ヘンな民族・日本人の〈正体〉がわかる! 『逆説の日本史①~㉒』井沢元彦 周回遅れの文庫Rock

今を去ること40年ほど前(そんなに昔のことか!)

梅原猛の『隠された十字架』に出逢い

おもっきし頭の中を"ちゃぶ台返し"されて以来

消えることがなかった《現行日本史に対する疑問と不信感》。

それを、サターンロケットのブースターのように

遥か宇宙空間へと飛び立たせてくれたのが

1990年代の前半に始まった(なんとこれも30年前のできごとだ)

井沢元春著『逆説の日本史』シリーズ゛であった。

 

〈井沢史観〉とも呼ばれる彼の日本史解釈?は

不世出の哲学者・梅原猛が唱えた「怨霊信仰」の上に

「ケガレ忌避」「言霊信仰」という、新たな2大要素を付け加え

日本の歴史は「ケガレ忌避」「言霊」「怨霊鎮魂」抜きには考えらない――と宣言。

さらに、法的・倫理的規範を超える「話し合い絶対主義」は日本独自の「宗教」

「勝ち組」が「負け組」に名誉を譲る国の「和」と「怨霊鎮魂」等々

きわめて斬新かつ明快なビジョンを次々発表。

名だたる専門家が満足に説明できなかった〈日本史への素朴な疑問〉を

素人にも納得できるかたちで、ズバズバ解き明かしてみせた。

 

さらに、日本の歴史学界および歴史学者は、あまりにも極端な実証主義

わかりやすく言えば「証拠になる史料が存在しなければ対応する事実もない」

という概念にとらわれ過ぎている。など、既存の権威への疑問を表明。

(現存する!?)史料に書かれていないことは、存在しない(!???)・・といった

「史料原理主義」としか呼びようのない〈原則〉を死守し続ける

日本史学界の"常識外れ"ぶりを、ひとつひとつ事例を挙げて論破していく。

 

※例えば、時の為政者が書き残したことを一言一句正しい事実だと鵜吞みするのは

 いまどきの小中学生でも「おかしい」と思うだろう。

 もし自分が〈残す側の人間〉だったら、都合の悪いこと、負い目になることを

 わざわざ暴露し、自己を貶めることなど、ありえないからだ。

 ところが学者のみなさんは、それを「100%真実だ!」と断言してしまう。

 ・・あまりに幼稚で、あまりに現実を無視した〈史料絶対主義〉。

 それこそ、2020年の今も変わらぬ、日本史学の「常識」なのである。

 

――てな感じで、いちいち事例を挙げていったら

それこそ、一冊の本が書けてしまうだろう。

むろん、コピペと受け売りだらけのクズ本にしかならないが。

 

ともあれ四半世紀、22巻+αの特大ボリュームを費やし

日本史にまつわる長年の疑問に明快な答えを出し続けている「井沢史観」。

しかし、今なお彼の唱える〈名解答〉は、

ことごとく《異端》《根拠なし》《常識外れ》と、無視されたまま。

でもって、その理由が――

「お前の主張することはどの史料にも載ってない。従って、全部でたらめだ」

なのだから、そもそも議論にすらならない。

 

いや、別に俺はどっちが正しくても構わないんだぜ。

ただ、単なる「美談」「友情」性善説」ぐらいで説明できるほど

日本の歴史(人間)てのは、単純なもんじゃねーだろ

せめて良くできた小説を読んだ時みたいに

「なるほど、そうだったのかー!」と

心から納得できるような、リアリティのある歴史を体験したいだけなんだ。

 

そもそも、日本史に対する?を目覚めさせたくれた

梅原猛の『隠された十字架』。

あれも、学界からは総スカンされてっけど

だったら、シロートのオイラにも納得いく「正解」を教えておくれよ。

〇どうして、法隆寺の正門の真ん中には、

 何かを阻むように、ぶっとい柱が突っ立っているのか?

※北京の紫禁城だって、建物の中央ラインは「天子様のための専用通路」。

 下々の者が立ち入ることは、決して許されなかった。

〇どうして、法隆寺秘仏百済観音の後頭部にはぶっとい釘が突き立ち

 動き出すことを恐れるように、光背(背後の板)に縫い止められているのか?

※神像(神様)の頭を釘で打ち付ける。これが〈怖れ〉以外のなんだというのか。

 

40年後の今も、脳裏に刻み込まれている、この2つの謎に

「なるほど、そうだったのか!」と納得(感動)できる答えを提示してくれたのは

歴史学者ではなく哲学者・梅原猛、ただひとり。

どのみち『すべての学説は仮説』なのだから、

自分が納得できる考え方を採用するのは、当然だよね。

 

話題が梅原方面に逸れてしまったけど

井沢史観は、いわばその「発展型」にして「改訂版」なわけで

ますます我らがシロートの《納得感》と《エウレカ!感》を高めてくれる。

もし未読の方がいらっしゃったら、ぜひ!

 

・・でも、各巻文庫で600ページ前後を22冊読み通すのはちょっと。

という向きには、『㉒明治維新編』がオススメ。

ラスト第六章に「補遺編」が設けられ、

連載開始以来の四半世紀の間に明らかになった新事実を

伝家の宝刀《井沢史観》で、バッサバッサと斬りまくっている。

この一冊で〈心の色メガネ〉が粉々になる経験をしてしまった人は

きっと、第一巻から読み直さずにはいられなくなる。

 

あと、書き忘れたけど

《井沢史観》を使って今の世の中を見ると

政治・経済・外交・文化・芸能・スポーツetc

この国で起きる様々なモノゴトの〈裏側〉が、すっごい、よくわかる!

ホント、メチャクチャ応用が利くから。

間違いなく、"ひと粒で百倍おいしい"読書体験になるはずだ

 

他にももっと言いたいことがあったけど

書いてる途中で、ポロポロ落っことしてしまった。

機会があれば、また寄り道しよっと。

 

ではでは、またね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 

 

「怨霊鎮魂」

「宗教的影響の無視・無知」

「史料絶対主義」