第1作から3作までに相当する小説群である。
ちなみに「ビブリオバトル」とは
発表参加者が、自分の好きな本を順番に紹介。
すべての発表後に参加者全員で「一番読みたくなった本」に投票し
最多票を集めたものを「チャンプ本」に決定する
いわば〈お勧め本アピール合戦〉。
実際に学校・図書館・地域イベントなどで行なわれているこのビブリオバトルを
臨場感たっぶりの青春小説に仕立て上げたのが、本シリーズなのだ。
メインの舞台は小中高一貫の美心(びしん)国際学園、略称BISで活動している
その名もズバリ「ビブリオバトル部」。
ここにSF小説が大好きな15歳の少女・伏木空(ふしきそら)が入部するところから
物語は始まる。
まず、迎え入れた部員たちが、"濃い人"ぞろい。
ノンフィクションしか読まない事実至上主義者の埋火武人(うずみたけと)
サイエンス部との掛け持ちで、科学関係書に特化した菊池明日香(きくちあすか)
ボーイズラブ命の混血少女、小金井ミーナ。
唯一の中等部生、かわいいものが好きな少年・輿水銀(こしみずぎん)
関西弁を駆使する話巧者の部長・安土聡(あづちさとし)、という5名。
こんな一癖も二癖もある個性派読書人たちが
各自「これぞ!」と思うオススメ本を熱く語り合うのだから
さぞかしウンチクやオタクトークが飛び交うのだろうな・・と、思いきや。
確かに、"好きな本について語り合う"幸せそうな情景だったり
紹介する本の背景を知るために必要な情報とかは提示されるものの
なにより「ぜひとも、この本を読んでほしい!」という
ひとりひとりの〈書物愛〉が強烈に伝わってきて
"読書中毒者仲間"としては、とてつもなく嬉しいのだ。
小学生の頃から"SF沼"にはまっていたので
なんといってもイチオシは、天然SF少女・伏木空。
逆に、「SF小説=絵空事=くだらない」と軽蔑しまくる
ノンフィクション至上主義者・埋火武人には
一刻も早く己の〈愚かな勘違い〉に気づいていただきたいと祈るばかり。
なので、話が進むにつれ
「SF小説の面白さを認めてほしい」と、武人に挑み始めた空にどんどん感情移入。
いったいどうやって武人をギャフンと言わせるのか?
みたいな興味をメインに、1作・2作と読み進んでいったのだ。
ーーところがところが。
シリーズ第3作『世界が終わる前に』に至り
なんと物語は、登場人物たちの〈心の裡〉に深々と斬り込んでいく!
まさに「やられた!?」としか例えようのない衝撃は
これはもう、読んでもらうしかない。
とにかく何年ぶりかで、本のページを開いたまま
うーーーん・・と、唸ってしまったのだ。
そんなわけで、ひとつだけ、心からのアドバイスを。
本作「BIS(ビーアイエス)ビブリオバトル部」シリーズを手に取ったのなら
是が非でも、3作目『世界が終わる前に』までは読み通していただきたい。
面白いか、面白くないか。
評価を下すのは、その後でお願いする。
少なくとも本が好きで、何百冊と読み継いできた人であれば
この面白さに感動しないはずない!!
・・と、言い切ってしまうのだ。
実は、2作目までを読み終えた時点では
自分自身がSFの魅力に捉われた「火星シリーズ」や「レンズマンシリーズ」
ビブリオバトルに便乗して〈SF小説の魅力〉を語ってやるぞ!
などと目論んでいたんだけど。。。
3作目の衝撃で、ぜ~んぶ吹っ飛んじゃったよ。
ではでは、またね。