親切すぎるぞハバナびと キューバふたり旅 20220.2.26-3.5 2日目(前編) 

2020年2月27日(木) ハバナ市内

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カーサ(宿)の入口扉

日本との時差14時間に加え、「トイレ断水事件」も影響したのだろう

疲労困憊にも関わらず、夜中から明け方にかけて何度も目が覚め

相変わらずぼやけた頭のまま、キューバ最初の朝を迎える。

それでも昨夜の機内食以来、コップ一杯の湯冷まししか口にしてなかったので

朝食が始まる8時を待って、食堂に指定されていた屋上へと向かう。

時間ちょうどにテーブルに着いた我々の2~3分後。

昨夜と同じ奥さんが階段をのぼってきて、柔らかい笑顔を浮かべて、オラ。

我々の横手を通り過ぎ、奥の調理場へゆっくりと歩いていく。

・・あーー、こういうテンポで暮らしているんだ。

ならば、郷に入っては郷に従え。

あわてず急がず、のんびり待つことにしよう。

 

朝のさわやかな微風を感じつつ、屋上からの眺めを楽しむ。

一応、旧市街の一画にあたるのだろう。

周囲の建物は、我々が泊まったカサと似たり寄ったりの3~4階建てがメイン。

ただし、朝の光の下で見ると、かな~りボロい。

外装はあちこちハゲまくり、壁面のいたるところにひび割れや崩壊が生じている。

日本であれば廃墟と呼ばれるに違いない、年代ものの建物ばかり。

・・の割には、どこか明るい雰囲気が漂っているのは、旅行者のひいき目か。

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路上の車もクラシック

数分後、マンゴージュースが運ばれてきた。

その10分後に、ホームメイドのホットサンド。

さらに15分前後で、コーヒーが提供され、それで朝食は終わり。

シンブルだけど、周りの景色を含めて、おいしくいただき

お腹に入れることで、元気が出て来た。

それじゃあ、いっちょやったるか!

 

部屋に戻って、この日の行動予定を確認する。

いつもそうだが、旅先到着した直後は、「やらねばならぬこと」が目白押し。

今回も、最優先のミッションが、いくつか控えている。

まず、明日(3日目)に向かうトリニダー行きバスに乗るための集合場所を確認。

つぎに、インターネット環境確保のため、プリペイドSIMカードをゲット。

もひとつ、兌換ペソから人民ペソへの両替。

(説明するとややこしくなるので、とりあえず後回し)

ランチタイムまでに、この3項目をクリアすることが、当初の目的だ。

 

.朝9時30分。

必要な荷物だけ肩掛けバッグとデイバックに詰め、カーサを出発。

あちこち舗装がはげ、地面がむき出しになった道路を

点在する犬のフンや生ゴミを避けながら

ハバナ最大の観光スポット〈旧市街中心地〉を目指して歩く。

幸い、日本でダウンロードしておいた地図が問題なく利用できたので

オフラインのグーグルマップを頼りに、さくさくと進んでいく。

 

街並の雰囲気は、ひとことで言えば「スペイン風」。

そりゃそうだ、元々スペインの植民地だったんだから。

しかし道沿いに連なる建物は、どれもこれも明らかに年代もの。

外装にはパステルカラーが多く使われ、一見オシャレにも見えるが

年増ホステスの厚化粧と一緒で、寄れば寄るほどボロさが目立ってくる。

おまけに行き交う人は、大部分が黒人〈orマルティニーク=混血〉。

何度かスペインを旅した記憶と重ね合わせると、その違和感は、ハンパなかった。

 

ところが、その割には、さほど物騒な雰囲気は感じない。

みんな明るく、のんびりしているように見えたのだ。

少なくとも、3年前に立ち寄ったナポリほど、警戒が必要とは思えなかった。

海外からの旅行者だと気づくと、こちらから声を掛けなくても、笑いかけてくる。

あ、学校だ! と気づいて、女学生の集団にデジカメを向けると

ニコニコ笑って「ハロー!」。手まで振ってくれる歓迎ぶり。

なんだが、ちょっと幸せに気分にさえなってきた。

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セントラル公園(ホセ・マルティの像が立つ)

