トラステヴェレで暮らしたい ローマ&ナポリふたり旅 2017.1.3-1.9 2日目(後編) 

2017年1月4日(火) ローマ市

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ローマならではの「法衣専門店」

テヴェレ川沿いの停留所で待つことしばし。

暖かな日差しに眠気を覚えたころ、やってきたローマ中心部行きのバスに乗り込み

再び朝イチで降りたヴェネツィア広場まで戻る。

昼食を食べた場所がレストランではなかったので

ふたりともトレイが恋しくなっていた。

とはいえ、ここはイタリア。

日本のように無料で入れるトイレは、そうそうあるもんじゃない。

 

しかし、この手の節約にはぬかりのない(つもりの)我ら。

前もって調べておいた、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂にまっしぐら。

この2階に、無料トイレが設置されているというのだ。

広々とした大理石造りの階段を登り、中に入ってみると・・

さらにひとつ上階へ伸びる階段の壁伝いに、.観光客の長蛇の列が。

・・みんな、考えることは一緒なのだった。

こうなったら、意地でも待つしかない。

列の最後尾につき、トイレの入口に向かって、一段、また一段と近づいていく。

それにしても、誰一人列を乱さない見事に統制の取れた行列だな・・

と思ってトイレの入口を見ると、そこには毅然と立ち働く中年女性の姿が。

どうやら、トイレ内の清掃や備品補充などをこなしながら

並んでいる利用者に声をかけ、ひとりひとりの動きをコントロールしていたのだ。

かくいう私も、列の先頭で待っていると

いきなり鋭い眼差しでキッと見つめられ、クイックイッと手招きされ

無事、用を足すことができた。

 

どこにでもあるような「トイレ体験」なのだろうが

いま思い返してみると、彼女のいかにも〈マンマ・ミーア〉な立ち居振る舞いが

この旅の2日目で、最も印象的な光景だったような気がする。

 

ふたりともスッキリした後は

本日予定していた鉄板観光スポットその2・パンテオンへ!

なにせ、紀元前25年にアグリッパが創建、118年にハドリアヌス帝が再建した

ローマ建築の最も完全な遺構が、無料で堪能できるのだ。

これも『ローマ人の物語』で予備知識はたっぷり。

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観光客を避けて撮ったつもりだったが・・

とことん見てやるぞ・・と気合を入れ

隣のミネルヴァ広場からパンテオンがそびえる一画に足を踏み入れると

――なんだ、こりゃ!?

まるで、どこぞの夏祭り会場のように、人、人、また人。

いまなら、その様子を目にしただけで「3密!危ない!」と叫んでしまうだろう

世界中からやってきた観光客による、見事なまでの大混雑ぶりだったのだ。

うわー、どーしよーか。

早くも腰が引け、おもわず相方と苦笑を交わす。

それでも、せっかくここまで来たのだから、と、群衆の中に突入し

どうにかこうにかパンテオンの中へ。

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外よりさらに混んでいた・・

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さすがにこの角度だと無人

午後の遅い陽射しが差し込むク―ボラの天窓や

ラファエロの墓までは目に焼き付けたが

それ以上滞在できず、わずか数分でロトンダ広場へ退散する羽目に。

くそー、次は人の少ない朝イチでリベンジだ!

心のなかで捨て台詞を放ち、パンテオンを後にするのだった。

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バイバイ、また来るね

こうなったら、気持ちを切り替えるしかない。

名所観光はこのくらいにして

おやつ気分の買い物&スイーツめぐりにチャレンジだ。

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やっばり「観光」より「街歩き」のほうが好き

さっそく、パンテオンから100メートルも離れていない

有名なコーヒー店Caffe Sant'Eustachioへ入った・・

が、慣れた様子でコーヒーを注文する地元客の列に混じることはできず

チョコのお菓子を数種類購入しただけ。

負けるものかと(何に?)、続いてジェラテリアGiolitti dal 1900へ。

今度は「歩き方」に書いてあった『ジェラートの注文の仕方』を参考にして

無事、注文&実食できた。

思ったより小ぶり(でも量は充分』なジェラートは、濃厚そのもの!

