2017年1月4日(水) ローマ市内
ほとんど記憶に残っていない朝食(パン各種+コーヒー)をかきこみ
この日も快晴(でも寒い!)のローマ市内へ。
まずは、テルミニ駅のバスターミナルでバスと地下鉄の1日乗車券を購入。
バスに乗って、ヴェネツィア広場で降りる。
最初に向かったのは、ローマ時代の市民の生活中心地だったフォロ・ロマーノ。
このローマ指折りの観光地も、以前は遠くから眺めるだけで済ませていた。
にわか〈古代ローマファン〉となり
ぜひともこの場所を訪れたい気分になっていたのだ。
朝いちばんを目指していたので、9時前には切符売り場に到着する。
だが、はやくも50m近い行列が出来上がっていた。
年明け早々というオフシーズンだというのに、いたるところ観光客だらけ。
なかでも声がでかいだけに、中国人団体客の存在感は格別だった。
(海外旅行不可能の現在では、それすら懐かしく思えてくる)
それでも思いのほか行列はスイスイ進み、10分ほどでチケットをゲット。
3カ所も入れるのに・・おお、アヤソフィアのほぼ半分ではないか!)
ともあれ、いそいそと紀元前ローマの世界へ足を踏み入れていく。
幸い、中に入ると、思ったほど観光客の姿は多くなく
自分のペースで、じっくり見て回ることができそうだった。
それにしても――とんでもないシロモノを、町のど真ん中に残しているものだ。
何も考えずぼーっと眺めてるだけだと、単なる廃墟にしか見えないが
しっかり資料を読みながら観察してみると・・
次から次へと、古代ローマの街並みが立ち上がってくる。
いま自分たちが立っている、同じ道の上を
2000年前、カエサルやアウグスティヌスが実際に歩いていたとは。
『ローマ人の物語』でローマ(民主制&帝政)の栄枯盛衰をたどっただけに
なかなか感無量な気分になってしまった。
元老院、聖なる道、セヴェルス帝の凱旋門、カエサルの神殿、ティトゥス帝の凱旋門、
マクセンティウス帝のバジリカなどなど
「物語」で出逢った人々の記念建造物を目に焼き付け
古代は高級住宅地だった「パラティーノの丘」へと登っていく。
ほとんどが庭園で占められていたが、隅の一画に、発掘現場のようなエリアを発見。
何かと思って覗き込むと、アウグストゥスとその妻リヴィアの家。
なんとローマ帝国を打ち立てた人の自宅内部が、公開されていたのだ。
2千年前の英雄の「ご自宅拝見」ができてしまうとは――ヤバイぞ、ローマ。
フォロ・ロマーノとパラティーノの丘をめぐるだけで、太陽はほぼ中天に移り
そろそろお腹も空きはじめていたものの
せっかくだから、隣の大名所・コロッセウムも見学してしまおう。
20年以上前、家族4人(相方と5歳?の長女と2歳?の次女)でローマを訪れたとき
すぐ近くまで行ってみたが、グラディエーターの衣装にまとった若者が寄って来て
「写真を撮れ!」(もちろん撮影料目当て)としつこく迫るので
結局入らずじまいだったという因縁?の観光スポット。
20年越しのリベンジを果たさねば!
・・いや、単に共通チケットがあるから、入らにゃソンソン♪ なだけなんだけど。
てなわけで、いざ、コロッセオへ!
気合を入れて敵を見やると・・人、人、また人の数珠つなぎ。
まるでネズミの国の人気アトラクション前のように
何重にも折り返す行列が、みっしりと連なっていたのだ。
コロッセオの人気、ハンバないな~とボヤきつつ
おそらく200メートルは越えているだろう、大行列の最後尾についた。
(それでも共通パスのおかげで、切符売り場にで並ばず済んだだけでもラッキー。
コロッセオ単体の入場券を買う人は、もっと長い行列を作っていたのだ)
んで、牛歩戦術でじわりじわりと進むこと、30分?あまり。
東京ドームや横浜アリーナのコンサート会場をふと連想させる大群衆をかきわけ
ようやくコロッセオのなかへ。
イモ洗い状態の一階?部分から逃げるように、上へ上へと登っていく。
・・やっと、落ち着いて見物できる場所にたどりつけた。
それにしても、なんでこんなにコロッセオに観光客が殺到するのだろうか?
「お祭り状態」の人混みにもみくちゃにされたことで
たちまち気力&体力はダダさがり。
30分とガマンできず、早々に退場したのだった。
――もう、観光はいいや。何か美味しいもの、食べにいこ。
相方と意見が一致し、朝方バスを降りたヴェネツィア広場にとってかえす。
そこから南に向かうバスに乗って、テヴェレ川沿いのテスタッチョという地域へ。
実は、ひと月?ほど前、とある旅番組で
ここの市場内のパニーニ(サンドイッチ)店が紹介されていたのだ。
車窓の景色と片手に持った地図を見比べながら
"たぶんこの辺だ!"、とアタリをつけたバス停で下車。
.うろうろさ迷いながら、店仕舞いモードに入りかけていたテスタッチョ市場に入り
そこでも右往左往したあげく、ようやく目指す店「Mordi&vai」にたどりつく。
すでに14時近かったが、さすが人気店。5~6人の先客が群がっていた。
だがよく見ると、ただゴチャッといるだけで、「列」は作ってない。
・・どうやって注文するんだろう?
もちろんイタリア語は挨拶レベルなので
身振り手振りで「食べたい!」と意思表示すると
カウンターの上にぶら下がっている電光掲示板を指差された
ん・・・あ、そうか!
まずは注文と会計を済ませて、食券を受け取り。
その番号が表示されたら、ブツを受け取る、というシステムなのだな!
さっそく、イタリア語ダメダメ客にも笑顔で対応してくれる店のオッチャンに
一番人気だという「子牛肉の煮込みサンドイッチ?」を2つ注文。
待つこと数分で、無事ゲットすることができた。
しっかり煮込まれた牛肉が、両手に余るサイズのバゲットに挟まれている。
パンと肉だけの、シンプルなファストフード。
店の周りに並べられたベンチに腰掛け、夢中でかぶりつく。
予想以上のボリュームだったが
柔らかく濃厚な肉とほどよい噛み心地のバゲットに
ふたりとも、きれいに平らげてしまった。
"今日の夕食は、軽めでいいね"
笑顔を見せる相方に、こちらも苦笑いを返す。
店を出たすぐ向かい側、テヴェレ川沿いの道に見つけた停留所で
暖かい午後の日射しと、ちょっと苦しいお腹を抱え
いつ来るか知れぬ、〈ローマ中心部行きのバス〉を持つふたりだった。
ではでは、またね。
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