歩いて10分ほどで、アメリカの国会議事堂そっくりの旧国会議事堂前に到着、

そのはす向かいの公園では、軍楽隊が演奏するセレモニーの最中だった。

キューバの英雄〈革命家〉ホセ・マルティ像の前で、花束を渡していたから

たぶん彼の業績を称え、その関係者が集まっていたのだと思う。

・・相変わらずの勉強不足で、ごめん。

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どこかゆる~い軍楽隊

しばらく、その様子を見物した後。

同じ広場の北側に面して建つ、大きなホテルへと向かった。

ハバナで指折りの5つ星ホテル、イベロスター・パルケ・セントラル。

にこやかに迎えるドアマンが開ける扉を抜けると

吹き抜けのガラス屋根の下、緑の木々に囲まれた広く清潔なロビーが広がっていた。

 

実は、ここが明朝乗りこむ「トリニダー行きバス」の集合場所だったのだ。

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         クラシックカーの向こうが5つ星ホテル

 

――よし、確認したぞ。ミッション1、コンプリート。

明らかな場違い感に背中を押され、トイレだけ拝借して、そそくさ外へ。

さあ、次は、プリペイドSIMカードだ。

再度グーグルマップの案内で、ETECSA〈SIMカードを扱う店)を目指す。

まだキューバはインターネット環境が整っておらず

Wi-Fiが使えるスポットは市内数カ所のみ。

プリペイドSIMカードを扱う店も、上記の国営企業〈たぶん〉のみ。

それでも、事前にネットで調べてみると

日本円の1000円程度で1ギガ分利用できるというので

物は試しと購入することにしたのだった。

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旧市街をさ迷う

で、スマホに眼を落としながら旧市街の真ん中あたりにある、上記の店の前へ。

・・・あれ? なんか、ガラス壁ごしに見えるフロアが、からっぽ。

建設作業員らしき数人が、内装工事の真っ最中。

どう見ても、営業してないぞ。

たぶん改装のため、別の場所に移転したのだろう。

頼りのマップが使えない、ということは・・ギブアップか。

当初から、"キューバのSIMカードは、無ければ無いでいいや"

と考えていたので、あっさり諦めようとしたのだが。

 

いきなり我らの前に、どこかのオジサンが立ちはだかり

身振り手振りで「俺についてこい」と意思表示したと思ったら

すたすた歩き始めたのだ。

えー?? どうしよう・・

一瞬迷ったが、せっかくの好意?。無視するのも悪いし。

素直に跡をついて行くことにした。

その後も、オジサンはときどき後ろを振り向き、我らの姿を確認しつつ

観光客で賑わう旧市街中心部を200メートルほど歩いただろうか。

広いガラス窓の前にへばりつくように多くの人が並ぶ

明らかにできたてホヤホヤのお店に、到着.。

おじさんは、得意げに「さあ、ここだよ!」とジェスチャーで指し示し

そのままどこかへ立ち去っていった。

なんと、道案内のためだけに、わざわざ先導してくれたんだ。

親切というか、ヒマ人というか・・とにかく、感謝。

 

それにしても、随分長い行列だな。

下手すると1時間待ちか?

そう思って店前の人々を眺めると、みんな手元のスマホに眼を落としている。

しかもドアマンが立っている入口には、誰の姿もない。

なんのことはない、待ち時間ゼロでETECSA.店内に入れたのだった。

(後で気づいたのだが、店前の行列は、全員インターネットの利用者たち。

 数少ない〈FreeWi-Fiスポット〉に、たぶんハバナ中から集まってきてたのだ)

 

ともあれ、突然現れた親切おじさんの先導で、移転後の新店舗に到着。

汗ばむ陽気の戸外から、キンキンに冷房の効いた店内へと招き入れられ

中学英語で〈プリペイドSIMカード〉が欲しいと訴えると

ピシッと黒スーツで固めた係員が、対応するデスクへと案内してくれた。

笑顔で迎えた女性店員に、再度つたない英語で必死にやり取りを交わした結果・・

ついに望み通り、1ギガのプリペイドSIMカードをゲット!!

 

しかし、次の瞬間。

彼女が差し出したレシート(請求書)に刻印された請求額に

・・・ええっ? どうして!? 

おもわず、自分の眼を疑ってしまったのだった。

 

ではでは、またね。