飛ばない飛行機・・ バリ島うたた旅 2024.10.28-11.5 1日目 羽田空港👣ヴィラフォンテーヌグランド羽田👣羽田空港

2024年10月28日(月) 

羽田空港👣ヴィラフォンテーヌグランド羽田👣羽田空港 

本来なら、空の上で機内食をパクついていたはずのお昼前。

目の前には、熱々の煮込みうどん風スパゲティが・・

 

理由はいたって単純だ。

朝早くシンガポールから到着、整備を済ませた後

SQ631として折り返し8時50分に羽田を出発する予定だった機体が

トラブル発生のため途中の台北緊急着陸する事態に。

すぐさま代替機がシンガポールを離陸。

台北で足止めを喰らった乗客をピックアップし

本来の目的地である羽田まで飛行。

我々が乗る予定だったSQ631の代わりとなってくれる、こととなったのだが・・

それらアクシデントのおかげで、当初の出発時間は大幅に遅延。

なんと17時間遅れの25時30分発となってしまった。

 

もちろん、ずっと早い便や他社便に振り替える選択肢もあったけど

ロス少ない代替案はファースト&ビジネスクラスのお客様方に優先的に提供され

エコノミークラスの利用者には、上の深夜発便しか残ってなかったのだ。

 

朝9時前の予定が深夜1時30分になると告げた後

シンガポール航空の係員は、2つの選択肢を提案してきた。

ひとつはタクシーに乗り、いったん自宅に戻り

夜になってから再び羽田に戻ってくる。

往復ともにクーポンが貰えるので、交通量は不要だ。

もうひとつは、空港に隣接するホテルに部屋を用意するので

そこでチェックイン時間まで過ごす、という案である。

むろん部屋代は航空会社が負担し、夕食代も払ってくれるという。

ただし、ホテルのチェックインは15時以降のため

それまで時間を潰さなければならないが。

 

ーーふたりとも、迷わず「ホテル滞在コース」を選んだ。

実は、これまでに4~5回ばかり大幅な遅延に遭っているけれど

そのたび、高級ホテル滞在と当地での食事を無償提供していただいた。

極力高価な宿は避けているB級旅人にとっては

滅多にない贅沢なひとときが体験できる"チャンス"だったから。

 

そんなわけでーーーやたらと長い前置きだったが

出発予定時刻を3時間ばかり過ぎた10月28日のお昼前。

羽田空港内にある人気のスパゲティ店で30分ばかり列にならび

"失意のランチタイム"を過ごすこととなった。

11時過ぎの時点で、20人ほど行列ができていた。

普段なら面倒臭くて並ばないが、なにせ時間は腐るほどあった。

交代で行列を抜け、何を食べようかショーウィンドウと睨めっこ。

"行列店"だけあって、どれを食べてもハズレはなさそうだ。

 

そうそう、さっき"失意のランチタイム"と書いたけど

これはチェックイン開始の15時まで待つ事態に対するものではなく

己の〈致命的な失態〉に対する愚痴であった。

実は、もう少し注意深くしていれば

今頃はバリ島行きの直行便に搭乗しており

予定より1時間以上早く、バリ島に到着していたのだ。

 

あまりに悔しいので、正直書かずにおこうかと思ったのだが・・

羽田で乗る予定だったシンガポール発の機体が台北の空港に禁中着陸。

出発が大幅に遅れることが明らかになった、朝8時前のこと。

一通のメールがスマホに着信していた。

そこには、こんなメッセージが記されていたのだ。

成田空港11時発のガルーダインドネシア航空便バリ島行きに、✕✕様2名分の予約をお入れしました。今から成田空港に直行し、時間内に搭乗手続きを済ませてください。

 

羽田⇒シンガポール/シンガポール⇒バリ島という煩雑な乗り越えもなく

バリ島への直行便で、1時間も早く最終目的地に到着する便を手配してくたのだ。

なんという幸運!!

