歯科医院を受診するたびに"叱られる"違和感。 本日の”なんだかなぁ”

右下の奥歯で、エナメル質の虫歯化が進み

気づいたときには、歯根周辺の炎症が末期的な状態になっていた。

それでも、痛みなどの自覚症状はまったくなかったので

「とりあえずこのままで様子を見ましょう」、という歯科医の言葉に従った。

以来、早いもので二十数年。

ついに、というか、ようやく、疼くような痛みを感じるようになり

行きつけの歯科医院を、およそ3年半ぶりに受診した。

 

虫歯になったり、詰め物が取れたときなど

かれこれ四半世紀に渡って利用してきた歯科医院では

顔見知りの女性医師(先代のお嬢さん?)と

毎月顔を合わせているような、フランクなやり取りを交わし

以前と変わらぬ丁寧かつホスピタリティ溢れる治療を受けることができた。

おまけに、"こうなったら抜歯しかない"、と諦めていた患者(俺だ)に

「片方の歯根だけでも残せるよう頑張ってみます」と

極力歯を残す方針を示してくれたのは、本当にありがたかった。

 

なので、そこまでは、なにひとつ不満はない。

"ああ、またコレかよ・・と、ゲンナリしたのは

当座の治療が終わった後、強制的に受けさせられた

「歯・歯肉・口腔機能の状態・検査」

・・いわゆる〈歯周病チェック〉での顛末だ。

そう。針先のような器具で、歯茎をチクチク探られるアレである。

 

"歯と歯茎のスキマ"を、えぐりこむように検査したあと。

彼女(歯科衛生士だっけ)は、ボソリと告げた。

「前回の受診から、3年半が経っていますね」

まずこの冷たい語り口で(年に一度の検診をサボッたな)と、言外に責めていた。

――そりゃまあ、予防医療に費やすカネも時間も持ち合わせてないしね。

 

続いて、二の矢だ。

「奥歯を中心に、歯周病がかなり悪化しています」

――やれやれ、またこのフレーズか。

ここ四半世紀ほど、同じ歯科医院を受診するたび

毎回、判で押したように「歯周病が悪化している」との宣告を受けている。

とはいえ、記憶にある限り「歯槽膿漏」「歯の揺らぎ」「歯根の露呈」といった

歯周病由来の症状は。ただの一度も経験したことがない。

検査するたび、そんなにも〈悪化し続けている〉なら

とっくのとうに何本かの歯を失い、歯茎もグズグスに崩れているはずだ。

ところがギッチョン。

残念ながら?、こと永久歯に関しては

親知らず以外の歯は一本も失うことなく、60代の半ばを迎えている。

虫歯治療のため、神経を抜いたり被せ物をしたりと

決して美しい歯並びとは言えないものの

28本全員が、どうにかこうにか自力で立ち続けているのだ。

 

明らかに責める口ぶりはともかくとして

ことさら、今回受け持ってくれた歯科技工士(女性)にケチを付けるつもりはない。

ただ、ひたすら歯科医師サイドの価値観を盲信し

『定期的(年1回)な歯の管理(歯石の除去・歯ブラシの使い方指導)を受けない人は

 健康意識が低い自業自得のろくでなし』

みたいな態度と視線をちらつかせるのは、いかがなものだろうか。

 

そもそも、〈年一回(半年だったか)の受診は義務!〉みたいな決め付けは

絶対におかしいと思う。

むろん先方は「悪化する前の早期発見・早期治療こそ、最大の医療対策なり!」

という《予防医学のセオリー》にのっとって、進めているのだろう。

けれども、この〈予防医学〉自体が・・なんか、うさん臭いんだよな~。

 

たとえば、2019年10月に発表された

「歯肉炎及び歯周疾患(歯周病)の患者数は、398万3000人」

歯周病(4㎜以上の歯周ポケットがある)の有病率は、65~74歳で57.5%)」

要するに、全国民の3分の1以上、65歳以上の6割近くが歯周病患者なのだという。

当然うたたも〈4㎜以上〉だろうから、患者の内に含まれるんだけど。

――実際のところ、発症者に特有の"歯周病の症状"って、ある?

