2021年10月5日(火) 京都市内
肩透かしを食らったような気分で
高山寺の表参道をトボトボと降りていく。
それでも、まるで山奥のようなうっそうとした森のなかを
マスクをはずして、思う存分深呼吸しながら歩けるというだけで
今どきの日常生活では、そうそう体験できない〈幸せ〉なひとときだった。
こんなに深い山合だというのに、住所は「京都市左京区」なのだから
どこまで広いんだよ、京都市!?・・・なんて突っ込みたくなる。
ともあれ、"高雄三尾巡り"のひとつ、高山寺の次は
地図(マップ)で確認したところ、そこまでの道のりは500m前後か。
7~8分も歩けば着いてしまう。
だが・・・その500mが、思いのほか、しんどかった。
なぜって、歩行者用の散策路が整備されておらず
ほとんどの行程で、周山街道と呼ばれる自動車道の路肩を歩かされたのだ。
しかもこの周山街道、京都の北西部を繋ぐ道が他にないためだろう
トラックなどの大型車が、かなりの頻度で往来している。
そのたび徒歩旅行者は、追い詰められたアリンコのように路肩に固まるしかない。
ブツクサ言っても、高山寺の境内を歩いている間は
自然度満点の、プチ・トレッキング気分で楽しめていた。
対して、轟音とともに去来するトラックに煽られ続けた、この十分足らずは
ひたすら耐える「苦行タイム」でしかなかったのだ。
てなわけで、高雄観光の注意点・その①
せっかくの〈自然体験〉が台無しになるぞ。
30分ほど歩かされた気分だったが
時計を見ると10分そこそこで周山街道から離れ
西明寺へと向かう間道に逸れることができた。
トラックのプレッシャーや騒音、排気ガスから解放され
車どころか人の気配もまったく感じられない下り坂を歩くこと、2~3分。
清滝川にかかる小さな朱塗りの橋・指月橋の前に到着。
これを渡って、登り坂&石段を数回スイッチバックして高度を稼げば
そこはもう、西明寺の門前だった。
指月橋。ここでようやく、ひと息。
とても風情のある、西明寺門前。
緑"したたる"境内の情景
今度は、いい意味で"予想を裏切られた"。
決して広い境内ではなかったが、本堂も庭も鐘楼も手入れが行き届いており
高山寺で受けた〈廃墟感〉は、カケラもない。
自動車道路のトラック攻撃でゲンナリしていたこともあり
たまらず庭園内のベンチに腰を下ろし、しばらくぼーっとしていた。
その間も、我々以外誰一人訪れるものはなく
静かな西明寺の境内で、傾き始めた午後のうららかな陽射しを浴びるのだった。
いたるところモミジだらけ。紅葉の時期はさぞかし綺麗な・・
ありがとう西明寺。おかげで、気持ちよく帰ることができたよ。
高雄といえば、もうひとつ、高野山真言宗の名刹「神護寺」が控えている。
当初のゆるい計画では、時間に余裕があればそちらにも寄るつもりだったが
途中の〈トラック地獄〉で受けたダメージが予想外に大きく
うーん・・高雄は、もういいかな。
という気分になっていた。
ひとまず西明寺でまったりできたから、今回はここまでにしとこうか。
急いで回れば行けなくもないが、時間に追われる旅ほど哀しいものはない。
相方とも意見が一致し、"鳥獣戯画と神護寺は次の機会に"ということになった。
来た時にメモしておいたバスの時間に間に合うよう
キリのいいところで西明寺を出発。
周山街道沿いにある槙ノ尾の停留場まで戻り
時間通りにやって来た四条烏丸行きのバスに乗った。
結局、高雄には正味1時間少々しか滞在していなかったが
それでも、往復のバス旅(計2時間)を含め
今まで訪れたことのない京都北西部への半日旅行は
豊かな自然のおかげもあって、思いのほか楽しむことができた。
・・ただ一点、〈トラック街道〉だけは、二度と歩きたくないけど。
しつこいかもしれないけど、この日の夕焼け空は凄かった。
西の空が赤く染まる頃、バスは四条烏丸に到着。
そこから東行きのバスに乗り換え、四条河原町で下車する。
目指すは、本日の夕食処。
昨年秋に訪れて以来、ぜひもう一度食べたいと思っていた「食堂デイズ」だ。
実はこの店、毎週水木曜日がお休み。
そう。予定していた琵琶湖東岸への小旅行を明日の水曜に偏向したのは
ここでディナーをいただくためでもあったのだ。
食堂デイズ。営業中は、前の路上に店名が丸く照射される
開店時間18時の5分ほど前、2階にある店の前に到着すると
我々の姿に気づいた店員さんが、一足早く中に招き入れてくれた。
まだ二回目なのに、すっかり常連気取りで席につき
黒板にチョークで書かれた、「本日のお品書き」を検討する。
一応、オムライス(卵料理)の評判が高いのだが
なんとなく目についたメニューを、相方と交互に注文した。
結局、この夜は
ゴボウのスープ。キュウリの??(忘れた)
鶏肉のタルタルステーキ。(生の鶏肉のタタキ!)
タイのカルパッチョ。・・などを、お酒とともにいただいた。
う~~ん、やっぱりおいしい!!
左が鶏肉のタタキ。初めての味覚に、舌もお腹もビックリ!
タイのカルパッチョ。店の得意技"煮凝りソース"が効いてる
見上げると、天井近くにワインラックが・・
コロナでなにかと大変だろうけど(この日もラストオーダーは20時)
どうか頑張って続けて欲しい、と切に願うのだった。
さあ、明日は京都を離れて近江へ。
近江八幡を中心に、琵琶湖東岸を旅するのだ。
ではでは、またね。