2018年12月2日(日) ハノイ市内(バチャン往復)
ロンビエン駅すぐの鉄橋。本数が少ないので、地元民のたまり場に。
夜半過ぎまで下の歩道で若者たちが騒いでいたが
部屋と通りを隔てるのは、スダレみたいなスリットが入った木の扉一枚。
(おまけにボロくてきっちり閉まらない)
結局、ろくに眠れぬまま朝を迎えた。
3階の部屋から一階ロビー?に降り
小さなテーブルでフレンチトーストとコーヒーのシンプルな朝食をいただく。
家族経営のゲストハウスで、パンかフォーどちららか選ぶと
昨夜ゼロ距離で親愛の情を見せてくれた主人の奥さん?が、作ってくれた。
味の方は・・まあ、格安ゲストハウスだしね。
宿近くの旧市街。夜になると若者たちの"たまり場"に変わる。
ラオス(ルアンパバーン)からの帰途、ハノイに立ち寄ることにしたのは
あくまで、フライトスケジュールの都合によるものだった。
いっぽうハノイ⇒羽田が、0840発1505着。
要するに、当初の予定通りハノイで2泊した場合でも
自由に動けるのは2日目、まる1日のみ。
市内をぶらつき美味しいものを食べて、お土産を探すだけでいいかな。
(正直、ハノイ訪問は4or5度目。めぼしい所は回っていた)
ま、行ってから考りゃいいか・・というアバウトな気分だったもんで
ここに行きたい!これをやりたい! みたいな目標は何も立てていなかった。
そんなわけで、少々ベタつくフレンチトーストをいただきながら
さて、今日はどうしようかな? と考えたとき
まっさきに頭に浮かんだのが
2年ほど前に体験した『バチャン、死の行進』だった。
ハノイから路線バスに乗って30分ほどのところに
陶器の里と呼ばれる町・バチャンがある。
前々回?、ハノイを訪れたとき
ロンビエンバスターミナルに行き、バチャン行きのバスを待った。
ところが、「47Aのバスに乗る」とガイドブックに書いてあったのに
「47B」が先に来たので、"たぶん同じだろう"と安易に考え、乗ってしまったのだ。
その結果、途中まではバチャンに向かう川沿いの道を走っていたのだが
冷房の効いた車内でうつらうつらしているうちに、進行方向を変えたのだろう。
(たしか5~6月頃でメチャ暑く、バスターミナルでもぐったりしてた)
気が付いたときには、陶芸のトの字もない村はずれの広場に到着。
他の客が全員下りてしまったので、居坐るわけにもいかず、下車したのだ。
いちおう、バスの終点だけあって、周囲には屋台レベルの売店や
昼日中からなにもせずテーブル席で談笑する男たちがいた。
「ここはいったいどこなんだー!」と
響良牙のごとく途方に暮れる我々ふたりに
「バチャン?・・なら、ここじゃなくてあっちだよ」
斜め上45度に腕を伸ばして、目指す方向を示してくれた。
なるほど。じゃ、それほど遠くないんだろう。
そう考えて、教えてもらった方角に向かって歩き出した、のだが・・・
これまた、大甘だった。
道行く人や、庭先などに出ていた方々に「バチャンはどっち?」と尋ねながら
住宅街と農村地帯がミックスされたような道をたどるのだが
聞くたびに教えてくれる方向が異なり、そのたび右に行ったり左に来たり。
なにより、一年で最も暑い雨季のはじめ、それもお昼時とあって
真上から容赦なく突き刺さる陽射しが熱い、どころか・・・痛い!!
寂れたカフェで、その後腹痛の元になる生水氷入りのコーラを飲んだり
狂ったように吠え掛かる番犬にビビったりと
1時間以上さ迷った挙句、やっとこバチャンの入口にたどり着いたときには
ろくに店を回る気力もなく
ターミナルに停まっていた帰りのバスに乗って帰った。
・・いやはや、思い返しただけで疲れてしまった。
ともあれ、過ごしやすいこの時期ならリベンジに最適だろう、と思い立ち
2度目のバチャン行きにチャレンジしたというわけ。
ゲストハウスのある旧市街から北東に向かって歩くこと、およそ10分。
昨夜、空港バスから降りたロンビエン・バスターミナルに到着。
前回同様、「47B」のバスに乗る。
真っ先に路線図を確認してみたら
「47A」「47B」どちらも同じ「バチャン行き」になっていたのだ。
前回の"謎の終点"は、いったい何だったのだろう。
驚いたのは、バチャン行きバスに乗ろうとする人の多いこと。
あっというまに立錐の余地もないほど、ぎゅう詰めになってしまう。
そういえば、この日は日曜。
なにかイベントでもやってるのかもしれない。
幸い確保できた座席からホン川沿いの車窓風景を眺めつつ
渋滞気味の道を走ること、およそ40分。
バスは記憶にない大きな陶器店の前を通り過ぎ
見覚えあるバチャンのバスターミナルに滑り込んだ。
それにしても・・こんなにいっぱい陶器店があったっけ?
見渡す限り、といっていいほど陶器・陶器・陶器のオンパレード。
特設広場っぼいスペースは、細い通路沿いに数えきれない数の店が並ぶ市場状態。
そして細い路地のいたるところ、何かの祭りのように人・人・人だらけ。
ただでさえ人込みが苦手なタチなので、10分も歩かぬうちに
「掘り出し物の陶器を探そう!」という気分は消失した。
おまけに、排気ガスが凄い。
マスクを着けていても、容赦なく刺激臭が入り込んでくる。
バスを降りてすぐ、とめどなく鼻水が流れ出し、マスクの内側を伝ってゆく。
掘り出し物どころか、ティッシュを取り出しチーンするので手一杯だ。
この旅いちばんの熱気と活気を前に、相方もギブアップ気味。
散歩がてら、のんびり陶器を見にいこう!ーーなんて皮算用は、秒殺で崩れ去った。
日本から直接ハノイに来ていたら、ここまでダメージは受けなかっただろう。
なまじ5日間ほど、静かで大気汚染にも無縁なラオスで過ごしたことで
この〈静から動〉への落差を、数倍しんどく受け止めてしまったに違いない。
結局、百円ショップっぽい均一料金の店で、規格外の安物急須をひとつだけ購入。
あれほどリベンジに燃えていたにも関わらず
わずか1時間少々の滞在で、冷房の効いた帰りのバスへと退散したのだった。
・・・・ああ、疲れた。
まだまだ続く、路線バスの旅。
ではでは、またね。