ミルクや生クリームとの相性もバッチリで、さすが本場の食べ応えだった。

ちなみに、個人的にはピスタチオのフレーバーがベスト。

 

「おやつ」ついでに、もう1か所。

今度は、トラムに乗ってテヴェレ川の対岸、その名もトラステヴェレへ。

ローマの下町として知られるこのエリアの一画に

これまたテレビ(BS)で紹介されていた、クッキー店があるのだ。

夕方から夜へと移りつつあったトラステヴェレ界隈は

確かに.「下町」の雰囲気たっぶり。

考えようでは少々物騒な場所かも知れないけど

粗末なファッションを決め、大金を持っているわけでもない我らは

何食わぬ顔をして、路地から路地へと渡り歩いてしまう。

すると・・安くて美味しそうなB級グルメの店が、ここにも、あそこにも。

我慢できず、そのうちの一軒Kalamaro Piadinaroに立ち寄り

揚げたてのイカやエビをハフハフしつつ、つまみ食い。

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なぜか落ち着くトラステヴェレ、身も心もB級志向

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サンタ・マリア・トラステヴェレ教会(たぶん)

ちょっと温まったお腹を抱え、さらに奥へと足を伸ばすと、目の前に広場が。

おりしもミサの最中なのだろう、正面の教会から祈りの声が聞こえる。

なんかいい雰囲気・・という軽率な思い付きで

地元の教会サンタ・マリア・トラステヴェレに、入場&見学。

いわゆる「観光名所」とは違い、豪華な祭壇や壁画・天井画があるわけではないが

不信心者なりに、暗しに根付いた深い信仰が感じ取れるひとときだった。

少なくとも、パンテオンよりは数段感慨深かったと記憶している。

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邪魔にならぬよう、最後列の椅子席でひと休み

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聖なる方々の足元に並ぶ羊たちが印象的

なんとも居心地がよく、立ち去りがたい気もしたが、

トラステヴェレに来た最初の目的を、果たしていなかった。

そう。下町のクッキー屋さん。

夜も店を開いている、とのことだったが、気が付けばすでに20時近く。

容量不足のため、まだスマホのマップは使えず

紙の地図と住所だけを頼りに、ほとんど闇に沈んだ道から道へ。

すると、細い道路の1カ所だけ、ポツンと明かりが灯る場所を発見。

近づいてみると、大当たり。クッキー店Biscottifico Innocentiだ。

古びたガラス張りのショーウィンドウ越しに

クッキーと呼ぶにはやや大ぶりなお菓子が、いくつも山積みになっていた。

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何枚もステッカーが貼ってある。「隠れた名店」ってヤツか

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素朴でおいしい、これぞ「下町の味」

ガラス戸を押し開けて中に入ると、丸々としたおばさんが

たぶん「いらっしゃい」と、笑顔で声をかけてくれた。

勧められるまま何種類か指差すと

街なかのパン屋さんみたいな紙の袋に入れて、はいどうぞ。

店を出るなり、袋から取り出してパクリ。

・・驚くほどの旨さではないが、とっても素朴なローマ式"おふくろの味"。

もちろんお値段も庶民的。ひとつ100円しなかったような気が・・

 

夕食兼の「下町クッキー」を抱え、トラムに乗ってみたびヴェネツィア広場で下車。

夜の冷え込みに急接近してした尿意に背中を押され

本日2度目のヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂(トイレ)へ。

もいちど広場に取って返し、バスで「ふりだし」のテルミニ駅へと戻る。

あちこちでつまみ食いばかりしてたので、今夜のディナーはパス。

駅地下のスーパーマーケットで寿司や総菜を購入し

ホテルの部屋で、お腹に優しい軽食を済ませたのだった。

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困った時の「ヴィットリオさん

さて、明日は一路ナポリへ!

今回のツアーで5泊するローマのホテルとは別に

明日明後日の2泊を、ナポリのホテルで予約済みなのだ。

(もったいないが、2段ロケット式に余分な荷物を置いて行けるので身軽になれる)

ローマより北にある街は何度も訪れているが、南は初めて。

果たして、どんな世界が待っているのか?

重大な〈見落とし〉を、いたるところでやらかしながら、

我らの珍道中は、いよいよ佳境へと入っていく。

 

ではでは、またね。