湖水に浮かぶ温泉宿 帯広ふたり旅 2022.10.26-29 1日目(3)ナイタイ高原牧場(ナイタイテラス)⇒然別湖温泉

2022年10月26日(水) 羽田空港帯広空港⇒カレーショップ・インディアン⇒道の駅ピア21しほろ⇒ナイタイ高原牧場⇒然別湖温泉・ホテル風水

 

      窓いっぱいに然別湖が広がる。たしかにこれは絶景だ。

 

「あら、いいじゃな~い!」

宿の部屋に入ってすぐ、相方が声を上げた。

広さはせいぜい10畳程度、内装も特に豪華ではない和室だ。

ただ、真正面二間ほどのガラス窓一杯に、静かな湖面が広がっている。

最近めっきり自然の景観に惹かれるようになったふたりには

これ以上ない"ごちそう"だったのだ。

 

       然別湖、15時30分。早くも夕暮れが忍び寄る。

 

実は、今回の「帯広旅行」には

9月の〈激安札幌ツァー〉における「ブックホテル」と同様

ぜひとも体験したい課題?があった。

5か月前の〈道東ツアー〉で取りこぼした「帯広グルメ」のリベンジと

「ローカルな温泉旅館に泊まる」というもの。

最近10回ばかりの北海道旅行を振り返ってみても

夕食付きの温泉宿に泊まったのは

定山渓の大きなホテル(バイキング)ぐらい。

残りはほとんど街なかのビジネスホテルだったり、温泉なしの宿泊施設どまり。

もちろん、それはそれで悪くないのだが

たまにはドライブで出かける近隣県の旅行みたいに

ゆっくり温泉に浸かって、のんびり夕飯を食べたいなぁ。

・・などと考えるようになっていたのだ。

 

そんなわけで、今回の旅で温泉&夕食付きの初日の宿は

ある意味〈メインイベント〉だった。

とはいえ、しょせんはツアーに組み込まれたプランをチョイスしただけ。

のんびり温泉に浸かって、後は寝るだけの夕食を楽しめればOK!

ぐらいしか期待していなかった。

 

        部屋は"小ぢんまり"だけど、眺めは雄大そのもの。

 

ところが、ホテルにチェックイン。

ルームキーを手に3階の客室に入ってみると

いきなり、窓一面の然別湖が"お出迎え"してくれたのだ。

さっそく相方は、窓辺に置かれた安楽椅子に身を沈め

波ひとつない湖面を、じーっと眺め始める。

確かに、目の前に広がる静謐な景観は

陳腐とは思いつつも「神秘的」という言葉を使いたくなるほど、心に沁みた。

 

よほど気に入ったのだろう。

その後、部屋のカギがひとつしかなかったので

「お先にどうぞ」の言葉に甘えて、オフロに入り(湖畔の露天風呂は最高!)

40分ほど後に戻ったときも、彼女は湖面を眺め続けていた。

 

タッチするように相方が風呂に向かい

気持ちよかったー! と戻って来たあとは

勝手に押し入れから出した布団に寝転がっているうち、夕食の時間に。

1階の食堂に降り、案内されたテーブルで夕食を囲んだ。

 

       ひと皿ごと違う味付けに大満足。でも、焼き魚が冷たいのは・・悲しすぎる。

 

地元の食材を活かした和食は、通り一遍の味付けではなく

一品ごと工夫が凝らされ、充分満足できるものだった。

ーー残念なのは、焼き魚や煮物などが冷えてしまっていたこと。

いっぺんに多人数の料理を提供する必要から、ある程度は仕方ないのだろうが

やはりアツアツを提供できない「旅館メシ」には、落胆せざるをえない。

料理の味が良かっただけに、画竜点睛を欠く、といったところか。

 

          夜八時のホテル玄関。すでに気温は氷点下?

 

夕食後、晴れた夜空に誘われて、ホテルの外をぶらついた。

残念ながら、近隣の建物(ホテル)から湖に向けて照明の光が放たれていて

(安全上の理由だろうか)、理想的な暗さを得ることはできなかった。

それでも、なんとか照明の当たらない場所を探しだし

しばらく目を閉じてから、頭上を見上げると

美しい晩秋の星空と、にじむような天の川がくっきり目に飛び込んできた。

いつまでも眺めていたかったが、さすがに然別湖の秋は厳しく

ありったけの防寒具を着込んだにも関わらず、30分ほどで退散せざる得なかった。

それでも、数十年ぶりに眺める天の川は

遥か昔、高校時代に所属していた天文部を思い出させてくれた。

いつまでも変わらないものがあるというのは、なかなかいいいものだ。

 

柄にもなくセンチメンタルになった、然別の夜――なんちって。

 

       暗闇を探して身を隠す。気分はほとんど空き巣狙い。

 

ではでは、またね。