「国宝・鳥獣戯画」は遠かった 京都ふたり旅 2021.10.4-7 2日目(その3) 四条烏丸⇒🚌⇒高雄(栂ノ尾)~高山寺

2021年10月5日(火) 京都市

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              高雄を包む深い山並み

 

目的の「中華ランチ」は、無事達成。

さて残る半日、どう過ごそうか。

朝10時から午後1時近くまで歩きづめだったから

ここはバス1日券を活用した"食休み旅行"に、出かけたい。

そこで先ほど、ランチを待つ間に「観光マップ・バスなび」を広げ

小一時間ほどバス旅を楽しめそうなエリアを探してみると・・

地図の左上隅に、気になる一文を発見した。

 

「バス1日券」が高雄エリアでも拡大可能に!

 

この10月から値上げした(600円⇒700円)埋め合わせなのだろう

昨年までは1日券が使えなかった京都市東北部(高雄地域)にも

追加料金なしで行けることになっていたのだ。

しかも行程をチェックしてみたら、京都駅からバスで約1時間。

・・よし、ここに決めた!

 

ふたたび「バスなび」とにらめっこ。

現在地からバスを乗り継いで、最もスムーズなルートを調べると

四条烏丸始発で、高雄(栂ノ尾)行きのバスが出ていた。

始発なら、座れないことはまずないだろう。

それに、手近なバス停(祇園)から停留所4つしか離れていない。

 

てななけで、おいしい京都中華でいっぱいになったお腹を抱えつつ

東大路通りを八坂神社前までとことこ歩き

祇園の停留所から西行きのバスに乗ること、およそ10分。

地下鉄との連絡もあって、数十人の人がバスを待つ「四条烏丸」に到着した。

 

ここで、真っ先に確かめなければならないのは

「高雄(栂ノ尾)行きバス」の出発時間。

自前のスマホSIMフリー(基本オフライン)ため

どんな時間割かは、停留所で確かめないとわからなかったのだ。

バス待ち顔で集まる地元の方々にごめんなさいしながら

目指す「8番バス」の運行時間を調べてみると・・・

昼の時間帯は、1時間に1本か。

一番近い出発時間は、13時52分。

――なに、1分前だって!?

まさかタッチの差で、1時間待ちなのか。

いやいや、待て待て。

俺の腕時計は、たいてい1~2分早く動いている。

だったら、まだ「8番バス」は来ていないはず。

それに始発だから、時間前に出ることも考えにくい。

あたふたしている間にも、時計は54分を過ぎつつあったが

ここは、渋滞のため多少遅れている可能性のほうが高い。

諦めずに、しばらく待つことにした。

 

すると・・My腕時計で13時57分を過ぎたころ

大通りをゆっくりこちらに向かってゆっくり近づいてくる

緑色のバスを発見—―8番だ!

 

何事もなかったかのように(実際ないんだけど)

数分遅れの8番バスは停留所に横付けされ

これまた何事もなかったように、10人余りの人々が乗り込んでいく。

あわてて列の後ろに並び、無事、窓際の展望席につき

うららかな車窓風景をのんびり眺めながらのバス旅へと出発した。

 

最初の30分ほど、バスは太秦仁和寺近くの街なかを走っていたが

その後、道は一気に山間へと分け入っていく。

おしまいの10分ほどは、ほぼ完全な山道をくねくねと登り詰め

だだっ広い停車場の片隅にひなびたお茶屋が並ぶだけの終点・栂ノ尾に到着する。

下車するとき、運転士さんに声をかけられた。

「道の向こうに帰りのバス停があるから、時間を調べとくといいよ。

 バスの本数が少ないからね」

ちなみに他の乗客は、みな途中のバス停で下車しており

終点まで乗り続けたのは、我らふたりだけだった。

 

時刻は、14時45分。

緑の山々に降り注ぐ陽射しは、だいぶ傾き始めており

標高が高いこともあって、日陰に入ると肌寒さを覚えるほどだ。

・・・1時間遅いバスだったら、散歩を楽しんでいる余裕なんかなかったな。

行き当たりばったりながら、紙一重で高雄散策に間に合った

旅先での悪運だけはやたらと強い、いつもながらの凸凹コンビであった。

 

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           頭上にのしかかる「杉襖(すぎぶすま)」

 

さあ、なにはともあれ、行ってみようか。

終点停留所の脇に口を開けていた、高山寺裏参道目指し

長い登り坂を歩き始める。

両側から包みこむように聳える木立を抜け、一歩一歩踏みしめてゆく。

最近、ウォーキング以外の運動を怠っていたので、思いのほかシンドイ。

それしても、人の気配が希薄だ。

バスを降りたときに分かっていたけど、ほとんど参拝客を見かけない。

唯一、50mほど離れたところで、一人旅らしき若い女性が

ときどき写真を撮っていたが、それだけ。

高山寺自体が、「世界遺産」という言葉から予想していた華やかさとは程遠く

朽ち果てた城跡のような風情だったので

なおさら寂れた印象を抱いてしまったのだろう。

最も奥まったところに鎮座していた本堂も、予想外の質素さで

え・・これが世界遺産?と疑ってしまうような、素朴な建物だったし。

 

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   これが世界遺産!?・・いや、「石水院」をケチッたのが悪いんだけどね。

 

今になって思えば、なぜ"肩透かし"を食らったのか、理由は明らかだ。

参道の途中に道分かれした有料エリア、「石水院」に入らなかったためだ。

旅が、単なる〈確認作業〉に終わらぬよう

必要最低限の情報以外は、できるだ予備知識に組み込まないようにしている。

今回は、それが仇となったらしい。

実は、この入場料800円の「石水院」こそが

国宝・鳥獣戯画に出逢える《高雄随一の名所》だったようなのだ。

なのに、小さな立札に表示された「800円」を見て

・・茶室に入るだけで800円は、ちょっと高いな。

と、いつものケチケチ癖を発揮。

それ以上注意を払うことになく、素通りしてしまったのである。

もちろん、800円を高いと感じない方も多いだろう。

せっかく来たんだから、細かいことにケチるなという意見も。

でもこれって・・前日存分に"独り占め"できた「若冲」と同料金なんだよね。

 

実際、これまで数百カ所を数える美術館・施設などを訪れ

そのたび決して安くない料金と引き換えに〈拝見させて〉いただいたが

正直な感想が――えっ、これで✖✖✖円!?

と天を仰いだことが、"ブルータス、おまえもか"と嘆きたくなるほどあったわけで。

歳を重ねるほど、財布のひもがキツくなったのも

そうした痛い目に遭い続けた結果なのだった。

 

ま。要するに、「縁がなかった」ということ。

もしまた訪ねることがあれば、次回は入ってみようかな。

他はだいたい見てしまったしね。

 

高雄観光の途中になってしまったけど

気の向くまま書いていたら、ガス欠気味になったようだ。

続きは、また明日?ということで。

 

ではでは、またね。