心がゆっくりほどけてゆく ラオス(&ハノイ)ふたり旅 2018.11.27-12.4 2日目(その2)

2018年11月28日(水) ビエンチャン市内

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         ラオスのシンボル、タート・ルアン
 

これから訪ねようとしている「タート・ルアン」は

市内中央のバスターミナルから、北東に2キロ少々のところにある。

いつものペースで歩けば、30分ちょっとで着いてしまう。

だが今回優先すべき目的は、「路線バスに乗ること」。

ネットで入手した「路線図」と、ターミナルにあった「バスルート」を見比べ

「タート・ルアン」の近くを通るバスを探し、該当する番号を待つことに。

しばらくすると、目指すナンバーを掲げたバスが駐車スペースに入って来た。

すぐ、何名かの〈バス待ち人〉が立ち上がり、乗車口に向かうものの

ここでも先を争って急ぐ人は、ひとりもいない。

みな、静かに列を作り、順番にゆっくりと乗り込んでいく。

 

乗車してすぐ、若い女性の車掌に行き先を告げ、料金を支払う。

確かひとりあたり、3000キープ(40円弱)。

我々が乗り込んだ後、バスはすぐに発車した。

乗り心地は、日本のバスと一緒。

たぶん京都市内を走っていた日本製のバスなのだから、当たり前だ。

多少混雑したバスターミナル付近を抜けると

ほんの数分で、四方に視野が開けていく。

何かの建築予定地なのだろう。

田んぼや畑ではなく、だだっ広い空き地ばかりだった。

 

そんなふうにぼーっと景色を眺めていると

車掌さんが、我々に声をかけて来た。

どうやら、次が「タート・ルアン」の最寄り停留所らしい。

慣れないラオス語で「コーブ・チャイ(ありがとう)」と告げると

恥ずかしそうに笑い返してくれた。

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      サッカー・スタジアムが2つ以上入りそうな巨大駐車場

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          思い出したように国旗が立っている

 

気分よく降りたところで、四方を見回し、寺院の尖塔を探す。

だが、それらしきものは、どこにも見つからない。

慌ててグーグルマップを開き、現在地を確認すると

・・「タート・ルアン」から500メートルほど北西の位置。

確かに〈最寄りのバス停〉ではあったが、まだかなりの距離を残していた。

仕方ない、歩こう。

真夏のような陽射しに照り付けられながら、南北に細長い公園を縦断し

東京ドームが入りそうな駐車場(国会議事堂前だった)を斜めに横切っていく。

7~8分かけ、ようやく「タート・ルアン」の黄金の塔が、目の前に現れた。

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              軒を連ねる「仏花」の屋台

 

おりしも入り口前の広場では、十数名の人が忙しそうにしていた。

大きなテントの下にテーブルや折り畳み椅子を並べているところを見ると

何かのイベント会場を設置しているようだった。

毎年10~12月、全国各地から僧侶が集まって「お祭り」が開催されるというので

たぶんその準備なのだろう。

雰囲気から推測すると、明日明後日にも始まりそうだった。

だが、明日はバンビエンまで行かねばならない。

縁がなかったと諦め、入口で入場券を購入。

献花やお線香の屋台の前を通り過ぎ、小さな門をくぐっていく。

と・・目の前に、金色の塔の連なり。

その真ん中に、ひときわ高いとんがりコーン

仏舎利が納められたタート・ルアンの、本体?だ。

あいにく信仰心は皆無なので、特別な感慨がわき上がることはなかったが

きつい陽射しを遮る一辺85メートルの正方形の回廊を巡りつつ

強い陽射しを浴びて黄金色に輝くビエンチャンのシンボルを

ゆっくり鑑賞する。

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              ド派手な祭壇

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          ここでもドラゴンは"神の使い"

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                                   左端に「お参り」するラオスの方々

 

入場者は、我々を合わせても10名そこそこ。

でも、その静けさが、とても心地良い。

願い事が叶った御礼参りなのか。

ラオス人らしき家族連れが、火の点いた線香の束を体の前に両手で掲げ

ゆっくり塔の周りを歩く姿が、印象的だった。

さすがに信仰心の篤い国なんだなぁ。

と、感心して直角の回廊を進み、入口の反対側に回り込むと

塔の入口の階段で、本格的な撮影機材の前に立つカップルの姿を発見。

ふたりとも、オシャレなスーツとドレスで着飾っている。

あ、これは、新婚さんだ。

結婚アルバムを作成するため、各地の名所で記念撮影しているのだった。

このあたりの、いわゆる〈記念写真文化〉、中華圏と一緒らしい。

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             やはり新婦のほうが嬉しそう

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             すべてを優しく見守るまなざし

 

ラオスの人々の宗教観&結婚観を覗き見しただけで

暑さと乾きにバテバテになってきたので、タート・ルアンを後にした。

どこでもいいから、ひと休みして、冷たいものを飲みたい。

寺院から正面に伸びる大通りに出ると

すぐ右手に、欧米(スタバ?)風のこじゃれたカフェを発見。

その名もCafe Amazonに入り、テラス席でアイスコーヒーをいただく。

ラオスとは思えない(失礼)レベルの高い味に大満足。

目の前の通りを静かに行き交う車やリキシャ(三輪バイク)を眺め

ぼーっと時間を過ごすうち

海外旅行の始まりにつきまとう緊張感と警戒感が、薄れていく。

 

昨夜の入国以来、半日余りが過ぎたが

その間、しつこい物売りや客引きには一度も遭遇せず

観光客目当ての悪質ドライバーらしき輩にも、出会うことがなかった。

"騙される方が悪い"という東南アジアへの心構えは

ここラオスに限っては、いっぺん白紙に戻したほうがよさそうだ。

これから先は、もっとゆったり構え、《楽しむこと第一》で旅してみよう。

――ようやっと、「ラオスの旅」の方向性が定まった。

 

ではでは、またね。