待ってろアマルフィ。リベンジだ! ローマ&ナポリふたり旅 2017.1.3-1.9 4日目(中編) 

2017年1月6日(金)ナポリ⇒ソレント⇒アマルフィサレルノナポリ

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ここまでコテコテのイスラム洋式だとは・・

碧い海と空、輝く太陽と地上の楽園と錯覚するアマルフィの海辺。

 

地球の歩き方』(2017~18年版)では、このように絶賛されていた

アマルフィのバス停へと、お昼前に到着したAra-kanふたり。

冬なお眩しい陽射しを浴びて、意気揚々と第一歩を踏み出したのだが・・

――さ、さ、寒い~~っ!!

確かに、お日様が当たっているところは暖かいものの

冷たい風がビュンビュン吹きまくり

ダウンジャケットの合わせ目、襟元、袖口に、容赦なく潜り込んでくる。

こりゃたまらんと、案内所の窓に貼ってあったバスの時刻表だけをすばやく確認。

ダンゴムシのように背中を丸め、海沿いのバス停から

山間に沿って上り坂が続く街の中へと急いだ。

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街なかは、ほぼ無風地帯

さいわい、街の門をくぐってしまうと、海風が遮られたためだろう

寒さはあっさりとおさまり、快適な環境へと早変わり。

しかも目の前には、迷路じみた細い道にそって所狭しと並ぶ

特産のレモンやオレンジ、陶器、お菓子などの店。

そして、今までどこにいたのかと思うほど大勢の観光客が

三々五々、行き交っていた。

いちおうシーズンオフだったからなのか

そのほとんどが、ヨーロッパ系の、いわゆる「白人」ばかり。

中国を含め、アジア系の人は、ここでは少数派だった。

さすが? ローマ帝国の時代から栄えたヨーロッパ有数のリゾート地だ。

それにしても、結構寒いはずなのに、みなさん、かなりの薄着。

シャツの上に薄手のジャケット、あたりが標準だが

なかには、Tシャツに短パンだけという強者(つわもの)も!

寒さに対する感覚が、明らかに我ら東アジア人とは違う。

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ナポリ以上に〈レモン製品〉だらけ

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           プレートのセンスもなかなか


ともあれ、谷あいの川を遡るように、くねくね曲がる細い歩道を進んでいくと.

ほどなくパッと視界が開け、円形?の広場に到着した。

アマルフィのシンボル・ドゥオーモ前に広がる、ドゥオーモ広場だ。

ふと右手を見ると、どこかで見たような面構えの建物が。

おお、これが例の映画の舞台になった教会か。

・・別に作品は観てないんだけどね。

しかし、ファサードの列柱も、縞模様の壁面も、各所の文様も、まんまスペイン。

アランブラ宮殿とかセビリアで見た建造物と、まるっきり同じ様式だ。

ナポリで感じた「スペイン(=イスラム)テイスト」が、さらに色濃く漂っていた。

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屋根の上もイスラム

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内部は、ロココ? バロック? いやロマネスク!・・のはず。

なーんて、後で資料やガイド本を見れば、もっともらしいウンチクを吐けるけど

実際に目にした時の感想は。

お、きれいきれい。けっこうかっこいいじゃん。

といった程度の、ほぼ脊髄反射のみ。

中に入ったときも、小さな町に似合わぬ華麗さに

――さすがは、かつては地中海に君臨した海洋国家アマルフィだな。

など、「ローマ後の地中海世界」(塩野七生著)の受け売り知識で

〈分かった気になった〉ぐらいが関の山だった。

そのくせ、事前の予習(ガイド本を読む)をサボッていたから

最大の見どころ『天国の回廊』に立ち寄らぬまま、広場に戻ってしまったのだ。

二度と行けないかもしれないのに・・ホンっと、バカは死んでも治らない。

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夜は夜で、綺麗なんだろうな

事前にチェックしておいた「紙の博物館」も、門前まで行ったら閉まっていたし。

紙製品の店に入っても、予想より値段がひと桁上で、買わずじまいだったし。

これはもう、リベンジ決定だな。

次はもっといい季節に来て、このあたりで1~2泊してやるぞ。

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ほとんど見るだけだったお店めぐり

結局、2時間余りアマルフィを歩きまわったが

増えた荷物は、孫たちに買った2枚のTシャツのみ(この時点で2人目まで登場)。

お腹も減ってきたけど、ナポリで予約した夕食時間を考えると

次のバス(14時15分)に乗ったほうがよさそうだ。

諦めて海岸沿いのバス停まで戻り、やっぱり冷たい風に震えながら待つ・・

が、予定時刻を過ぎても、バスが来ない。

まいったなあ、とボヤいていると、同じバスを待っているらしき東洋人の姿が。

なんとなく目を合わせ、話しかけてみると、予想通りひとり旅中の日本人だった。

見たところ20代後半から30代前半といった感じの男性で

料理修行でイタリアに留学中だとのこと。

今回、休みを利用してアマルフィ観光に訪れ

この先、バスで少し走ったところに予約した宿に泊まるのだという。

でも、互いの状況はそのあたりで打ち止め。

「それにしても、寒いですねー。もっと暖かいと思ったんですけど・・」

と、肩をすくめて嘆き始めた。

まだ我らは.ダウンジャケットを着ているからマシだが

彼は薄手の上着を羽織っているだけ。

背中を丸め、必死に寒さに耐えていたのだ。

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一見ぽかぽか、実はブルブル

それでも、この話題に移ってほどなく、

10分ほどの遅れで、待っていたバスが到着。

我ら三名の日本人を含め、7~8名が、我先にと温かい車内に乗り込んだ。

運転手は、ひと通り乗客を確認すると、少しでも遅れを取り戻そうというのだろう

間髪おかずバスを出発させた。

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うららか・・だったんだよね。このへんまでは

4つほど先の停留所で降りる男性と、別れの挨拶をかわすと

あとは一路、アマルフィ海岸を東へ。

うららかな日差しを浴びて、のんびりゆったりバスの旅。

・・と行きたいところだったけど、ここらから少しずつ空模様がぐずり始める。

乗車してから、およそ1時間後。

ついに雲間から、ちらちら白いものが落ちて来た。

予想外の雪模様だった。

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ここはいったいどこなんだ!?

そして、サレルノ到着予定時刻15時30分.を5分ほど過ぎたころ

なにやら工場地帯のような海沿いの道端で、バスは停まった。

すると、乗客の半分以上が立ち上がり、降りる雰囲気に。

だが、どっちを向いてもサレルノ駅らしき建物は見当たらない。

藁にもすがる思いで、運転手に「サレルノ?」と疑問形単語を投げかけると

「そうだよ!」とばかり、大きく頷き返した。

だったら、降りるっきゃない。

きっと歩いて行ける場所に、鉄道の駅もあるはずだ。

そう自分に言い聞かせ、相方とともに寒風と風花が舞う路上へ。

とにかく、他の乗客たちの後についてってみよう!

すでに小さくなった背中を追って、足を速めるのだった。

 

ではでは、またね。