2021年10月4日(月) 新横浜⇒京都市内
豆餅の名店・出町ふたば。たぶん終日、行列ができてる雰囲気。
俗に「鴨川デルタ」と呼ばれるスポットは
下鴨神社を背に、高野川と鴨川が合流するところ。
昨年秋(11月)、名高い紅葉を見物しようと
京都駅前のホテルに荷物を預け、真っ先に嵐山へと繰り出した。
だがそこで待っていたのは、コロナそっちのけの大混雑。
歩けば歩くほど徒労感が増していき、たまたまやってきたバスに飛び乗って
逃げるようにたどりついたのが、ここだった。
幸い、観光客の喧騒はどこへやら。
家族連れやカップルなど地元の方々がのんびり過ごす姿に心癒され
ようやく「京都に来てよかった」と実感したものだ。
そんなわけで、今年の秋もまた
我らにとって〈京都の原風景〉とも言える、鴨川デルタを再訪。
川に面した斜面の一角に、よっこらしょと腰を下ろし
今しがた買って来た、「出町ふたば」の豆餅と田舎大福を頬張っていた。
話は、10分ほど前に遡る。
絶品のうどん✖鯖寿司を残らず腹に収め
大満足で「たまこまーけっと」を東に出ところ
すぐ左手に、やたらと人だかりのする店先を発見した。
ガイドブックで確かめると、老舗の和菓子処「出町ふたば」で
名物の豆餅などを求めて並ぶ人々だった。
折しもお昼ご飯を食べたばかり。
「なにか甘いものがほしいな~」と思っていた時だったので
迷わず行列の最後尾についた。
基本的に"待つのは嫌い"な、わがままコンビではあったが
行列といっても10人程度で、ほんの数分で買えそうだったからね。
歩道を行き交う人々の邪魔にならぬよう
専門の行列整理人が立って「行列ルート」をコントロール。
その指示に従って待つ事、2~3分。
ど・れ・に・しようかな‥‥
季節の栗シリーズも美味しそうだし。
あれこれ迷い、決めた頃には、注文カウンター?の前に到着。
結局、最初の希望に戻り、定番の「豆餅」と小倉あんの「田舎大福」に決める。
あっという間に、注文の順番がやってくる
どこで食べるのかは、相談せずとも意見は一致していた。
ころんとした二品が入った小さな袋を提げて
横断歩道と狭い緑地帯を東に抜ければ、そこはもう、鴨川のほとり。
三角形(デルタ型)に突き出した合流地点・鴨川デルタだ。
残念ながら、昨年11月に訪れたときとは違い、気温は秋よりも夏に近く
"日向ぼっこでもしながら食べよう"という気分には、なれない。
ほとんど日陰のないデルタ地帯は諦め、西を流れる鴨川沿いの斜面に
木陰になっている草地を見つけ、そこに座ってパクついた。
食べた感想は・・おいしい豆を使っていることは、間違いない。
くせもなく、甘みも抑えられていて、とにかく食べやすい。
安物にありがちな、保存料の臭み(えぐみ)は皆無。
まるで飲み物みたいに、すーっと、お腹に収まってゆく。
腹いっぱいでなかったら、何個でもイケてしまう"危なさ"を秘めている。
そう言えば、行列に並んでいるのも、観光客より地物の人の方が多かったな。
やっぱり、地元で愛され続けてる味は、間違いない。
・・などと、偉そうな能書きを頭の中でこね回していたら
右腕の二の腕あたりが、じわじわかゆくなってきた。
ああっ、さっそく虫に食われたな!?
日ごろから二酸化炭素の排出量が多いせいか、やたら蚊に食われる体質なのだ。
無駄とは知りつつ、ぷっくり腫れた辺りを左手でパタパタ払い、立ち上がる。
「行こう!・・虫がいる」
相方に号令をかけると、彼女も右ひじあたりをかきむしっている。
どうやら二人とも、ヤブ蚊あたりにご馳走を提供してしまったらしい。
大好きな鴨川デルタ。のんびりするにはちょっとばかし暑かった。
とにかく、ここから逃げなければ。
具体的な行き先を決めぬまま、緑の土手から脱出。
なおも両手でパタパタしながら、出町橋から鴨川デルタの直上へ。
さらに河合橋を渡ると、そこには地下鉄出町柳駅の出口が待っていた。
とはいえ我らの手中にあるのは、バスの一日乗車券。
ならば、ここの停留所に来るスの路線から、次の目的地を決めよう。
京都市内観光の必需品、観光マップ「地下鉄・バスなび」をガサガサと広げ
何度も書き替えられたダンジョンの地図を思わせる
複雑怪奇なバス路線図とにらめっこ。
出町柳駅前を経由するバスをチェックすること、しばし。
東西に延びるレインボーカラーの上、鋭角に曲がる青緑色の一本に目が停まる。
北に向かって伸びる4番線だった。
行き先をたどると・・下鴨神社を抜けて、洛北高校、そして上賀茂神社行きだった。
去年の秋は糺の森から下鴨神社にかけて、たっぷり散策したっけ。
ならば今年は、その続きで、上賀茂神社へ足を延ばそう!
しかも路線図を見る限り、途中の停留所は20を超えている。
少なく見積もっても、30分は乗り続けるはずだ。
昼飯以外、ほとんど歩きづめだったので
ひと休みするには、まさに格好のルートといえるだろう。
・・そのへんの意図を含めて相方に提案したところ、彼女も大賛成。
そう。国内外を問わず
〈(乗り放題の)交通機関に乗ってひとやすみ〉という時間の使い方は
乗り物&車窓風景が大好きな我々にとって
ほとんど抵抗できない"魅惑のひととき"なのだった。
※10年以上前、ヴェネツィアの水上バス(ヴァポレット)に乗り
一家4人で昼寝がてら、何時間もテラス席でまったりしていたことがある。
てなわけで、早くこいこい4番バス、と思う間もなく
賀茂大橋を渡ったバスがジャックナイフのように鋭角にハンドルを切り
こちらに向かってやってきた。
まさに路線図通りのコース取り・・4番バスだ!
念のため、胸ポケットの1日乗車カードを確認し
意気揚々と?バスに乗り込むふたりであった。
*すまん、だらだら書きすぎた。
眠くなってきたので、上賀茂神社は次回にて。
上賀茂神社・楼門。さすがは、京都最古の神社のひとつ。
ではでは、またね。