ひとことで紹介すると・・メチャクチャ"タメ"になるバカばなし!
ほぼ2年に1冊というスローペースで続いている
自称「日本初☆農家エッセイ」マンガ。
第1巻の初版発売日が2009年12月25日だから
足かけ14年にも渡る長期連載だ。
さすがに初期の頃の破壊的なインパクトは薄れたものの
完全ブラックな労働環境や、全身生傷だらけのハレンチオヤジなど
ツッコミどころ満載の"モーレツ異文化ぶり"は、まだまだ健在。
エッセイマンガお約束の「作者&子供の変化+成長」もいい塩梅に加わっており
長期連載=マンネリ化の危機は、当分心配せずに済みそうだ。
ちなみに最新7巻は、時系列的に「新型コロナの流行」と重なり
十勝地方の農村における"パンデミック"がリアルに描かれていた‥‥とはいうものの。
都会(首都圏?)に暮らす作者一家が 「ゴールディンウィークは実家の畑を手伝いに行こうと思ってたけど こりゃしばらく帰れんなぁ」「じいちゃんち行きたかったなー」 などなど、完璧な外出自粛モードを強いられるいっぽう。 先日 母と電話しましたら。「実家は大丈夫? なんか困っていることない?」 「うーん‥‥ コロナに関しては特にないかな 気をつけてはいるけど‥‥ 元々過疎地の農村な上に ここ最近さらに過疎が加速しているから 人に遭遇しない。車社会だから公共交通機関使わないしね」
見事なまでの〈通常運転〉。どころか、マスクも消毒液も在庫アリアリなんだと、 「畑作も畜産も伝染病やらなんやらしょっちゅう経験してきてるから 農家は防疫に強いのよ」7-34p~
改めて大都市周辺で生活する我等とは、まるっきり異質な風土に暮らしているのだと、
痛感させられた。
てなわけで、今回の主題?に入ってしまおう。
本書の主な舞台である釧路地方を含む北海道と
うたたの感覚だと、"海外"になっている。
なにより、気候と風土が、本州(+四国&九州)とは、根本的に違う。
40数年をかけて実際に47都道府県をくまなく巡り
韓国・中国・台湾にも何度か足を運んだ経験から言わせてもらうと。
北海道より韓国のほうが本州(四国・九州)に近いし
本州より台湾のほうがず~っと沖縄に近い(距離的に考えても当然かな)。
つまり、何を言いたいのかというと。
たまたま成り行きでそうなっただけだろうけど
日本という国のなかには、"3つの海外がある!"ってこと。
もっと乱暴に呼ぶと、「北国(北海道)」「本土(本州)」「南国(沖縄)」だ。
ロシア・アメリカ・中国みたいに日本の数十倍もの広大な国から見れば
モビールみたいな"飛び石島国"が、何を有難がってんるだよ!?
とかなんとか、鼻で笑われかねないけど。
それでも、南北2000キロに及ぶビーズ細工のような国土を持つおかげで
「新型コロナ」が猛威を振るい、外国への旅が実質不可能な状況でも
外国の代替となる、北海道&沖縄に足を運べるおかげで
我ら"海外旅行中毒者"は、精神的にものすご~く助かっているのだ。
(実際、海外渡航不可となった最近2年で、北海道にも沖縄にも出かけている)
本書『百姓貴族』の中でも掻かれていたけど
第二次大戦(太平洋戦争)に負けたあと。
日本の国土が、米英中ソの4カ国に分割統治されなくて、ほんっっとによかった。
特に北海道の場合、一歩間違っていたらソ連(現ロシア)の支配下になってたわけで
北方領土同様、いまだに蚊の国の領土であり続けていたことだろう。
でもって、朝鮮戦争の代わりに日本列島戦争が勃発していても、不思議じゃない。
結果的には北海道・本州・四国・九州が安堵され
意外と脇が甘いアメリカさんから沖縄も返してもらえたわけだし。
――けっこう日本って、悪運強い国だと思う。
ま、例によって脱線しまくりだっけど
捧腹絶倒の異文化体験はもちろん
いまウクライナで着々と進むロシア軍の東部侵攻にもつながる領土問題を
"切実にして身近な危機"として再考できることでも
本書を強くお勧めしたい。
とはいえ実際のところ、眉間にシワが寄るような部分は、ほぼ皆無。
やっぱ、"ためになるバカばなし"・・これに尽きるようだ。
ではでは、またね。