確かに、じわじわと虫歯の症状は進んでいるし。

今回のように、昔のずさんな抜歯により歯根に残った神経が腐って炎症を起こした。

といった、歯にまつわるトラブルにはしばしば悩まされているものの

歯周病関係で、通院が必要なほどの〈症状〉が出たことは、ただの一度もない。

 

だから――あくまでも個人的な印象だけど――

この〈歯周病の診断基準〉て、ムチャクチャ厳しすぎない??

言っちゃ悪いけど、"むりやり病気に仕立てている匂い"が、プンプン漂ってくる。

別にこれは、歯科に限ったことではない。

「高血圧」「高脂血症」「糖尿病」「骨粗しょう症」「鬱病」「認知症」etc.etc.

圧倒的大多数の〈病気とみなす判定基準〉が、著しく"健康の領域"にはみ出している。

本来なら、充分健康的な生活を送っている人に対して

「あなたは〇〇病にかかっている! すぐに治療を受けないと大変なことになるぞ!」

などと脅しつけ、実際は治療を必要としていない健康者に対しても、

毎月の受診や恒常的な投薬を強要し、検査漬け・投薬漬けを押し付けている。

そんな風にしか、思えないのだ。

 

実体験で言わせてもらうと

やはり20年以上前、慢性的な体調不良からとある大学病院を受診したところ

すぐさま「高血圧気味」「高脂血症気味」の2つのレッテルをペタリと貼り付けられ

以来、降圧剤とコレステロール値を抑える薬を毎月処方され

その代金だけで、毎月1万数千円を支払わされるハメになった。

しかし、いくら投薬を続けても数値は改善せず、そのくせ体調不良は収まっていたので

薬代を支払うのがバカバカしくなり、半年ほどで通院をやめてしまった。

それから20年余り。

定期的な健康診断を一度も受けぬまま(自営業なので義務化されていない)

毎日を過ごしているが、いわゆる〈生活習慣病〉による症状に襲われたことはない。

きっと血液検査を受ければ、「高血圧」や「高脂血症」との診断が下るのだろう。

だが、実態は、そんなものだ。

 

たとえいま、改めて検査をした結果、予想以上に数値が悪く

「薬を飲まないからここまで悪化したんだぞ」と医師に苦言を呈されようとも

20年以上もの間、あの辛気臭い待合室と診察室に貴重な半日を奪われ

受診料と薬代に年間20万円を支払い続けていたことを考えれば

すでに、充分モトは取れている。

少なくともうたた(俺だ)の場合は、言われるまま薬を飲み続けるより

毎日のウォーキングを心がけ、いくらか間食を控えたほうが

生活習慣病の改善(本当に存在するなら、だが)に役立った、ということだ。

 

ともあれ、それらを身をもって体験しているから

少なくとも生活習慣病(予備軍)に対する「投薬治療」なるものは

医者と製薬会社が仕掛けた《金儲けプロパガンダ》にすぎず

百害あって一利なし!ーーと、結論付けている。

 

むろん、もしものときの「保険」の意味で

年に一度の健康診断や人間ドックを受けるのは、個人の自由である。

でもそれは、生命保険など各種の任意保険に加入することとまったく一緒で

間違っても頭ごなしに強制・義務化されることではない。

ましてや、巷に溢れる「予防医学」を

医者の《金稼ぎの道具》としか受け止めていないうたたにすれば

"余計なお世話"以外の何物でもないのである。

 

てなわけで、今回の"お叱り"に対しても

表ヅラは「お節御もっとも」と殊勝に受け流しつつ

治療が完了した時点で、さっさと姿を消そうと思っている。

そもそも、口の中を診るたび、これみよがしに溜め息ついたりするから

定期的な受診から足が遠のくんだって、どうして気付かないんだろう。

 

結局のところ、誰も彼も、既存の『基準』を信じすぎているんじゃないかな。

巷に溢れる【判定基準】とか【(歴史的)事実】なんてものは

専門家を称する一部の既得権者が彼らの都合で勝手に決めたことに過ぎない

・・という程度のシニカルな感覚で受け止めといた方が

"裏切られた"ときのショックも少なくて、心安らかに生きていけるんだし。

 

ではでは、またね。