"世界で三番目に美しい本屋"「レロ・エ・イルマオン」階段裏の装飾
中央部分が公園になった市庁舎前の大通りを
300メートルばかり南に進むと
前方に古い街並み、右手やや上に教会の塔が見えてきた。
いよいよ、ポルトの旧市街だ。
黄色い声だらけの賑やかな集団が近づいてきたと思ったら
女子高生?の団体を満載した路面電車だった。
修学旅行なのだろうか、夕暮れどきのムクドリのように並んで座り
大きな声で歌っては、両手を広げ振り回していた。
緩い坂に沿って古風な建物が並ぶ旧市街の道路いっばいに
ティーンエイジャーたちの歓声と歌声がこだまする。
・・まさに、ザ・観光地といった雰囲気だ。
ゆる~い坂道がオシャレな、ポルト旧市街
地元のパン(お菓子)屋さん。何か買ったような気もするけど・・
この遊覧列車?に女子高生が鈴なりになっていた
教会前を右に進めば、「レロ・エ・イルマオン」。
そんな市電通りを、街のシンボル・クレリコス教会を正面に見て
右に100メートルほどのところに、目指す本屋はあった。
古いビルの一階部分に開いた戸口から、人が出たり入ったりしていた。
「レロ・エ・イルマオン」、世界的に有名な書店らしい。
よし、入ってみよう。
相方に声をかけ、入口に進むと
白いワイシャツ姿のグラサン男が行く手をふさぎ、話しかけてきた。
何かと思ったら「Ticket?」。
入場券を見せろ?
両手を広げて、そんなもんないよ、と答えると
道路の反対側に立つ白いプレハブ小屋を指差された。
「あそこで買ってこい」ってことだ。
え? いつから入場料を取るようになったんだよ。
「歩き方」に有料とは書いてなかったので
つい最近(今からだと5年錠前だが)徴収するようになったのだろう。
一瞬ーーじゃあ、もういいよ。
とヘソを曲げるが、すぐ――でも、せっかくポルトに来たんだぜ。
〈せっかく魔人〉が登場。
心の声に負け、道を渡って入場券を購入。
何かに負けたような気分でグラサン男に手渡し、店内へ。
人の少ない瞬間(これでも)を狙って、パチリ。
どこか生き物を思わせる木製の階段を中心に
アールヌーボーの時代にタイムスリップしたような光景が広がっていた。
・・なんて言ったらカッコ良すぎだな。
確かに、歴史を感じさせる凝ったインテリアには一見の価値を認めるものの
いかんせん、人が多すぎる。
1、2合わせてもバレーボールコートが2面入る程度の店内に
100人を超えるだろう観光客が、押し合いへしあい。
階段の上り下りすら、列に並んで待たないと、ままならないのだ。
もちろん観光客だから静かに整然と振舞うわけもなく
ペチャクチャ喋ったり笑ったりと、"書店におけるマナー"なんか気にもかけない。
本来の客(本を買いに来た)に出来るのは、せいぜいしかめ面をするぐらい。
・・なるほど、これじゃ、入場料を取りたくもなるよな。
思わず、傍若無人な観光客に荒らされる書店の関係者に同情してしまった。
※たぶん、常連客など地元の人は無料で入れるんじゃないかな。
入口のグラサン男も、全員からチケットを要求するわけじゃなくて
明らかに顔パスでスルーしていた人もいたし・・
ま、そうでもしなきゃ、今度は、本が売れなくなっちゃうもんな。
内部はほぼほぼ木造。どこを撮っても"絵"にはなる。
ちなみに、今回のポルトガル旅行3日目にして
初めて日本人観光客の姿を見たのも
ここ「レロ・エ・イルマオン」の店内だった。
要するに、団体ツアーにおける〈入場観光スポット〉になるほど
「有名な(見るべき)名所」になっていたってことだな。
すごいすごい。
朝とか夕方に入れば、もっとのんびり楽しめたかな・・
せっかくチケットを買って入ったわけだが
人混みと喧騒に耐えられず、ほんの10分ほどで退散することに。
時計を見ると、すでに2時を回っていた。
今からホテルに向かえば、2時30分のチェックインタイムにちょうどいい。
かさばる荷物と一緒の市内観光は、ここらで切り上げ
本日宿泊予定のホテルに向かうことに。
実は、今回ポルトで予約したホテル。
生まれて初めて、ネット(Booking.com)で申し込んだものだった。
これ以降、海外旅行は「航空券」のみ代理店を通じて購入。
その他の「移動」「宿泊」は、すべてネットで予約するスタイルへと変更。
おかげで、旅先(国)の選択肢ケタ違いに増え
オープンジョーなどの小技も使った"自由自在の海外気まま旅"へと
劇的ともいえる《バージョンアップ》を遂げたのだ。
で、その記念すべき第1回「Booking.com宿」こそ
とある旅行作家が著書の中で絶賛していた
はたして、ウワサは本当なのか?
少しばかりの緊張を胸に(なにせ初のネット予約ゆえ)
地下鉄に乗って、ポルト中心部の北にある、古城ホテルを目指す。
ではでは、またね。