2021年10月5日(火) 京都市内
高雄を包む深い山並み
目的の「中華ランチ」は、無事達成。
さて残る半日、どう過ごそうか。
朝10時から午後1時近くまで歩きづめだったから
ここはバス1日券を活用した"食休み旅行"に、出かけたい。
そこで先ほど、ランチを待つ間に「観光マップ・バスなび」を広げ
小一時間ほどバス旅を楽しめそうなエリアを探してみると・・
地図の左上隅に、気になる一文を発見した。
「バス1日券」が高雄エリアでも拡大可能に!
この10月から値上げした(600円⇒700円)埋め合わせなのだろう
昨年までは1日券が使えなかった京都市東北部(高雄地域)にも
追加料金なしで行けることになっていたのだ。
しかも行程をチェックしてみたら、京都駅からバスで約1時間。
・・よし、ここに決めた!
ふたたび「バスなび」とにらめっこ。
現在地からバスを乗り継いで、最もスムーズなルートを調べると
四条烏丸始発で、高雄(栂ノ尾)行きのバスが出ていた。
始発なら、座れないことはまずないだろう。
それに、手近なバス停(祇園)から停留所4つしか離れていない。
てななけで、おいしい京都中華でいっぱいになったお腹を抱えつつ
東大路通りを八坂神社前までとことこ歩き
地下鉄との連絡もあって、数十人の人がバスを待つ「四条烏丸」に到着した。
ここで、真っ先に確かめなければならないのは
「高雄(栂ノ尾)行きバス」の出発時間。
どんな時間割かは、停留所で確かめないとわからなかったのだ。
バス待ち顔で集まる地元の方々にごめんなさいしながら
目指す「8番バス」の運行時間を調べてみると・・・
昼の時間帯は、1時間に1本か。
一番近い出発時間は、13時52分。
――なに、1分前だって!?
まさかタッチの差で、1時間待ちなのか。
いやいや、待て待て。
俺の腕時計は、たいてい1~2分早く動いている。
だったら、まだ「8番バス」は来ていないはず。
それに始発だから、時間前に出ることも考えにくい。
あたふたしている間にも、時計は54分を過ぎつつあったが
ここは、渋滞のため多少遅れている可能性のほうが高い。
諦めずに、しばらく待つことにした。
すると・・My腕時計で13時57分を過ぎたころ
大通りをゆっくりこちらに向かってゆっくり近づいてくる
緑色のバスを発見—―8番だ!
何事もなかったかのように(実際ないんだけど)
数分遅れの8番バスは停留所に横付けされ
これまた何事もなかったように、10人余りの人々が乗り込んでいく。
あわてて列の後ろに並び、無事、窓際の展望席につき
うららかな車窓風景をのんびり眺めながらのバス旅へと出発した。
最初の30分ほど、バスは太秦~仁和寺近くの街なかを走っていたが
その後、道は一気に山間へと分け入っていく。
おしまいの10分ほどは、ほぼ完全な山道をくねくねと登り詰め
だだっ広い停車場の片隅にひなびたお茶屋が並ぶだけの終点・栂ノ尾に到着する。
下車するとき、運転士さんに声をかけられた。
「道の向こうに帰りのバス停があるから、時間を調べとくといいよ。
バスの本数が少ないからね」
ちなみに他の乗客は、みな途中のバス停で下車しており
終点まで乗り続けたのは、我らふたりだけだった。
時刻は、14時45分。
緑の山々に降り注ぐ陽射しは、だいぶ傾き始めており
標高が高いこともあって、日陰に入ると肌寒さを覚えるほどだ。
・・・1時間遅いバスだったら、散歩を楽しんでいる余裕なんかなかったな。
行き当たりばったりながら、紙一重で高雄散策に間に合った
旅先での悪運だけはやたらと強い、いつもながらの凸凹コンビであった。
頭上にのしかかる「杉襖(すぎぶすま)」
さあ、なにはともあれ、行ってみようか。
長い登り坂を歩き始める。
両側から包みこむように聳える木立を抜け、一歩一歩踏みしめてゆく。
最近、ウォーキング以外の運動を怠っていたので、思いのほかシンドイ。
それしても、人の気配が希薄だ。
バスを降りたときに分かっていたけど、ほとんど参拝客を見かけない。
唯一、50mほど離れたところで、一人旅らしき若い女性が
ときどき写真を撮っていたが、それだけ。
高山寺自体が、「世界遺産」という言葉から予想していた華やかさとは程遠く
朽ち果てた城跡のような風情だったので
なおさら寂れた印象を抱いてしまったのだろう。
最も奥まったところに鎮座していた本堂も、予想外の質素さで
え・・これが世界遺産?と疑ってしまうような、素朴な建物だったし。
これが世界遺産!?・・いや、「石水院」をケチッたのが悪いんだけどね。
今になって思えば、なぜ"肩透かし"を食らったのか、理由は明らかだ。
参道の途中に道分かれした有料エリア、「石水院」に入らなかったためだ。
旅が、単なる〈確認作業〉に終わらぬよう
必要最低限の情報以外は、できるだ予備知識に組み込まないようにしている。
今回は、それが仇となったらしい。
実は、この入場料800円の「石水院」こそが
国宝・鳥獣戯画に出逢える《高雄随一の名所》だったようなのだ。
なのに、小さな立札に表示された「800円」を見て
・・茶室に入るだけで800円は、ちょっと高いな。
と、いつものケチケチ癖を発揮。
それ以上注意を払うことになく、素通りしてしまったのである。
もちろん、800円を高いと感じない方も多いだろう。
せっかく来たんだから、細かいことにケチるなという意見も。
でもこれって・・前日存分に"独り占め"できた「若冲」と同料金なんだよね。
実際、これまで数百カ所を数える美術館・施設などを訪れ
そのたび決して安くない料金と引き換えに〈拝見させて〉いただいたが
正直な感想が――えっ、これで✖✖✖円!?
と天を仰いだことが、"ブルータス、おまえもか"と嘆きたくなるほどあったわけで。
歳を重ねるほど、財布のひもがキツくなったのも
そうした痛い目に遭い続けた結果なのだった。
ま。要するに、「縁がなかった」ということ。
もしまた訪ねることがあれば、次回は入ってみようかな。
他はだいたい見てしまったしね。
高雄観光の途中になってしまったけど
気の向くまま書いていたら、ガス欠気味になったようだ。
続きは、また明日?ということで。
ではでは、またね。