"特等席"で観る「日没スペシャル」 石垣島ふたり旅 2021.12.5-9 2日目(その4) 川平湾⇒御神崎

2021年12月6日(月) 白保海岸⇒ヤエヤマヤシ群落⇒川平湾⇒御神崎

 

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            西表島(上空の雲)に沈む夕陽
  
ヤシ林入口(バス停)から10分たらずで、右手にⓅの文字を発見。

道に沿った10台分ほどスペースに車を入れれば

そこが「川平湾を望むパーキング」だった。

車を降りて北側の柵に近付くと

その名の通り"絵に描いたような"川平湾のパノラマが!

 

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       緑の向こうに川平湾。なんかぞんざいな写真だな。

 

・・とはいうものの、あちこちで〈絶景慣れ〉していたので

どらちの口からも、「ふーん、綺麗だね~」

程度の軽い言葉しか出てこない。

予想外の好天だったし、こんなにも美しい風景なのに。

いいことも、悪いことも、あっという間に慣れてしまう生き物、それが人間だ。

――なんてキザったらしい感想を浮かべる間もなく、すぐに出発。

ここまで来たのだから、川平湾まで行ってみよう。

 

バケツの底のような逆Ω型の道をぐるっと回り込んでゆくと

急に建物や看板が目立ってきた。

やがて観光バスをはじめ、何台もの車が行き交い

それまでどこにいたのかと思うほど数多くの観光客が集うエリアが、見えてきた。

昨日の夕方、空港で見かけた修学旅行らしき学生服の姿もあった。

さすがは、石垣島一番の観光スポットだ。

 

うっかり無料駐車場の場所をチェックするのを忘れていたが

改めて探すのも面倒だったので

数台しか車が停まっていない広い有料駐車場に乗り入れる。

(有料といっても、1時間200円だった)

名物のグラスボート搭乗券売り場やら土産物屋が並ぶ坂道を降りてゆくと

ほんの2~3分で、白・水色・青色のグラデーションがまぶしい砂浜に出ていた。

 

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           波打ち際からのグラデーションが絶妙。

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             空の"絶景"も、忘れず楽しむ。

 

さきほど「絶景慣れしてしまった」とうそぶいていたくせに

気がつけば、デジカメとスマホを交互に取りだし、何度もシャッターを押している。

どんな景色なのか?

すごく乱暴に要約すれば、「南国の松島」あたりだろう。

白い砂と青い海、そして青い空。

"南国リゾート三点セット"に加え、緑に覆われた小島がそこここに浮かんでいる。

これを松島と呼ばず、なんと呼ぼうか。

いや、別に力説することでもないんだが・・

 

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       超有名観光スポットとはいえ、まだまだ客の姿は少ない

 

すぐ近くの砂浜から、10分おきぐらいにグラスボートが出発している。

どの船も、客の数は数人~10人程度と、決して多くはない。

新型コロナもだいぶ下火になり、人手が戻りつつあるといっても

最盛期には程遠いのだろう。

なにせ「コロナ前」の紹介文だと

朝一番に行かないと待ち時間なしでグラスボートに乗れない

くらいの盛況ぶりだったらしいからね。

 

こんなに天気がいいと、海中の珊瑚礁もよく見えるだろう・・

そう思いつつも、時刻はすでに4時過ぎ。

これからボートに乗ったら、夕陽が見れなくなるかも。

冷静に考えれば、日没まで2時間近くあるのに

なぜかそのときは間に合わないと思い込み、諦めてしまった。

例によって、これが"後悔先に立たず"のタネを撒いたとも気づかずに。

 

車に戻り、川平湾沿いに県道207号を南進。

79号と合流したあとは西へ西へと走っていくと

16時30前には、御神崎灯台の無料駐車場に車を停めていた。

・・日没まで1時間半近く。

やっぱり、ちょっと早かったかな。

でも、明るいうちに見て回れるから、よかったんじゃない?

同じように「夕景目当て」なのだろう。

2~3台並ぶ、どれもレンタカーナンバーの車を見ながら、岬へ向かった。

 

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       御神崎の灯台。ややずんぐりした可愛いシルエット。            

 

ガイドブックにも書いてあったが

確かに「石垣島には珍しい断崖絶壁」の上に、白い灯台が建っている。

灯台の足元から、さらに岬の突端部分へと続く遊歩道があり

これがなかなかスリリングだった。

一歩足を滑らせれば、そのまま海まで落ちかねないナナメった踏み跡をたどる。

珍しく、相方に声をかけられる。

そこ、危ないから、やめとけば。

平気だよ、これくらい。

口では強がるものの、身体は正直だ。

昔のように素早く反応しないことを肝に銘じ、"へっぴり腰"でそろそろと足を運ぶ。

風も強く吹きつけるし、久しぶりにゾクゾクしてしまう。

 

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        険しい岩が波間に浮かぶ。足元は・・かなりヤバい。

 

ともあれ、やせ我慢した甲斐もあり、突端からの眺めは最高だった。

だがいかんせん、風が強すぎる。

ダウンベストの上に、ウィンドブレーカーを羽織っていたが

1時間以上先の日没までここにいたら、風邪をひいてしまうだろう。

どこかに、のんびり待てる〈夕陽鑑賞スポット〉はないものか。

岬の先端から戻りながら、あたりを見回してみると――

断崖絶壁の反対側、草藪の獣道を抜けたところに

海に向かってなだらかな斜面を作る、牧草地のような草地が広がっていた。

日当たりが良く、海風も遮っているので、ここなら長居できそうだ。

ラッキーなことに、先客の姿もない。

――よし、ここで夕陽を待とう!

 

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   曇がちの到着時に撮った、"草地"の写真。この右奥に「特等席」が・・。

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          気根がいっばい。これも南国の木だ。

 

やや背の高い草叢の前に腰を下ろし、背負っていたデイパックを枕に横たわる。

頭上に広がる、青い青い空。

足の先には、太陽の"光の道が"まっすぐ伸びる海と、西表島のシルエット。

さっそく、常時携帯している文庫本を取り出し、読み始める。

少しずつ水平線(西表島)に近付く太陽を、ときおり眺めながらの読書タイムだ。

 

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              日没20分前。まだ雲が多い。

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           ギリギリになって、太陽出現!!

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               西表島に沈む夕陽           

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               残照が雲に映える

 

そのあと、どんな時間を過ごしたのか。

ちょっとでも、撮影した写真から感じていただきたい。

ただ、これだけは断言できる。

――こんなに気持ちよく日没を観たことは、後にも先にもない。

       

とにかくもう、これだけで、石垣島に来てよかった!!

そんな、幸せなひとときだった。

 

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      これでおしまい――と思ったら、"続き"があった!

 

ではでは、またね。