・・・だが、しかし。

当時、所持していたのは容量の小さい旧式スマホ

ちょっと調べ物をした程度フリーズするため

必要な時以外は電源を切っていた。

おかげで問題のメールに気づいて文面を読んだのは、朝の9時前。

ヘリでも飛ばさなければ、11時の出発時刻には間に合わなくなっていたのだ。

件の《振り替え便メール》が届く十数分前の7時30分ごろ

同じシンガポール航空から届いた「遅延のお知らせ」をリアルタイムで受信。

「こんなメールが届いてたよ、やっぱ大幅に遅れそうだな~」

なーんて相方に見せていたというのにーーー。

まったくもって、いま思い出しても胸の底がキリリと痛む大失態。

(このダメージが尾を引いて「バリ島旅記録」のなかなか書き出せなかった)

 

ともあれ、ようやく"ひと山"越えることができた。

寝不足の腹に煮込みスパゲティを詰め込み、さらに一息ついた14時半過ぎ。

ようやく航空会社に手配された空港直結ホテルへと向かうことに。

正面出口をまっすぐ突き進み、右に折れて長い屋内コンコースへと足を踏み入れる。

羽田空港の前にこんな場所があったのか!

何十回も訪れていながら、初めて歩くゴージャス回廊。

数百メートルに渡って、右手に選りすぐりの名店街が並ぶ(左は一面ガラス張り)

その先も広大なショッピングエリアが続いており

大理石っぽい一角のエスカレーターを昇ったところがホテルの入口だった。

 

シャンデリアの下にソファが点在する外国人観光客ばかりのロビーを抜け

航空会社のカウンターで手渡されたカードを、受付の男性コンシェルジュに手渡すと

7階のひと部屋を手配してくれた。

エレベーターのドアが開くと、遥か彼方まで一直線の廊下と無数のドア。

一瞬、シャイニング(古いな~)のワンシーンを思い出した。

 

その後、自腹では絶対に宿泊しないだろう広くてリッチな室内で

ふかふかベッドに倒れ込むこと、数時間。

気がつけば、夕食時が近づいていた。

チェックイン時に渡された食事バウチャーを確認しつつ

指定された地下一階のレストランまで降りる。

地下一階にも、多彩な店やイベント施設が広がっていた。

羽田空港の前がこんなことになっていたとはーー

大田区糀谷で生まれ育った下町ジジイは目を丸くするばかり。

シンガポール航空が手配したのは、こちらのビュッフェレストラン。

時間も早め(6時半ぐらいだったかな)だからか、客の姿はポツリポツリ。

気になる料金は、大人お1人さま5500円。

よくある"食べ放題"だが、ビュッフェスタイルにしては驚くほど味がいい。

その場で料理を作るキッチンも色々あったが、天ぷらだけでお腹はパンバンに

いくらでも詰め込める若者が羨ましくなるのは、こんなときだ。

あんまりケチケチしてもなぁ・・と、一杯1100円の地ビールで乾杯した。

 

もいちどホテルの部屋に戻って読書&うたたねタイム。

夜10時を合図に荷物をまとめチェックアウト。

わずか7時間のホテル滞在だったが、思ったより休めたようだ。

22時10分、閑散としたチェックインカウンターへ。

ほとんど人の姿はなく、まだちょっと早かったかな~と思ったら

どこからともなくシンガポール航空の職員たちが現われ

開始予定時間よりも早く搭乗手続きをしてくれた。

深夜発便で余裕があったのか、座席は選び放題。

例によって2人それぞれ窓側席にしてもらう。

 

スーツケースを預け、さてラウンジでお茶でも・・と横を見ると

責任者らしき男性が深々と腰を折り

ーーこのたびは大変なご迷惑をお掛けしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。

気がつけば、カウンター周辺でチェックイン業務に勤しむ人々は

早朝見かけたのとまったく同じ顔ぶれ、文字通り不眠不休で頑張っていたのだ。

ガラにもなく胸が熱くなり

ーーいや、どうもご苦労様でした。

そんなありきたりな言葉しか返せなかった。

 

隣で平身低頭する部下が差し出す小さな紙袋を受け取り、その場を離れる。

後で中身を改めると・・虎屋の羊羹の詰め合わせ。

それも、ひとり一袋ずつ。

ーー重くて荷物になるから、バリで食べちゃおうか。

互いに困り笑いを浮かべつつ、今回のトラブルも結構楽しめた気がするのだった。

 

ではでは、またね。