2018年11月28日(水) ビエンチャン市内
ラオスのシンボル、タート・ルアン
これから訪ねようとしている「タート・ルアン」は
市内中央のバスターミナルから、北東に2キロ少々のところにある。
いつものペースで歩けば、30分ちょっとで着いてしまう。
だが今回優先すべき目的は、「路線バスに乗ること」。
ネットで入手した「路線図」と、ターミナルにあった「バスルート」を見比べ
「タート・ルアン」の近くを通るバスを探し、該当する番号を待つことに。
しばらくすると、目指すナンバーを掲げたバスが駐車スペースに入って来た。
すぐ、何名かの〈バス待ち人〉が立ち上がり、乗車口に向かうものの
ここでも先を争って急ぐ人は、ひとりもいない。
みな、静かに列を作り、順番にゆっくりと乗り込んでいく。
乗車してすぐ、若い女性の車掌に行き先を告げ、料金を支払う。
確かひとりあたり、3000キープ(40円弱)。
我々が乗り込んだ後、バスはすぐに発車した。
乗り心地は、日本のバスと一緒。
たぶん京都市内を走っていた日本製のバスなのだから、当たり前だ。
多少混雑したバスターミナル付近を抜けると
ほんの数分で、四方に視野が開けていく。
何かの建築予定地なのだろう。
田んぼや畑ではなく、だだっ広い空き地ばかりだった。
そんなふうにぼーっと景色を眺めていると
車掌さんが、我々に声をかけて来た。
どうやら、次が「タート・ルアン」の最寄り停留所らしい。
慣れないラオス語で「コーブ・チャイ(ありがとう)」と告げると
恥ずかしそうに笑い返してくれた。
サッカー・スタジアムが2つ以上入りそうな巨大駐車場
思い出したように国旗が立っている
気分よく降りたところで、四方を見回し、寺院の尖塔を探す。
だが、それらしきものは、どこにも見つからない。
慌ててグーグルマップを開き、現在地を確認すると
・・「タート・ルアン」から500メートルほど北西の位置。
確かに〈最寄りのバス停〉ではあったが、まだかなりの距離を残していた。
仕方ない、歩こう。
真夏のような陽射しに照り付けられながら、南北に細長い公園を縦断し
東京ドームが入りそうな駐車場(国会議事堂前だった)を斜めに横切っていく。
7~8分かけ、ようやく「タート・ルアン」の黄金の塔が、目の前に現れた。
軒を連ねる「仏花」の屋台
おりしも入り口前の広場では、十数名の人が忙しそうにしていた。
大きなテントの下にテーブルや折り畳み椅子を並べているところを見ると
何かのイベント会場を設置しているようだった。
毎年10~12月、全国各地から僧侶が集まって「お祭り」が開催されるというので
たぶんその準備なのだろう。
雰囲気から推測すると、明日明後日にも始まりそうだった。
だが、明日はバンビエンまで行かねばならない。
縁がなかったと諦め、入口で入場券を購入。
献花やお線香の屋台の前を通り過ぎ、小さな門をくぐっていく。
と・・目の前に、金色の塔の連なり。
その真ん中に、ひときわ高いとんがりコーン。
仏舎利が納められたタート・ルアンの、本体?だ。
あいにく信仰心は皆無なので、特別な感慨がわき上がることはなかったが
きつい陽射しを遮る一辺85メートルの正方形の回廊を巡りつつ
強い陽射しを浴びて黄金色に輝くビエンチャンのシンボルを
ゆっくり鑑賞する。
ド派手な祭壇
ここでもドラゴンは"神の使い"
左端に「お参り」するラオスの方々
入場者は、我々を合わせても10名そこそこ。
でも、その静けさが、とても心地良い。
願い事が叶った御礼参りなのか。
ラオス人らしき家族連れが、火の点いた線香の束を体の前に両手で掲げ
ゆっくり塔の周りを歩く姿が、印象的だった。
さすがに信仰心の篤い国なんだなぁ。
と、感心して直角の回廊を進み、入口の反対側に回り込むと
塔の入口の階段で、本格的な撮影機材の前に立つカップルの姿を発見。
ふたりとも、オシャレなスーツとドレスで着飾っている。
あ、これは、新婚さんだ。
結婚アルバムを作成するため、各地の名所で記念撮影しているのだった。
このあたりの、いわゆる〈記念写真文化〉、中華圏と一緒らしい。
やはり新婦のほうが嬉しそう
すべてを優しく見守るまなざし
ラオスの人々の宗教観&結婚観を覗き見しただけで
暑さと乾きにバテバテになってきたので、タート・ルアンを後にした。
どこでもいいから、ひと休みして、冷たいものを飲みたい。
寺院から正面に伸びる大通りに出ると
すぐ右手に、欧米(スタバ?)風のこじゃれたカフェを発見。
その名もCafe Amazonに入り、テラス席でアイスコーヒーをいただく。
ラオスとは思えない(失礼)レベルの高い味に大満足。
目の前の通りを静かに行き交う車やリキシャ(三輪バイク)を眺め
ぼーっと時間を過ごすうち
海外旅行の始まりにつきまとう緊張感と警戒感が、薄れていく。
昨夜の入国以来、半日余りが過ぎたが
その間、しつこい物売りや客引きには一度も遭遇せず
観光客目当ての悪質ドライバーらしき輩にも、出会うことがなかった。
"騙される方が悪い"という東南アジアへの心構えは
ここラオスに限っては、いっぺん白紙に戻したほうがよさそうだ。
これから先は、もっとゆったり構え、《楽しむこと第一》で旅してみよう。
――ようやっと、「ラオスの旅」の方向性が定まった。
ではでは、またね。