Chapter1 失踪時代 ――少女からおばあちゃんまで全部の要素を持っていて、それが大きくなったり小さくなったりするのが女性だと思うんですよ。 [58]
Chapter1 アル中時代 アルコールだって薬物だから、薬物依存と変わらないよ
――アル中時代は一番安くてすぐ酔えるから日本酒を飲んでいたとか。
そう、日本酒はすぐに酔いが回ってくるから。洋酒や焼酎とは酔い方が違う。
アル中は(日本酒が)多いね。なんか駅で立ち飲みして自販機の前でやったりしてるでしょ。 ああいうの見ると潜在アル中って多いんだなって思うよね。
朝から酒臭い人っているもんね。でも、それはかろうじてもっている。いつ入院してもおかしくない状態だね。 [60]
――酒を飲むと震えが治まっていたので勘違いしていたんですね。飲んだほうが健康なんじゃないかって。
それは個人によって症状はね、すごくいろいろあるんで一瞬には言えないんだよ。震えない人もいるし、体質というか肝臓がものすごい強い人もいるからね。だから朝から飲んでも一年はもつね。ただまあ、そりゃ限界はあるよ。朝から飲んでいる人は絶対にいつか倒れる(笑)。肝臓か腎臓か、そのほか脳にくる場合もあるし胃とか腸にくる場合もね。絶対にどっかやられるよ。[65]
――約束が解かれて歩き回れるようになってから、お酒を飲みたいと思ったことはありますか?
その時はまだなかった。それに体力がなかったから、全然飲みたいって気にはならなかった。酒飲みたい気持ちってのは、体が治ってきてから再び起こってくるんだよね。一生消えないっていうか、まあ訓練によってはだいぶ楽になるけど、大概の人は一生苦しめられるね。薬物依存の宿命っていうか‥‥。 [73]
――病院なのにタバコが自由ですよね。やっぱり依存症はどこかを解除しておかないと詰まっちゃいますよね。
まあタバコはすぐに吸いたくなったね。酒は飲みたいとは思わなかったけど。
タバコは‥‥依存度が強い。すごいよ。ホームレスの時も吸いたかったけど、入院して次の日にはもう吸いたくなったから。[76]
――何度も入院する人っていうのは退院したらまたすぐ飲んじゃうんですか?
そう。退院してすぐまた飲んで入院。“直帰”って言われてる(笑)。そういう人の話を聞くと、こいつは飲むしかないだろうなって人が多いんだよ。もうね、妻子に逃げられて仕事なくて福祉だって。もちろん仕事もできない。身体もボロボロ。‥‥これだったらオレでも飲むなって(笑)。もうなんの希望もないんだもん。それは飲むよ。[78]
――知り合いのアル中の人は、家族がいて酒を全部取り上げられたらしいんですよ。でも、最後は我慢できなくて「みりん」を飲んだそうです。
病院にも「オレの最期の酒はみりんだった」って人は結構いたよ。あと入院中も、「イソジン」でうがいすると気持ちがいいって言う人がいて。で、医者が調べたら、ちょっと「イソジン」にアルコールが入っているらしいんだよね。
それで禁止になった。
――じゃあ「ユンケル」もダメですね。
あ、ダメだね。アルコール入っているのは全部禁止。[84]
Chapter3 生い立ちとデビュー 中学の時、はじめて牛肉を食べた
あと、おやつにタンポポ食べたり、ヤマブドウ食べたり。セイヨウタンポポは食えるんだよ。茎の固い日本のタンポポと違って、セイヨウタンポポは甘くておいしい。あとはスモモね。スモモの木がいっぱい生えていたからね。[102]
手塚先生の絵は動いている!
――手塚先生ではなく、石ノ森先生をお手本にされていたというのは?
手塚先生って難しい。
――難しいというと?
マネしづらい(笑)。だってキッチリしすぎているんだもん。動きはあるしさ、角度はすごいし、絵がうますぎるんだよね。石ノ森先生の絵は止まり絵っていうか止まっているから。でも、石ノ森先生はアップがカッコイイし目がキラキラしてる。手塚先生のはとにかく動きだから、あれを模写するのは大変だ。[118]
タッチは手塚先生に憧れていたのかな? 叙情性は石ノ森先生に憧れていたね。
石ノ森先生、女の子かわいいもんね。手塚先生もかわいいんだけど、キッチリしすぎているから。石ノ森先生の色気は特別だし。
手塚先生は意識しないほうが色っぽいってだれか言っていたけど、普通に描いていたほうが色っぽい。だから、入浴シーンとか描かないほうがいい(笑)。[120]
プロの原稿に打ちのめされた
――そういうところでリーダー的な人って、作品を残すことはあまりないですよね。
そうなんだよね。議論ばっかで、頭でっかちになって描けなくなっちゃうんだよね。そいつから漫画の構想はいっぱい聞いたけど、描いたのは一本しか読んだことない。[136]
下手でもいいから、デビューしたほうがいい
――デビューしないとアシスタントが長くなっちゃうんですよね。
下手でもいいから、デビューしたほうがいいよね。プロになるつもりなら、アシスタントを長くやっちゃダメだよ。本当は、アシスタントなんかしなくてもいいんだから。 今はそうでしょ、いきなりデビューしちゃう。[139]
『失踪日記』で一世を風靡した
前半はアル中(闘病)ネタばかりだったので
今回は、折り返し点過ぎまで紹介した。
もっと&しっかり読みたい人は、「元本」をゲットしよう。
ではでは、またね。