2018年11月28日(水) ビエンチャン市内
ビエンチャン市内で、日本から贈られたバスが大活躍
昨夜から感じていた不思議な静けさは
朝になっても変わらなかった。
一国の首都、それも大通りから50メートルも引っこんでいないのに
ベトナムやマレーシアでは必ず耳に入ってくる「朝の喧騒」が
見事なまでに欠落しているのだ。
バリ島ウブドのリゾートホテルでもあるまいに
まさか、野鳥のさえずりで目覚めることになろうとは・・
ともあれ、東南アジア最初の朝とは思えない快適な朝を迎え
朝食もそこそこに、我々が取り掛かったことがある。
それは――ラオス国内における移動手段の確保。
実は、今回の旅では、事前に予約できたのは
行きと帰りの飛行機チケットと
各宿泊予定地のホテルバウチャーのみ。
長距離バスを使い、2日がかりで移動。
だが、そのチケットは日本から予約できず
現地のホテルなどで購入するしかなかったのだ。
ちなみに、事前に我々が立てた移動&宿泊計画(予定)は・・
翌29日にビエンチャン⇒(約4時間)⇒バンビエン(1泊)
翌々30日にバンビエン⇒(約5時間)⇒ルアンパバーン(1泊)
というもの。
つまり、本日中に翌朝出発のバスチケットを入手せねば
移動計画そのものが「絵に描いた餅」になってしまうのだった。
もちろん、事前の情報によると、多数の会社が専用のバス便を何本も走らせており
乗りそびれる危険はほとんどないとのことだったが
それでも実際にチケットを手に入れるまでは、観光気分にはなれない。
てなわけで、1階ロビーのレセプションにいた若者に
さっそく「明日の朝、バンビエン行きのバスチケットを手配できるか?」。
細身&短髪の彼は、ふわっと笑うと、「オフ・コース」。
あっと言う間に、ビエンチャン10時発、バンビエン14時着の
大型バス(VIPと呼ばれている)のチケットを確保。
先に支払いも済ませることに。
やれやれ、これでまずは、ひと安心。
現金なもので、ホッとするとお腹が空いてきた。
ヴィエンチャンの宿泊では朝食付きを選ばなかったので
そのまま朝ごはんを食べに、外へ出ていく。
いまだ朝の8時台ということもあるのだろうが、辺りは静かなまま。
大通りに出れば、そこそこ車は行き交っているのに
急発進・急ブレーキどころか、前が空いていてもスピードを出さないので
ほとんどエンジン音が聞こえてこない。
おまけに、誰もクラクションを鳴らさないのだ。
なんだ、この街は?
これまでに訪ねた東南アジア諸国とはまったく異なる
〈奥ゆかしさ〉としか形容しようがない静寂が、めちゃくちゃ心地いい!
いたるところに、この手の「祭壇」が立っている
黄色い衣をまとった少年僧と、何度かすれ違いながら
静かな通りを右へ左へ歩くこと、およそ1キロ。
ネットで目をつけておいたフォー専門店「Pho Zap」に到着する。
2日目最初の食事をいただく。
・・旨い!
昨夜も感じたことだが、予想以上に料理のレベルが高い。
タイやベトナムほど香辛料に頼らず、その分素材の味を活かす姿勢は
どこか日本料理にも通じるところがあり、なんだかとてもホッとするのだ。
道路の真ん中にも「仏塔」がそびえている
静かで開放的な「Pho Zap」で腹ごしらえを済ませ
本格的な町歩きをスタートさせる。
いたるところにニョキニョキ立っているパゴタ(仏塔)を鑑賞しつつ
最初に向かったのは、ヴィエンチャン最大級のマーケット「タラート・サオ」。
高くても3~4階建ての街並みのなか
8階建てのショッピングセンターは、それだけで一大ランドマークだ。
しかし、我々の目当ては、この巨大ビルではなく
その東側に広がる、オール平屋造りの市場「タラート・クアディン」。
主に食料品を扱う小さな店がひしめき合って軒を連ね
中に入れば方向を見失うほど、迷路じみた造りになっている。
行き交う人の数も多く、当然市場ならではの喧騒が渦巻いて・・と、思いきや。
やっぱりここも、異様なほどひっそりしていた。
むろん売り買いや、値段交渉をする声が聞こえない訳ではないが
とにかく喋り方が、穏やかで柔らかい。
おまけに、声のボリュームが小さい。
だから、ざっと見渡しただけでも百人ばかりが目に入るのだが
耳に飛び込む音量となると、限りなく無音に近くなってしまうのだ。
ホント、静かなんだよな・・
「掛け声」「客引き」のたぐいは、一切なし
さっきから、何を興奮してるんだ?
とか思うかも知れないが、オセロゲームで大逆転負けを食らった瞬間みたいに
「喧騒のアジア」という黒駒が
一気にパタパタバタと「白駒=静寂のアジア」に転じたような衝撃だった。
そんなふうに大騒ぎした割には、なにも購入せずに市場を抜けて
隣接するビル群「タラート・サオ」に至っては、入口からちょっと入ったところで
・・はいはい、ナウなヤングのショッピング・モールね。
明らかに中国資本が入った定番のたたずまいを確認し、そそくさと退散。
とりあえず、ここで買いたいものは何もないとわかったので
すぐ近くにある、バスターミナルに向かうことに。
おそらく、ビエンチャンで一番賑やかな場所なのだが・・
異様に静かなビエンチャンの街とはいえ
さすがにここは大勢の利用客とバスで、ごった返し状態だった。
だが、混雑ぶりより目を引いたのは、並んで停車しているバスの正面。
なぜか、日本語で記されたパネルが掲げてあったのだ。
改めてバスを見ると、これまたどこか見慣れたたたずまい。
そう。ビエンチャンを走るバスの大半は
日本の京都市から寄贈されたものだったのだ。
やるじゃん、日本も。
ちょっとだけ、誇らしい気分だった。
はるばる京都から、やって来た
ともあれ、次なるミッションは、
この路線バスに乗って、ビエンチャンのシンボルとも呼ばれる寺院。
「タート・ルアン」を訪ねること。
果たして、ラオス発の路線バスを、見事乗りこなせるのだろうか?
・・と、中身に釣り合わぬ大げさなフリで、旅は続く。
ではでは、またね。
いのいちばんに我々が