てなわけで、リュック紛失で身体も心も身軽になった

グリンデルワルト・ハイキング

いよいよここから、はじまりはじまり。

 

ではでは、またね。

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クライネ・シャイデック目指して、出発!